2025.11.4

「寛永行幸四百年祭」が京都で開催。江戸時代の「寛永文化」が令和によみがえる

2026年、京都を舞台とした新たなイベント「寛永行幸四百年祭」が開催。「寛永行幸」にまつわる様々な催しや展覧会が実施予定となっている。

元離宮二条城・二の丸御殿
前へ
次へ

 2026年、京都を舞台とした新たなイベント「寛永行幸四百年祭」が開催される。

 「寛永行幸(二条城行幸)」とは、寛永3年(1626)、徳川幕府が後水尾天皇を二条城に迎え、5日間に渡って様々なもてなしを行った、江戸時代最大級とも言える行事だ。公武融和と平和の到来を象徴したその祭りは、当時の京都を熱狂させたという。また、この時代には学問や芸術が発展し、「寛永文化」も誕生した。その行幸から400年に当たる来年の2026年には、これを記念した様々なイベントが開催される予定となっている。

京都市指定文化財 二条城行幸図屏風 左隻 江戸時代(17世紀)
泉屋博古館

 例えば、当時の将軍・家光に導かれ、後水尾天皇ら朝廷方が御所から二条城へ赴いた際の9000人にも及ぶ煌びやかな行列を再現する「行幸行列再現イベント」(2026年12月6日)が開催予定。行列の主要シーンを再現するため、京都御所から二条城東大手門までの2キロメートルの道を、数百人規模の行列と雅楽の演奏で再現するという。

 また、このプレイベントとして「ミニチュア人形展示」(10月31日~12月7日、元離宮二条城・番所)も実施。「風俗博物館」の4分の1スケールのミニチュア人形を活用し、寛永行幸行列の一部を表現した展示が行われる。

ミニチュア人形展示イメージ
ミニチュア人形展示イメージ

 さらに、京都各所では様々な関連事業も実施。京都文化博物館では、寛永文化と寛永行幸を軸に、江戸時代前半に花開いた京都文化の粋を紹介する特別展「寛永太平がはぐくむ美」(2026年9月19日~11月15日)が開催される。

参内図屏風
京都文化博物館
重要文化財 狩野山楽筆 二条城二の丸御殿〈大広間〉四の間 松鷹図 部分 寛永3年(1626)
京都市(元離宮二条城事務所)
重要文化財 薙刀直し刀骨喰藤四郎
京都・豊国神社

 二条城では、寛永行幸の際に使用された二の丸御殿の部屋の障壁画が4期にわたって公開される。二の丸御殿の障壁画は、後水尾天皇の行幸に先立ち、徳川将軍家が寛永元年から3年(1624~26)にかけて行った大改修の際、狩野探幽率いる狩野派の絵師たちによって描かれたもの。1982年にはその一部が重要文化財の指定を受けており、原画は「二条城障壁画展示収蔵館」に収蔵されている。

重要文化財 狩野探幽筆 二条城二の丸御殿障壁画 大広間 三の間 松孔雀図 部分 寛永3年(1626)
京都市(元離宮二条城事務所) ※夏期展示予定
重要文化財 狩野尚信筆 二条城二の丸御殿障壁画 黒書院 一の間 桜花雉子図 部分 寛永3年(1626)
京都市(元離宮二条城事務所) ※冬期展示予定

 鹿ヶ谷の泉屋博古館では、特別展「寛永行幸―花の都の文化人-」(仮、2026年9月5日~10月18日)が開催予定。泰平の世を告げ新たな文化胎動につながった寛永行幸を振り返るとともに、そののち17世紀後半にかけて展開した優美な寛永文化に注目。後水尾天皇、東福門院、小堀遠州、千宗旦、俵屋宗達、野々村仁清など、身分を越えきら星の如く輩出した文化人たちの美意識と交流を紹介する。

京都市指定文化財 二条城行幸図屏風 右隻 江戸時代(17世紀)
泉屋博古館
小井戸茶碗銘六地蔵 中興名物 朝鮮時代(16世紀)
泉屋博古館東京
伝東福門院 押絵「楊貴妃」 江戸時代(17世紀)
泉屋博古館

 ほかにも、来年の開催に先立ち、「寛永行幸四百年祭」を記念した特別看板も二条城東大手門前に10月31日より設置されるほか、「寛永文化講座」などの連続講座も開催予定。詳しくは特設ウェブサイトをチェックしてほしい。