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2025.11.16

『パイレーツ・オブ・ザ・カリビアン』などの名作衣装が一堂に。コスチュームハウス「コスプロップ」の60年をたどる展覧会

映画『眺めのいい部屋』や『パイレーツ・オブ・ザ・カリビアン』、TVドラマ『ダウントン・アビー』の衣装を制作するコスプロップの創立60周年を記念する展覧会「コスチューム・クチュール:コスプロップの60年」が、現在ロンドンのファッション+テキスタイル・ミュージアムで開催中だ。大きな人気を博している同展をレポートする。

文・写真=坂本みゆき

展示風景より。中央のピンクのドレスは映画『テス』でナターシャ・キンスキーが着用した1880年代のウェディングドレス
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世界最高峰のコスチュームハウス

 コスプロップは俳優、ステージマネージャー、衣装デザイナーとして演劇界で活躍していたジョン・ブライトが1965年に設立したコスチュームスハウスだ。ブライトは歴史的衣服やアクセサリーのコレクターでもあり、昔の服づくりの知識を用いて現代の演劇界における歴史的衣服を制作し続けている。映画『眺めのいい部屋』(1985)ではアカデミー賞のベストコスチュームデザイン部門を受賞。ロンドン北部にスタジオを構え、いまでは唯一無二の存在となっている。

 ファッション+テキスタイル・ミュージアムは、イギリスを代表するファッションデザイナーのひとりザンドラ・ローズによって2003年にオープンした、その名の通りファッションとテキスタイル専門の博物館だ。現在は継続教育のための機関であるニューハム・カレッジが運営し、ファッションやテキスタイルデザインのショートコースなども行うユニークな施設として知られている。

有名作品の衣装が一堂に並ぶ

 展示のプロローグとして、まずは当時の国民の3分の1が視聴していたという大人気TVドラマ『戦争と平和』(1972)や、ブライトが1958年に初めて手に入れたヴィクトリア時代の衣服など設立当時のコスプロップ制作の衣装や関連の品が並ぶ。

展示風景より。60年代後半の映画のために制作したドレス。奥の2着は『戦争と平和』(1972)用の衣装

 メインエリアは、コスプロップの名を世界中に知らしめた『眺めのいい部屋』でヘレナ・ボナム=カーターが演じる主人公ルーシーと、マギー・スミスによるシャーロットの衣装で幕を開ける。ふたりがピクニックに出かけるシーンで着用されたもので、イギリスの時代映画のファンであれば、この作品において真っ先に思い浮かべる場面の衣装と言っても過言ではないだろう。年上の従姉妹としてルーシーを引率してイタリアを旅するシャーロットと、可憐なルーシーのキャラクターの対比が見て取れて印象的だ。

展示風景より。映画『眺めのいい部屋』(1985)の衣装
ヘレナ・ボナム=カーターの衣装のディテール

 その先に広がるスペースは『テス』(1979)、『インドへの道』(1984)、『ハワーズ・エンド』(1992)、『高慢と偏見』(1995)、『パイレーツ・オブ・ザ・カリビアン』(2003)などの衣装がずらりと並び圧巻だ。同時にコスプロップの役割や使命を解説する。

展示風景より。ほとんどの展示はショーケースに入っておらず間近で前後左右から鑑賞できる