2025.9.10

秋の京都を舞台に。「CURATION⇄FAIR Kyoto」が初開催へ

今秋、京都に新たなアートフェアが誕生する。西陣の大本山・妙顕寺を舞台に、古美術から現代美術、工芸までを横断する「CURATION⇄FAIR Kyoto」が11月15日〜18日の4日間に初開催される。

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 今秋、京都で初開催となる国際アートフェア「CURATION⇄FAIR Kyoto(キュレーション フェア京都)」の詳細が発表された。会期は11月15日〜18日の4日間。

 同フェアは「工芸」と「近代洋画」を基軸に据え、これまで分断的に扱われてきた美術の領域を再接続し、日本独自の美意識と国際的な視座を往還させる試みだ。会場となるのは西陣の大本山・妙顕寺で、国内外約20軒のギャラリーが出展し、古美術から近代洋画、現代美術、工芸までを横断的に紹介・販売する。

大本山 妙顕寺

 出品予定作家には、藤田嗣治、梅原龍三郎、安井曾太郎、岸田劉生、佐伯祐三といった近代洋画の代表的作家に加え、吉原治良白髪一雄中西夏之辰野登恵子など戦後美術の作家、さらに陶芸の黒田泰蔵や現代美術の豊嶋康子ら、多彩な顔ぶれが並ぶ。来場者は、美術評論家・清水穣によるテキストを手がかりに、各ギャラリーのプレゼンテーションの意図を読み解きながら作品を鑑賞できる。

梅原龍三郎 薔薇図 日動画廊
黒田泰蔵 台皿 akamanma

 併催企画として、名勝・渉成園(枳殻邸)では東京美術倶楽部による「工+藝 京都 2025」が開催される。創立120年を超える歴史を持つ同倶楽部が、現代の工芸界を牽引する46名の作家の作品を京都で披露するのは初めての試みであり、「工」と「藝」の融合による工芸の新たな可能性を提示する場となる。

渉成園での展示風景

 さらに、渉成園では通常非公開の園林堂内「棟方志功」襖絵の特別公開や、和舟遊覧、庭師による解説付きガイドツアー、裏千家の呈茶席など、文化体験型の特別プログラムが用意される。夕刻からは、庭園を幻想的に照らす「渉成園 秋灯り」も行われ、昼夜で異なる魅力を楽しむことができる。

渉成園 園林堂内「棟方志功」襖絵
渉成園 夜間特別拝観のライトアップ

 限定プログラムとして注目されるのが、大原山荘で開催される花会「水為花祈」。現代華道家・杉謙太郎による花の儀式を中心に、書家や雅楽との共演、さらに庭園空間を舞台にしたパフォーマンスが繰り広げられる。来場者は自然と芸術が交錯する特別な体験を得ることができる(花会は招待制で、1日30名限定で実施)。

 妙顕寺、渉成園、大原山荘という京都ならではの文化資源を舞台に、古今東西の美術を横断的に提示する本フェアは、秋の京都を彩る新たな文化的拠点として期待される。