国宝「源氏物語絵巻」、徳川美術館で10年ぶりに全点公開
名古屋にある徳川美術館が開館90周年を記念し、国宝「源氏物語絵巻」の全点一挙公開をスタートさせた。

愛知県名古屋市の徳川美術館が開館90周年を記念し、平安時代に描かれた現存最古の物語絵巻である国宝「源氏物語絵巻」を10年ぶりに全点一挙公開した。会期中展示替えなし。担当学芸員は吉川美穂(同館学芸部部長代理)。

「源氏物語絵巻」とは、紫式部が著した『源氏物語』を文章(詞書)と絵で表した五十四帖からなる巻物のこと。四代の天皇に渡る約70年の物語で、その登場人物は500人近くにのぼる。
平安時代から現代まで、物語の人気とともに何度も絵画化され、様々な「源氏物語絵巻」がつくられてきた。なかでも本文・絵ともに現存最古にして最高傑作とされるのが、この徳川美術館と五島美術館(東京)が所蔵する国宝「源氏物語絵巻」だ。数ある源氏物語絵巻のなかで、国宝に指定されているのはこれらの作品だけとなる。
現存する国宝「源氏物語絵巻」は、江戸時代に尾張徳川家と阿波蜂須賀家を経て伝わった。両家への伝来経路は不明だが、昭和に入り尾張徳川家の伝来品は徳川美術館、蜂須賀家の伝来品は五島美術館で所蔵されたという(それぞれを徳川本、五島本と呼ぶ)。そのほかに断簡として9点が現存するが、うち2点は所在不明で、これらは国宝には指定されていない。















