2026.9.25

今週末に見たい展覧会ベスト20。《真珠の耳飾りの少女》からトニー・アウスラー、国立民族学博物館特別展まで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~」展示風景より、《スペキュラー》(2021)
前へ
次へ

もうすぐ閉幕

トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~(TOKYO NODE)

 東京・虎ノ門ヒルズにあるTOKYO NODEで、「トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~」が開催されている。会期は9月27日まで。会場レポートはこちら。

展示風景より、《スペキュラー》(2021)

 トニー・アウスラーは1957年ニューヨーク生まれ。映像、彫刻、音、光、言葉を組み合わせた没入型インスタレーションで知られるアーティストだ。映像インスタレーションやプロジェクションマッピングといった立体物に映像を投影する表現スタイルを切り開いたパイオニアであり、イメージと物語、テクノロジーと人間心理、ビリーフシステム(信念) 、そして社会の複雑な関係を問い続けてきた。

 本展では、現代美術家のジム・ショーも参加した初期作品《プライベート》(1994〜97)や 、《ダスト》(2006)、《ロック2、4、6 》(2010)、現在ニューヨーク近代美術館(MoMA)に収蔵されている《予測不可能なもの》(2015〜16) 、《スペキュラー》(2021)といった主要作品のほかに、初公開の新作など、初期から現在までの代表作が網羅的に紹介される。なお出展作品の半数以上が、日本初公開となる。

 また、世界的な音楽家であるデヴィッド・ボウイおよび作曲家グレン・ブランカと2000年から共同で制作を開始していた《空(くう)》(2000)を、本展で初めて作品化し、世界初公開する。

 加えて、TOKYO NODEの天井高15メートルに及ぶドーム型のギャラリースペースを活かしたサイトスペシフィックな大型の新作《キメラ》(2026)も展覧予定。アウスラーがこれまでに収集・研究してきた都市伝説とされる生物や未確認生物の資料などをベースとした、日本と世界のさまざまな「キメラ」が⻁ノ⾨の上空に出現する予定だ。

会期:2026年7月3日~9月27日
会場:TOKYO NODE GALLERY A/B/C
住所:東京都港区⻁ノ⾨2-6-2 ⻁ノ⾨ヒルズ ステーションタワー45F
電話番号:03-6433-8200 
開館時間:10:00〜19:00(金〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:不定休
料金:一般 2400円 / 大学生・専門学校生 1400円 / 中学生・高校生 800円
企画:椿 玲子(TOKYO NODE)、アリス・ニェン=プー・コー(インデペンデント・キュレーター)

フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展 17世紀オランダ絵画の名品、奇跡の再来日(大阪中之島美術館)

 大阪・中之島の大阪中之島美術館で「フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展 17世紀オランダ絵画の名品、奇跡の再来日」が開催されている。会期は9月27日まで。会場レポートはこちら。

ヨハネス・フェルメール《真珠の耳飾りの少女》(1665頃)キャンバスに油彩 44.5×39cm マウリッツハイス美術館

 ヨハネス・フェルメール(1632〜75)は、17世紀オランダを代表する画家のひとり。静謐な日常生活の情景を精緻に描いた作品で知られ、完成させた作品が多くないため現存する作品はわずか30数点とされる。当初は歴史画を描いていたが、24歳頃から室内風俗画へ転向した。

 本展は、オランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館の改修工事による臨時休館に伴い開催される。会場では、14年ぶりの来日となる《真珠の耳飾りの少女》と、最初期の作品《ディアナとニンフたち》の2点を紹介。また、歴史画、肖像画・トローニー、風俗画、教会内景画、風景画、静物画の6つのテーマにより、同館所蔵の名品10点を展示する。

 さらに、全長20メートルにもおよぶ大型スクリーンを用いた映像展示を展開。映像ではフェルメールの生涯とモチーフを全作品でたどり、実際の比率にもとづいた全作品の集結や《真珠の耳飾りの少女》の拡大投影を実施する。

会期:2026年8月21日〜9月27日
会場:大阪中之島美術館 5階展示室
住所:大阪市北区中之島4-3-1
電話番号:06-4301-7285
開館時間:9:30〜17:00(8月28日、9月4日、9月11日、9月18日~27日は9:30〜20:00) ※最終入場は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:一般 3000円 / 高大生 1500円 / 小中生 500円

WHAT CAFE EXHIBITION vol.47:WHAT CAFE×椿昇 特別合同キュレーション展「u.n.l.o.c.k. tube++」(WHAT CAFE)

 東京・天王洲のWHAT CAFEで「WHAT CAFE EXHIBITION vol.47:WHAT CAFE×椿昇 特別合同キュレーション展『u.n.l.o.c.k. tube++』」が開催されている。会期は9月27日まで。

 本展は、現代美術家で京都芸術大学教授の椿昇をゲストキュレーターに迎え、若手アーティストの支援や作品販売を行うWHAT CAFEとの特別合同キュレーション展として実施する企画展だ。

 会場では、日本画、油画、写真、陶器、ガラス、インスタレーションなど、椿昇と同画廊が選出した37名のアーティストによる作品を紹介する。

 出展アーティストは、イケナナ、xorium、岡田将充(OMD)、小野田涼香、片山穣、川田英里佳、川村摩那、木須葵悠、倉敷安耶、黑﨑香織、國分莉佐子、小橋美花、小林由、佐々木怜央、品川美香、白井桜子、菅本智、タイラクルカ、立石従寛、土屋咲瑛、戸上真音、床井恵音、西垣肇也樹、西凌平、高橋遥、船越愛菜、本間賛、BCBG ユナ、松村咲希、丸井花穂、Mii、見島澪佳、皆川百合、御村紗也、森上陽介、矢部もなみ。

会期:2026年9月4日~9月27日
会場:WHAT CAFE
住所:東京都品川区東品川2-1-11
開館時間:11:00~18:00(最終日〜17:00)
料金:無料

企画展「祈りと救いの美―国宝 普賢菩薩騎象像との出会い」(大倉集古館)

 東京都港区にある大倉集古館で、企画展「祈りと救いの美 ―国宝 普賢菩薩騎象像との出会い」が開催されている。会期は9月27日まで。

《普賢菩薩騎象像》

 実業家の大倉喜八郎(1837〜1928)は、廃仏毀釈による寺院の荒廃や仏教美術品の散逸・海外流出を受けて古美術品を収集し、保護に努めた。1917年には同館を設立して作品を公開した。

 本展は、同館の収蔵品の柱のひとつである仏教美術の作品を「経典と仏教伝来」「釈迦如来とその弟子」「極楽浄土と地獄」「法華経信仰と普賢菩薩」「密教」「神仏習合」の6章で構成し、仏教美術の流れを紹介。あわせて、東京都内にある国宝の仏像2点のうちの1点である《普賢菩薩騎象像》を展示する。

会期:2026年7月28日~9月27日
会場:大倉集古館
住所:東京都港区虎ノ門2-10-3
電話:03-5575-5711
開館時間:10:00~17:00 ※入場は閉館の30分前まで
観覧料:一般 1000円 / 大学生・高校生 800円 / 中学生以下 無料

没後50年記念 鳥居言人 歌舞伎絵と新版画(太田記念美術館)

 東京・原宿の太田記念美術館で「没後50年記念 鳥居言人 歌舞伎絵と新版画」が開催される。会期は9月27日まで。

鳥居言人《志ばらく》旧下田コレクション

 鳥居言人(1900〜76)は、鳥居派七代目鳥居清忠の長男として生まれ、のちに八代目を継いだ。鏑木清方に師事し、大正新版画などの美人画で評価を得た後、歌舞伎絵に取り組み、戦後は八代目鳥居清忠を名乗って絵看板や舞台美術を手がけた。

 本展では、大正新版画などの美人画をはじめ、鳥居派の家業として手がけられた歌舞伎絵、絵看板、舞台美術に関連する作品を紹介する。

 会場では、屏風絵《志ばらく》や《鳴神》をはじめとする肉筆画の歌舞伎絵や、実際に劇場を飾った絵看板を展示。また、スティーブ・ジョブズが自室に飾っていたことで知られる《朝寝髪》を含む新版画の美人画全22点と希少な試摺を一堂に展示するほか、屏風絵《みどりの雨》や《首尾の松/隅田川夕涼み/両国橋》といった肉筆美人画作品を展覧する。

会期:2026年9月1日~9月27日
会場:太田記念美術館
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10
電話:050-5541-8600
開館時間:10:30~17:30 ※入場は閉館の30分前まで
観覧料:一般 1200円 / 大高生 800円 / 中学生以下 無料

館蔵品展 さっぱり こってり 江戸絵画(板橋区立美術館)

 東京・板橋の板橋区立美術館で、「館蔵品展 さっぱり こってり 江戸絵画」が開催されている。会期は9月27日まで。

伝佐竹曙山《蝦蟇仙人図》 歸空庵コレクション

 本展は、「さっぱり」と「こってり」という対照的なふたつのキーワードを軸に、江戸絵画の豊かさや面白さを紹介。会場では、江戸狩野派の祖・狩野探幽による筆数を抑え余白を生かした軽みのある作品や、中国の花鳥画に倣った南蘋派、西洋の遠近法や陰影法を取り入れた洋風画などの作品を展示する。

会期:2026年8月29日~9月27日
会場:板橋区立美術館
住所:東京都板橋区赤塚5-34-27
電話:03-3979-3251
開館時間:9:30~17:00 ※入場は閉館30分前まで
観覧料:無料

企画展「山室眞二の薯版画〈かまくら博物誌〉/併陳 コレクション 暮らしの中で」(神奈川県立近代美術館 鎌倉別館)

 神奈川県立近代美術館 鎌倉別館で、企画展「山室眞二の薯版画〈かまくら博物誌〉/ 併陳 コレクション 暮らしの中で」が開催されている。会期は9月27日まで。

山室眞二《ツバメ》(2025)薯版、紙 作家蔵 撮影:鈴木静華

 山室眞二は1939年神奈川県横浜市生まれ。鎌倉市在住。横浜市立大学卒業後、建設省(現国土交通省)などに勤務。学生時代に木版画を始め、70年代にジャガイモを版とする薯(いも)版画に出合い、以降独学で制作を続ける。84年に藤沢市の画廊たくらで薯版画による初個展を開催。画文集『薯版deルナールとあそぶ』(2024)の出版や、山室自身が主宰する「シンジュサン工房」名義での造本、装幀・挿画など幅広い活動に取り組んでいる。

 50年以上にわたり薯版画を独学で創作し、その表現を深めてきた山室。本展では、ジュール・ルナール『博物誌』に倣い、「かまくら博物誌」をテーマに植物や小さな生物たちを取り上げた作品群を展示している。

 また、切手を模した作品や自筆の画文集、挿絵や装幀を含む造本類など、50年以上にわたる山室の仕事を多角的に紹介。加えて、親交のある志村ふくみ(1924〜、染織家・随筆家、人間国宝)の100歳を記念した新作《志村ふくみの言葉 百葉筥》を公開。本作品は、志村の言葉とそこから着想されたイメージを10センチ四方の紙に薯版で刷った100枚組の作品で、志村による糸や裂の小片も用いられている。

 あわせて「併陳 コレクション 暮らしの中で」では、同館コレクションから鳥海青児や麻生三郎らを取り上げ、家族や花など日常の物事を題材としたスケッチや素描を紹介する。

会期:2026年5月30日~9月27日
会場:神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
住所:神奈川県鎌倉市雪ノ下2-8-1 神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
電話:0467-22-5000
開館時間:9:30~17:00 ※入場は閉館30分前まで
観覧料:一般 700円 / 20歳未満・学生 550円 / 65歳以上 350円 / 高校生 100円 / 中学生以下、障害者手帳等またはミライロIDをご提示の方および介助者原則1名 無料

夢見る時代:昭和のメディアとひとびと(佐倉市立美術館)

 千葉県の佐倉市立美術館で「夢見る時代:昭和のメディアとひとびと」が開催される。会期は9月27日まで。

 昭和元年(1926)から100年を迎える年にあたって開催される本展は、「昭和」という時代に焦点をあて、社会が大きく変化するなかで人々が抱いた憧れやメディアの果たした役割を、約120点の作品・資料を通して取り上げる。

 会場では、晩年を佐倉で過ごした山川惣治が手がけた紙芝居や戦時中に『少年倶楽部』へ掲載された絵物語、『少年ケニヤ』の表紙原画、タイガー書房から発行された雑誌『ワイルド』などを紹介。あわせて、髙橋真琴の原画作品やイラストを手掛けた日用品、制作プロセスを紹介する資料を展示する。

 さらに、同館所蔵の池田満寿夫による版画作品に加え、映画『エーゲ海に捧ぐ』の関連資料を展示。また、佐倉出身の長嶋茂雄の活躍を振り返るとともに、新たに収蔵された旧蔵作品などを紹介する。

会期:2026年8月1日~9月27日
会場:佐倉市立美術館
住所:千葉県佐倉市新町210
電話:043-485-7851
開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館30分前まで
観覧料:無料

NHK日曜美術館50年展(静岡県立美術館)

 静岡市の静岡県立美術館で「NHK日曜美術館 50年展」が開催されている。会期は9月27日まで。

 本展は、美術番組の草分け的存在であるNHK「日曜美術館」の放送50周年を記念する展覧会だ。番組に登場した作品・作家のなかから厳選した名品や関連作品を、番組出演者による作品や作家への言葉、アトリエでの制作風景などの貴重な映像とともに紹介する。

 会場では、西洋・日本の絵画や彫刻、浮世絵、屏風、土器、伝統工芸など、ジャンルを超えた120点を超える名品を展示。また、作品が番組でどのように語られ、紹介されたのかを、当時の映像や言葉を通してたどることができる。

 さらに、第5章「作家の生き様と美アトリエ&創作の現場」では、制作中の作家の言葉や、作品が生み出される瞬間を捉えた映像を、作品とあわせて公開している。

会期:2026年7月18日~9月27
会場:静岡県立美術館
住所:静岡県静岡市駿河区谷田53-2
電話:054-263-5755
開館時間:10:00~17:30 ※展示室の入室は閉館30分前まで
観覧料:一般 1800円 / 70歳以上 900円 / 大学生以下、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・特定医療費(指定難病)受給者証・指定難病登録者証の交付を受けている方と付添者1名 無料

吉田璋也のデザイン-新作民藝運動がめざした未来(岐阜県現代陶芸美術館)

 岐阜県多治見市の岐阜県現代陶芸美術館で、特別展「吉田璋也のデザイン 新作民藝運動がめざした未来」が開催されている。会期は9月27日まで。

辰己木工《曲木肘掛応接椅子(民賞椅子)》(1957)鳥取民藝美術館

 吉田璋也(1898〜1972)は鳥取県出身。医師であり、柳宗悦が提唱した民藝の思想に共鳴し民藝運動に生涯を捧げた。自身を「民藝のプロデューサー」と称し、陶芸、木工、染織、金工など多岐にわたる分野で、地域の職人らと向き合いながら現代の生活にふさわしい日用品を指導・デザインした。

 吉田は、新作民藝の生産・流通・販売・普及を持続的な循環として確立するとともに、鳥取砂丘をはじめとする地元の自然や文化財保護活動にも取り組んだ。その実践は、民藝を通じた社会のデザインでもあった。

 本展では、吉田の新作民藝運動の思想と実践の軌跡に注目し、吉田の蒐集品や自身が手がけた新作民藝の数々、関連資料を通して紹介する。

会期:2026年7月11日~9月27日
会場:岐阜県現代陶芸美術館
住所:岐阜県多治見市東町4-2-5 セラミックパークMINO内
電話:0572-28-3100
開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館30分前まで
観覧料:一般 1200円 / 大学生 1000円 / 高校生以下、身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳・特定医療費(指定難病)受給者証をお持ちの方および付添いの方1名まで 無料

チェコ絵本の作り方―ボローニャ国際絵本展 受賞絵本から日・チェコ共作のコミックまで―(芦屋市立美術博物館)

 兵庫県の芦屋市立美術博物館で「チェコ絵本の作り方―ボローニャ国際絵本展 受賞絵本から日・チェコ共作のコミックまで―」が開催されている。会期は9月27日まで。

ミハエラ・クコヴィチョヴァー『ジス・イズ・プラハ』挿絵(2015)©Michaela Kukovičová

 本展は、素朴さと同時に洗練されたデザイン性をあわせもつチェコの絵本を通して、チェコ児童書の歴史と現代の創作を紹介する展覧会だ。母国語や自国の文化を守り伝えるため、多くの作家が生み出してきた芸術性のある絵本や現代作家たちの最新鋭の創作を、原画、リトグラフ、デッサン、制作過程の資料などとともに展示している。

 草創期のチャペック兄弟やヨゼフ・ラダ(1887〜1957)による貴重な絵本から、「チェコの美しい本コンクール」児童書部門の受賞作品などを展示し、チェコ絵本の豊かな歴史を紹介する。また、出版社baobabを中心に、ボローニャ国際絵本展ラガッツィ賞受賞作『ミコ、キノコの世界の完全な情報誌』をはじめとする現代作家の制作過程をたどる。

 さらに、絵本と密接に発展してきたチェコのコミック文化にも注目し、日本滞在経験をもとに制作された日・チェコ共同のコミックなど、多彩な作品を公開している。

会期:2026年7月14日~9月27
会場:芦屋市立美術博物館
住所:兵庫県芦屋市伊勢町12-25 芦屋市立美術博物館
電話:0797-38-5432
開館時間:10:00~17:00 ※入場は閉館30分前まで
観覧料:一般 1200円 / 大学・高校生 600円 / 中学生以下 無料

「それいけ!応挙塾ー円山応挙とその弟子たちー」(嵯峨嵐山文華館)

 嵯峨嵐山文華館で、企画展「それいけ!応挙塾 ー円山応挙とその弟子たちー」が開催される。

 円山応挙(1733~95)は、現在の京都府亀岡市に生まれ、20代の頃には西洋の遠近法を取り入れた「眼鏡絵」の製作に携わった。狩野派の絵師・石田幽汀(1721~86)に師事して基礎を学び、その後「写生」を重視する画法を確立して当時の絵画界に変革をもたらした。さらに多くの弟子を育てることで、「新しい日本画」の基礎を築いたことでも知られている。

 本展では、円山応挙の《虎図》や《陶淵明図屏風》などを展示するほか、応挙がつくり出した「新しい日本画」の展開を、弟子である源琦(1747~97)や長沢芦雪(1754~99)の作品を通して紹介。さらに、新発見の作品として、応挙の弟子・山口素絢(1759~1818)に師事した孫弟子・矢野夜潮(1782~1829)の作品約40点を公開する。

会期:2026年4月25日~9月27日
会場:嵯峨嵐山文華館
住所:京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町11
電話:075-882-1111
開館時間:10:00~17:00 ※入場は閉館30分前まで
観覧料:一般・大学生 1000円 / 高校生 600円 / 小学・中学生 400円

青森県立美術館開館20周年「装飾する魂 ユーロ =アジア世界をつなぐ文様の宇宙―縄文、ケルトから、ねぶたまで」(青森県立美術館)

 青森市の青森県立美術館で、同館の開館20周年「装飾する魂 ユーロ=アジア世界をつなぐ文様の宇宙―縄文、ケルトから、ねぶたまで」が開催されている。会期は9月27日まで。

棟方志功《飛神の柵》(1968)棟方志功記念館

 本展は、世界の装飾文化に深い考察をめぐらせてきた多摩美術大学名誉教授・鶴岡真弓の監修のもと、「装飾」をテーマに、ヨーロッパのケルト装飾写本から、「世界文化遺産:北海道・北東北の縄文遺跡」の土器・土偶、アイヌやナナイなど北方の民の衣装や宝飾品、棟方志功の板画、「ねぶた」までを紹介。「西の極み・ケルト」から「東の極み・日本」までの「装飾/文様の宇宙」を、鶴岡が提唱する「ユーロ=アジア世界」の広がりのなかで展観する。

 同館の設計を手がけた建築家・青木淳による「青森県立美術館の装飾、もしくは被覆」も開催。「装飾、もしくは被覆」をテーマに、建築マップと青木自身によるキャプションをもとに館内外を巡りながら、建築に施された様々な工夫を見ることができる。

会期:2026年7月11日~9月27日
会場:青森県立美術館
住所:青森県青森市安田字近野185
電話:017-783-3000
開館時間:9:30~17:00 ※入場は閉館30分前まで
観覧料:一般 1700円 / 大学生 1200円 / 18歳以下および高校生、心身に障がいのある方と付添者1名 無料

札幌芸術の森開園40周年記念 「Flowering Garden 花と獣 いろとかたち」(札幌芸術の森美術館)

 北海道札幌市の札幌芸術の森美術館ほか各会場で、札幌芸術の森の開園40周年を記念した展覧会「花と獣 いろとかたち」が開催されている。会期は9月27日まで。

 本展は、草花の彩りや四季のうつろい、動物の凛とした佇まいやあどけない仕草など、人々を魅了してきた動植物の姿に注目。美術家たちの眼差しを通して描かれ、彫り出された動植物の表現を通じて、生命を創造の源泉としてきた営みを紹介する。

 会場では、動植物を主題とした絵画、彫刻、写真などを、美術館展示室だけでなく札幌芸術の森園内の屋外スペースにも展示。それぞれの作家たちが生命と向き合い、「色」や「形」で表現した花と獣の世界を、自然豊かな芸術の森を巡りながら鑑賞することができる。

 出展作家は、蜷川実花、木下めいこ、瀬戸優、石黒昭、高田洋三、岡田敦、佐藤正和重孝、粂原愛、河嶋淳司、土屋仁応、田中福男、鈴木果澄、猪熊佳子、藤戸竹喜、澁谷俊彦、札幌市立大学(椎野亜紀夫研究室)、谷口顕一郎・彩子、小助川裕康、上ノ大作、国松希根太、北川陽稔、前田明日美、はしもとみお。

会期:2026年7月11日~9月27日
会場:札幌芸術の森美術館、札幌芸術の森野外美術館、佐藤忠良記念子どもアトリエ、有島武郎旧邸
住所:北海道札幌市南区芸術の森2-75(札幌芸術の森美術館)

電話:011-591-0090
開館時間:9:45~17:00 ※入場は閉館30分前まで
観覧料:一般 1600円 / 65歳以上の方 1400円 / 高校・大学生 1000円 / 小学・中学生 500円 / 未就学児、障がい者手帳をご提示の方と付添の方1名 無料

たのしむ美術館(宮崎県立美術館)

 宮崎県立美術館で「たのしむ美術館」が開催されている。会期は9月27日まで。

パウル・クレー《歩く女》(1940)宮崎県立美術館

 本展は、子供から大人まで、気軽に美術を楽しむことができる展覧会として作品が構成される。

会期:2026年6月28日~9月21日
会場:宮崎県立美術館
住所:宮崎県宮崎市船塚3-210
電話:0985-20-3792
開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館30分前まで
観覧料:無料

舘鼻則孝 展「Venus」(Joshibi SPACE 1900)

 神奈川県相模原市のJoshibi SPACE 1900で、「舘鼻則孝 展『Venus』」が開催されている。会期は9月30日まで。

©︎NORITAKA TATEHANA K.K.

 本展は、同大学において歴史や精神を象徴する存在でもある「Venus」という主題を見つめ直すもの。会場では、新作となる大型肖像画を中心に、古代彫刻や神話に由来する図像を出発点としながら、それらを現代の肖像として再構成した作品を発表する。過去の名作を引用することでも、美の理想像を描くことでもない、「Venus」というアーキタイプを現代の肖像として捉え直す試みだ。

 なお本展は、NORITAKA TATEHANA STUDIOと女子美術大学 デザイン・工芸学科 工芸研究室による舘鼻則孝の創作活動15周年記念展覧会「リシンク –舘鼻則孝と手しごと– 展」の同時開催展として開催される。

会期:2026年9月10日〜10月6日
会場:女子美アートミュージアム
住所:神奈川県相模原市南区麻溝台1900 女子美術大学 相模原キャンパス10号館1階 
開館時間:10:00〜17:00 ※入場は閉館の30分前まで 
休館日:日、祝 
料金:無料

今週開幕

September JAM  奈良美智「一曲で一枚! ーライブの中で描いた絵たち」(はじまりの美術館)

 福島・猪苗代のはじまりの美術館で、September JAM 奈良美智「一曲で一枚!―ライブの中で描いた絵たち」が開催されている。会期は9月21日〜11月3日。

メインビジュアル © Yoshitomo Nara

 本展は、猪苗代町を舞台に開催される総合芸術祭「September JAM」の一環として行われるもの。奈良美智が「オハラ☆ブレイク」などのライブイベントで、音楽とともに手がけてきたライブドローイングを中心に紹介する。リハーサルを行わず、その場の空気や演奏に呼応しながら、一曲のうちに一枚の作品を描き上げるという奈良の即興的な制作に焦点を当てる。

 奈良はこれまで、猪苗代をはじめ全国各地でライブドローイングを行ってきた。本展では、そうした作品を通して、音楽と美術というジャンルを横断しながら生まれる表現を紹介。猪苗代の風景や音楽、その場に集う人々とともに生み出されてきた作品から、奈良の創作とこの土地との関わりをたどる。

 なお、September JAMは東日本大震災から15年を迎える2026年に初開催される芸術祭で、猪苗代町内の複数会場に作品を展開。はじまりの美術館では奈良美智の展示が行われるほか、町内では相川勝、浅井健一、淺井裕介、のん、マイケル・ケンナ、松岡亮、箭内道彦らの作品も紹介される。

会期:2026年9月21日~2026年11月3日
会場:はじまりの美術館
住所:福島県耶麻郡猪苗代町4873
電話番号:0242-62-3454
開館時間: 10:00~18:00
休館日:火 ※9月22日、11月3日は開館、9月24日は振替休館
料金:一般 1800 円 / 高校生 1000円 / 15歳以下無料

開館50周年記念「アルベール・マルケ展」(SOMPO美術館)

 東京・新宿のSOMPO美術館で「アルベール・マルケ展」が開催される。会期は9月22日〜12月13日。

アルベール・マルケ《ラ・フレットへの道》(1945)油彩/カンヴァス 65×81 cm ボルドー美術館 ⓒMairie de Bordeaux, Musée des Beaux-Arts, photo F. Deval

 アルベール・マルケ(1875〜1947)はフランス・ボルドー生まれ。母に伴われパリへ移住した。国立装飾美術学校で学んだのち、1892年にアンリ・マティスと出会い、翌年ギュスターヴ・モロー教室に入学。90年代の終わりからマティスとともに大胆な色彩による作風を展開し、のちにフォーヴィスムと呼ばれる活動に加わった。その後、独特な灰色をはじめとする中間色を用いた風景画を描くようになり、マティスからは「我らの北斎」と称された。

 本展は、同館の開館50周年を記念して開催される、日本におけるマルケの35年ぶりの回顧展となる。作家ゆかりの重要なパブリックコレクション、日本の主要美術館、日仏の個人所蔵家から厳選された作品約90点を展示し、初期から晩年に至る画風の変遷をたどる。

 会場では、マティスらと展開したフォーヴィスムの作風から、中間色のトーンの対比によって描いた風景画を展覧。「マルケのグリ(灰色)」と呼ばれる独特な灰色の使い方や、パリの自宅から眺めたセーヌ、南仏やアルジェなど旅先で出会った水辺の情景を紹介する。

会期:2026年9月22日~12月13日
会場:SOMPO美術館
住所:東京都新宿区西新宿1-26-1
電話:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(金は〜20:00) ※入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし10月12日、11月23日は開館)、9月24日、10月13日、11月24日
観覧料:一般 2000円 / 25歳以下 1200円 / 高校生以下 無料

国立民族学博物館特別展・令和8年度アイヌ工芸品展「沙流川に生きる ——サルンクㇽの近代 Nupursar kotan ta: sinrit orwano tan te pakno」(国立民族学博物館)

 大阪・吹田の国立民族学博物館で、特別展・令和8年度アイヌ工芸品展「沙流川に生きる サルンクルの近代」が開催される。会期は9月25日〜12月15日。

 本展が焦点を当てるのは、日高山脈に源を発し太平洋へと注ぐ沙流川の流域で暮らしてきたアイヌ民族だ。この地域では古くから多くのアイヌ民族が生活し、近代以降の急激な社会の変化のなかでも、その歴史や文化が受け継がれてきた。展覧会では、沙流川流域で収集された工芸品をはじめ、写真や文書、子孫の言葉などを通して、先祖の時代から現在までを生きてきた人々の姿を紹介する。

 なかでも、平村ペンリウク(1833〜1903)、二谷国松(1888〜1960)、菅野茂(1926〜2006)、貝澤守幸(1935〜1977)という4人に着目。二谷国松が着用した衣服や、熊送りの祭場で撮影された写真、木彫を手がける貝澤守幸の姿とその作品など、個々の人物にまつわる資料を取り上げる。工芸品を単独の造形物として見るだけではなく、それらを生み出し、使い、伝えてきた人々の営みとともに、沙流川流域におけるアイヌ民族の近代をたどる展覧会となる。

会期:2026年9月25日~12月15日
会場:国立民族学博物館 特別展示
住所:大阪府吹田市千里万博公園10-1
開館時間:10:00~17:00 ※入場は閉館30分前まで
休館日:水 ※ただし、水曜日が祝日の場合は翌平日
観覧料:一般1200円 / 大学生600円 / 高校生以下無料

秋季特別展「百済寺と近江の仏教美術―百済寺秘仏公開によせて―」(MIHO MUSEUM)

 滋賀・MIHO MUSEUMで、2026年秋季特別展「百済寺と近江の仏教美術―百済寺秘仏公開によせて―」が開催される。会期は9月26日〜12月6日。

《聖徳太子六随臣像》(江戸時代・17世紀)百済寺

 滋賀県東近江市、鈴鹿山脈の西麓に位置する百済寺は、湖東三山のひとつに数えられる古刹。聖徳太子による創建と伝わり、中世には有力な天台寺院として多くの子院を従えた。ポルトガル人宣教師ルイス・フロイスがその壮麗な姿を「地上の天国」と記した一方、天正年間には織田信長によって焼き討ちに遭うなど、火災と復興を重ねてきた歴史を持つ。

 本展では、本堂の保存修理にともない、百済寺の秘仏である本尊《木造十一面観音立像》(8世紀)を寺外で初公開。同像は近年の調査によって8世紀後半までに造像されたことが明らかとなったもので、古代近江における寺院文化を伝える重要な作例となる。

 会場ではこのほか、《金銅誕生釈迦仏立像》(8世紀)、《金銅弥勒半跏像》(8世紀)、《金銅唐草文磬》(12世紀)、《信楽焼桧垣文壺》(15世紀)、《絹本著色黄不動尊像》(14世紀)など、百済寺の寺宝と近江各地に伝わる仏教美術を紹介。古代寺院や金銅仏、天台宗との関係、出土遺物、絵画、中・近世史料、近江の木彫仏などを通して、百済寺の歩みと近江に育まれた仏教文化をたどる。

会場:MIHO MUSEUM 
住所:滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300 
会期:2026年9月26日〜12月6日 
開館時間:10:00〜17:00 ※入場は閉館1時間前まで 
休館日:月(祝日の場合は翌平日) 
料金:一般1300円 / 大学・高校生1000円 / 中学生以下無料