2026.9.1

9月に見たい展覧会ベスト19

2026年9月に開幕する展覧会のなかから、とくに注目したいものを編集部がピックアップしてお届けする。

レオナルド・ダ・ヴィンチ《女性の肖像》、誤って付された別称《美しきフェロニエール》(1490〜97頃) パリ、ルーヴル美術館蔵 © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Michel Urtado
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「瀧本幹也 LUNATION 朔望 -海から天体を読む」(茅ヶ崎市美術館)

 神奈川県茅ヶ崎市の茅ヶ崎市美術館で「瀧本幹也 LUNATION 朔望―海から天体を読む」が開催される。

展覧会キービジュアル

 瀧本幹也は、1974年愛知県生まれの写真家。98年に瀧本幹也写真事務所を設立した。広告写真やコマーシャルフィルム、映画など幅広い分野の撮影を手がける。映画撮影では是枝裕和監督の『そして父になる』でカンヌ国際映画祭コンペティション審査員賞、『海街diary』で日本アカデミー賞最優秀撮影賞を受賞した。

 本展は、国内美術館で初の大規模個展となる展覧会だ。会場では、ケネディ宇宙センターのスペースシャトルと地球の営みを対比させた《LAND SPACE》や、多様な海面の表情をとらえた《GRAIN OF LIGHT》、足元の草花や寺院に焦点を当てた《LUMIÈRE》《PRIÈRE》などを紹介する。また、海辺の街にある同館の特性を活かし、新月と満月がもたらす朔望を軸に海の表情と天体の運動、水面に注ぐ微光から人類の生命へと思いを馳せる新作《LUNATION 朔望》も展示する。

会期:2026年9月2日~11月8日
会場:茅ヶ崎市美術館
住所:神奈川県茅ヶ崎市東海岸北1-4-45
電話:0467-88-1177
開館時間:10:00~17:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(9月21日、10月12日は開館)、9月24日、10月13日
観覧料一般 1200円 / 大学生 1000円 / 高校生以下 無料

「第3回コレクション展『像は燃え、像は歪み、そして光に昇華する』同時開催:茶陶と現代陶芸展『時のうつほ』」(UESHIMA MUSEUM)

 東京・渋谷のUESHIMA MUSEUMで、第3回コレクション展「像は燃え、像は歪み、そして光に昇華する」と、茶陶と現代陶芸展「時のうつほ」が同時にスタートする。

第3回コレクション展『像は燃え、像は歪み、そして光に昇華する』B1F展示風景

 UESHIMA MUSEUMは、実業家・植島幹九郎が収集したUESHIMA MUSEUM COLLECTIONを公開する場として2024年に開館。「同時代性」をテーマに、国内外のアーティストによる850点を超える作品を収蔵している。今回の展示刷新では、そのコレクションから作品を選び、異なる視点を持つ2つの展覧会を展開する。

 第3回コレクション展「像は燃え、像は歪み、そして光に昇華する」を手がけるのは、前回の第2回コレクション展に続き2025年3月まで金沢21世紀美術館館長を務めたキュレーターの長谷川祐子。地下1階から5階までの6フロアを使い、「消滅と風景」「都市と痕跡」「反復と像」「肖像と隠蔽」「断片と都市」「光と影──像を手放す場所へ」というテーマのもとで作品を構成する。

いっぽう6階では、茶の湯の伝統と現代美術との交わりに焦点を当てる新たな取り組みの第1弾として、「時のうつほ」を開催。360年以上続く茶陶の名窯・大樋焼の家系に生まれ、建築と陶芸の双方を学びながら制作を続けてきた陶芸家・建築家の奈良祐希がキュレーションを手がける。

会期:2026年9月2日〜
会場:UESHIMA MUSEUM
住所:東京都渋谷区渋谷1丁目21番18号 渋谷教育学園 植島タワー
開館時間:11:00〜17:00 ※入場は閉館の1時間前まで
休館日:月(月曜が祝日の場合は開館、翌平日休館) 
料金:一般1800円 / 高校・中学生500円 / 小学生以下無料

「生誕150年 吉田博展」(MOA美術館)

 静岡県熱海市のMOA美術館で「生誕150年 吉田博展」が開催される。

吉田博《街道と馬》(1908頃)水彩

 吉田博は明治、大正、昭和にかけて活躍した風景画家。自ら実際に体感した国内外の風景を題材とし、水彩画、油彩画、木版画など多彩な技法で作品を手がけた。

 本展では、近年アメリカで発見され日本初公開となる水彩画の大作《街道と馬》(1908頃)をはじめとする水彩画、山岳風景を描いた油彩画、後半生に傾倒した私家版木版画を一堂に紹介。また、作品の現在の風景を独自に取材・撮影した写真パネルとの比較展示を行うほか、高精細で撮影した作品を大画面で投影する。

会期:2026年9月4日~10月20日
会場:MOA美術館
住所:静岡県熱海市桃山町26-2
電話:0557-84-2511
開館時間:09:30~16:30 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:木(祝休日の場合は開館)
観覧料:一般 2000円 / 高大生 1400円 / 中学生以下 無料

「平子雄一展 HUMAN AND NATURE」(東京ミッドタウン日比谷 ホール)

 東京ミッドタウン日比谷内のイベントスペースが「東京ミッドタウン日比谷 ホール」として9月1日にリニューアルオープンする。そのこけら落としのひとつとして、平子雄一による個展が開催される。

岡山県立美術館「瀬戸芸美術館連携プロジェクト平子雄一展 ORIGIN」(2025)展示風景 © Yuichi Hirako photo by Osamu Sakamoto

 平子雄一は1982年岡山県生まれ。自然と人間の共存関係のなかに浮上する曖昧さや疑問をテーマとして現在は東京を拠点に制作活動を行っている。

 東京ミッドタウン日比谷の屋内外空間の会場では、本展に合わせて制作された新作を中心に、絵画や立体作品、大規模なインスタレーションを展示。日常の都市空間に突如として平子独自の表現を用いた作品群が現れるような構成となる。また、会期中にはトークイベントやワークショップといった企画も実施される予定だ。

会期:2026年9月5日〜10月18日(展覧会)、2026年9月4日〜9月26日(屋外インスタレーション)
会場:東京ミッドタウン日比谷
住所:東京都千代田区有楽町一丁目1番2号 

「共時的星叢──時を共にした星たち 越境する芸術のまなざし」(東京都現代美術館)

東京・清澄白河の東京都現代美術館で、「共時的星叢(せいそう)──時を共にした星たち 越境する芸術のまなざし」が開催される。

 本展は、日本統治下の台湾にシュルレアリスムを導入しようと試みた詩人たちの営みを追った映画『日曜日の散歩者』(2015)の監督である黄亜歴(ホアン・ヤーリー)をゲストキュレーターに迎えて企画された。同作をめぐる思索や編集手法を展示空間へと展開し、台湾近代美術の作品約200点、関連資料約600点に、日本の作品約100点を交えた大規模な展示構成となる。

 会場の空間設計を手がけるのは、台湾を拠点に活動する建築家ユニット「UxU Studio(ユーバイユー スタジオ)」。彼らは「日常のなかの非日常」をコンセプトに多様なプロジェクトを展開しており、本展では反射する素材を用いた構造を採用している。ここに黄亜歴のディレクションによる映像が加わることで、展示室全体が場全体を巻き込むひとつのインスタレーションとして機能することが目指される。

会期:2026年9月5日〜12月13日
会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F/3F
住所:東京都江東区三好4-1-1
開館時間:10:00〜18:00 ※展示室入場は閉館の30分前まで 
休館日:月(9月21日、10月12日、11月23日は開館)、9月24日、10月13日、11月24日 
料金:一般2000円 / 大学生・専門学校生・65 歳以上1400円 / 中高生800円 / 小学生以下無料

「牛嶋均 さわひらき ともにある風景」(金沢21世紀美術館)

 金沢21世紀美術館で、牛嶋均とさわひらきを紹介する展覧会「牛嶋均 さわひらき ともにある風景」が開催される。

左:牛嶋均《新作のためのスケッチ》(2026)、右:さわひらき《くろとしろ》のためのイメージ写真 (2026) 写真提供:金沢21世紀美術館

 本展は、地震によって作品や公開場所が被災した両作家の表現を通して、災害によって失われたものを惜しむだけでなく、その経験を未来へつなぐ創造的なプロセスそのものを提示する試みだ。作品を元の姿に戻す「修復」ではなく、新たな場所との関係のなかで作品が変化し続ける可能性に着目する。

 会場では、被災した彫刻を再構成する牛嶋の作品と、珠洲でのリサーチをもとに制作されたさわの映像インスタレーション作品《くろとしろ》などを展示。表現手法の異なる2人がそれぞれ土地や人との結びつき、記憶や風景に向き合い、過去・現在・未来を結び直すことを試みる。

会期:2026年9月8日〜2027年4月18日
会場:金沢21世紀美術館 長期インスタレーションルーム、プロジェクト工房
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
電話番号:076-220-2800
開館時間:10:00〜18:00(金・土〜20:00)
休館日:月、9月24日、10月13日、27日、11月24日、12月29日〜1月1日、12日、3月23日(ただし、9月21日、10月12日、26日、11月23日、1月11日、3月22日は開場)
料金:無料

「ルーヴル美術館展 ルネサンス」(国立新美術館)

 ルーヴル美術館展「ルーヴル美術館展 ルネサンス」が国立新美術館で開催される。

レオナルド・ダ・ヴィンチ《女性の肖像》、誤って付された別称《美しきフェロニエール》(1490〜97頃) パリ、ルーヴル美術館蔵 © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Michel Urtado

 本展は、イタリアで花開き、15世紀から16世紀にかけてヨーロッパ各地で隆盛したルネサンス美術の本質的な特徴のいくつかを、選び抜かれた50点余りの作品を通して浮かび上がらせることを試みるもの。出品作の多くは15世紀末から16世紀後半(1575年頃まで)に制作されたもので、ルネサンス様式の誕生そのものよりも、それが広まった時代に焦点を当てる。

 なかでも目玉となるのは、レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452〜1519)の傑作のひとつである《女性の肖像》、通称《美しきフェロニエール》の日本初公開だ。

 現存するダ・ヴィンチの真筆とされる絵画作品はわずか15点ほど。ルーヴル美術館にはそのうち5点が所蔵されている。本展では最新の研究動向を踏まえながら、この作品が生まれた背景や表現上の特徴に光を当てるという。

会期:2026年9月9日〜12月13日
会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所:東京都港区六本木7-22-2
開館時間:10:00~18:00(金、土は〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:火 ※ただし9月22日、11月3日、12月8日は開館、11月4日は休館
料金:一般 2400円 /  大学生 1400円 / 高校生1000円

「Tokyo Gendai」(横浜国際平和会議場(パシフィコ横浜))

 現代美術に特化した国内最大級の国際アートフェア「Tokyo Gendai」が、パシフィコ横浜で開催される。

 2023年の初開催以来、日本と海外のアートシーンを結ぶハブとして存在感をじょじょに高めてきたTokyo Gendai。今回は日本、欧米、アジア、オセアニア、南米からギャラリーとアーティストが集結。63のギャラリー(6月24日時点)を「Galleries」「Hana ‘Flower’」「Eda ‘Branch’」「Miki ‘Trunk’」「Tane ‘Seed’」の5セクターに分け、国際的に著名なアーティストの代表作から、最前線で活躍する若手アーティストまで幅広い現代美術を紹介する。

会期:2026年9月11日〜13日 ※招待客向けプレビューおよびヴェルニサージュは9月10日
会場:横浜国際平和会議場(パシフィコ横浜) 展示ホールC/D
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1
料金:一般 5000円 / ヴェルニサージュ 30000円 / 大学生 1500円 / 中高生 1000円 / 小学生以下無料

「NEW PLATFORM – Alternative JAPAN –」(Art Center NEW)

 横浜市の新高島駅にあるArt Center NEWで、アートフェア「NEW PLATFORM – Alternative JAPAN –」が開催される。

 本アートフェアでは、北海道から沖縄まで日本全国のオルタナティブスペースが集結する。オルタナティブスペースとは、美術館やコマーシャルギャラリーとは異なり、独自の方法で表現活動を続ける自立的なアートスペースのこと。「NEW PLATFORM」は、そうしたスペースが一堂に集い、実践や運営の知見を共有する場として同施設で年に一度開催されているプラットフォーム企画だ。

 会期中は出展者同士によるクロストークのほか、キュレーター・グラフィックデザイナーの堤拓也をゲストに迎えたトークイベントを開催。さらに、出展者によるパフォーマンスも予定されている。

 また会場では、アジアにルーツを持つ作家を対象としたレジデンス・プログラム「NEW AIR 2026」を通じて、2ヶ月間横浜で滞在制作を行った海外アーティスト2名による成果発表展も同時開催される(公開制作は9月3日〜9日)。9月12日には滞在作家と審査員によるクロストークも実施予定だ。

会期:2026年9月11日〜13日
会場:Art Center NEW
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい 5-1 新高島駅地下1階 
開館時間:12:00〜20:00
料金:一般[前売り]1300円[当日]1500円 / 学生[前売り・当日]1100円 / 高校生以下無料 ※全出展者の活動紹介が掲載されたカタログ付き

「下呂 Art Discovery 2026」(岐阜県下呂市内 各所)

岐阜県下呂市で新たな芸術祭「下呂 Art Discovery 2026」が開催される。

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 総合ディレクターを務めるのは、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」「瀬戸内国際芸術祭」などで総合ディレクターを務めてきた北川フラム。2024年秋に行われた「南飛騨 Art Discovery」の成功を受けて発足した。日本三名泉のひとつである下呂温泉を擁する自然豊かな地域を舞台に、森や古い町並み、木造校舎の廃校などを活用したサイトスペシフィックなアートを展開する。テーマは「Art × Discovery」。アートと温泉に浸りながら心身・五感を開放し、 地域と自分自身を発見する機会となることを目指す。

 本芸術祭には11の国と地域から40〜50組ほどのアーティストが参加予定。会場は飛騨川沿いの温泉街の街並みや合掌村がある「下呂エリア」、自然豊かな南飛騨健康増進センターと萩原商店街を舞台とした「萩原エリア」、築70年の旧湯屋小学校が舞台となる御嶽山の麓の「小坂エリア」の3つのエリアから構成される。

会期:2026年9月11日〜11月8日
会場:岐阜県下呂市内 各所
電話番号:0576-24-2222 
閉場日:火 ※ただし、祝日を除く
料金:[前売]2000円 [当日]2500円 / 高校生以下無料

「丸木スマ展 73歳からのアーティスト」(滋賀県立美術館)

 滋賀県大津市の滋賀県立美術館で、「丸木スマ展 73歳からのアーティスト」が開催される。

丸木スマ《柿もぎ》(1949) 原爆の図丸木美術館

 丸木スマは1875年広島県生まれ。農作業や船宿業に従事し、長年家族の暮らしを支えたのち、70歳のときに爆心地から約2.5キロの自宅で被爆。その翌年には夫と死別するという過酷な体験をする。終戦から3年が経った1948年、長男の丸木位里とその妻・丸木俊の勧めにより、73歳で初めて絵を描き始めた。身近な自然や生き物を独自の色彩と構図で描き、50年以降には女流画家協会展や再興日本美術院展などで入選を重ね、70代にして異例の画壇デビューを飾る。81歳で没するまでの9年ほどの間に700点以上もの作品を残した。

 本展では、スマの初期から晩年までの作品や関係資料など約130点が展示される。最晩年の大作《簪》(1955)をはじめ、花や野菜、身近な動物たちが画面いっぱいに描かれた「曼荼羅」とも評される躍動感あふれる絵画が一堂に会する。

会期:2026年9月11日〜11月23日(会期中一部展示替えあり)
会場:滋賀県立美術館
住所:滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1
電話番号:077-543-2111 
開館時間:9:30〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月、9月24日、10月13日(ただし、9月21日~23日、10月12日、11月23日は開館)
料金:一般 1200円 / 高大生 800円 / 小中生 600円 / 未就学児・身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳をお持ちの方とその介助者は無料

「北からの風:棟方志功と奈良美智」(南砺市立福光美術館)

 富山県の南砺市立福光美術館で、企画展「北からの風:棟方志功と奈良美智」が開催される。

左:榛方志功《審判の柵》 楝方志功記念館、右:奈良美智《White Riot》 青森県立美術館 ©Yoshitomo Nara

 青森県出身のアーティスト・棟方志功(1903〜1975)と奈良美智(1959〜)。生まれた時代も作品のジャンルも異なるふたりは、人間の感情や個を超えた存在を独自の方法で表現している。本展では、奈良の作品50点以上、棟方の大作を含む30点以上を展示。青森という土壌が醸成させたそれぞれの深い精神性を紐解く内容となる。


会期:2026年09月12日〜10月25日
会場:南砺市立福光美術館
住所:富山県南砺市法林寺2010
電話番号:0763-52-7576 
開館時間:9:00~17:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:火、9月24日(ただし、9月22日は開館)
料金:一般1200円 / 高大生210円 / 小学生以下無料

「川口市立美術館 開館記念特別展 蜷川実花展 はじまりの光」(川口市立美術館)

 2026年9月に埼玉県川口市に新たに開館する川口市立美術館。その開館記念特別展として、「蜷川実花展 はじまりの光」が開催される。

蜷川実花《Self-image》(2013) ©mika ninagawa / bookshop M Co.,Ltd. / Courtesy of Tomio Koyama Gallery

 写真家、映画監督、現代美術家として幅広く活動してきた蜷川実花。近年はクリエイティブチーム「EiM(エイム)」とともに、大規模なインスタレーション作品を国内外で発表している。本展ではそうした近年の活動とは異なり、蜷川の創作の出発点である「写真」を軸に、映像や家族の記憶を織り交ぜながら、その表現の核心を掘り下げるものとなる。

 展示は2つの章で構成される。第1章では、初公開となる新作を含む写真作品を紹介。中心となるのは、デビュー作でもあり、20代から現在まで約30年にわたって断続的に撮影されてきたモノクロのセルフポートレイト「Self-image」だ。怒りや不安、戸惑い、寂しさ、虚無といった感情を映し出す作品群がまとまって展示されるのは、今回が初となる。

 第2章では、蜷川の表現世界に大きな影響を与えた家族との記憶に焦点を当てる。若き日の両親が写るアルバムを蜷川自身が再撮影した新シリーズ「First Light」を初公開。過去の写真に娘としての視線を重ねることで、写真に記録された家族の記憶を現在へと呼び戻す。

会期:2026年9月12日〜11月29日
会場:川口市立美術館
住所:埼玉県川口市川口3-1-2
開館時間:10:00〜18:00 ※夜間開館を実施予定
休館日:月(9月21日、10月12日、11月23日は開館)、9月24日、10月13日、11月24日
料金:一般 2000円 / 大学生 1500円 / 高校生 1000円  /中学生以下無料

「カンディンスキー 世界は鳴りひびく ―日本のコレクションでたどる画業と反響―」(宮城県美術館)

 栃木県宇都宮市の宇都宮美術館で、「カンディンスキー 世界は鳴りひびく ―日本のコレクションでたどる画業と反響―」が開催される。

ワシリー・カンディンスキー《支え無し》(1923)キャンバスに油彩 97.3×93.7㎝ ポーラ美術館

 ロシアに生まれ、活動期の多くをドイツやフランスといった異国で過ごした画家ワシリー・カンディンスキー(1866〜1944)は、「抽象絵画」の創始者のひとりとして知られている。また、カンディンスキーは東洋や日本の芸術からも多くの示唆を得ており、日本でも1910年代という早い時期からその作品と理論を積極的に受容してきた。本展は、日本との関係にも着目しつつ、国内に収蔵されている作品を集結させ、初期から晩年までのカンディンスキーの画業を通覧する初の機会となる。

 画家自身が「童話のような」「新しいロマンティシズム」と評したように、本展は深い華やぎに満ちた絵画世界を堪能できる貴重な機会となるだろう。なお、会期中には、講演会やワークショップ、学芸員による見どころガイドなどの関連イベントも多数実施される予定だ。

会期:2026年7月19日〜9月3日
会場:宇都宮美術館
住所:栃木県宇都宮市長岡町1077
電話番号:028-643-0100
開館時間:9:30~17:00 最終入館は16:30まで
休館日:月(ただし7月20日は開館)、7月21日
料金:一般 1200円 / 高大生 1000円 / 小中生 800円

江戸東京博物館リニューアル記念・NHK大河ドラマ特別展「豊臣兄弟!」(江戸東京博物館)

 東京・両国の東京都江戸東京博物館でNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の放送と連動した特別展「豊臣兄弟!」が開催される。

大和郡山市指定文化財 豊臣秀長像(部分) 1788 奈良・春岳院蔵(前期)

  『豊臣兄弟!』は、「彼が長生きしていれば豊臣家の天下は安泰だった」とまで言わしめた豊臣秀吉の弟・秀長の目線で、戦国時代をダイナミックに描く物語。本展は、その秀長を主役に据えた構成で、史料や肖像画、書状、茶器など希少な関連文化財を通して、穏健ながら戦略的な調整者という人物像を紐解くもの。

 なお本展では、ドラマ主演の仲野太賀が音声ガイドのナビゲーターとして参加。渡邊あゆみアナウンサーのナレーションとの掛け合わせで、戦国の息吹を現代に伝える試みもなされる。

会期:2026年9月15日〜11月8日
会場:東京都江戸東京博物館
住所:東京都墨田区横網1-4-1
開館時間:9:30〜17:30(土〜19:30) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし7月20日、8月10日は開館)、7月21日
料金:一般2100円  / 大学生・専門学校生 1300円 /  65歳以上 1600円 / 高校生以下無料

清川あさみ|名和晃平「Invisible Garden」(ポーラ ミュージアム アネックス)

 東京・銀座のポーラ ミュージアム アネックスで美術家・清川あさみと彫刻家・名和晃平の初の二人展「Invisible Garden」が開催される。

清川あさみ・名和晃平《PixCell-Our New World(部分)》(2026)ミクストメディア 撮影:表恒匡

 本展は、清川の著書『みえないにわ - Invisible Garden』(世界文化社、2026)の刊行をきっかけに構想された、両者にとって初の二人展だ。情報が絶えず流動し、現実と仮想、自然と人工の境界が曖昧になりつつある現代を背景に、微生物や動植物、人の記憶や時間、夢や想像力といった有形無形の存在が息づく風景としての「にわ」を描き出す。

 本展の展示空間は白で統一。清川の刺繍によって紡がれる物語と、名和のセル(PixCell)によって被覆・変換されたイメージの共鳴を試みる。中心となるのは両者の共作による全幅約9メートルの大型新作《PixCell-Our New World》(2026)だ。また、会場では名和の代表作の発展形である「PixCell-Random」シリーズや、清川の「Serendipity」シリーズなどの新作も併せて展示。

 3階のギャラリースペースにとどまらず、同ビルの1階店舗「POLA GINZA」でも植物や滴をモチーフとしたインスタレーションが展開され、2つの空間を周遊できる構成となる。

会期:2026年9月16日〜11月8日
会場:ポーラ ミュージアム アネックス
住所:東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル 3階 / 1階 POLA GINZA
開館時間:11:00〜19:00(11月6日〜8日は10:00〜) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:無料

「水滸伝」(東京ステーションギャラリー)

東京・丸の内の東京ステーションギャラリーで、「水滸伝」展が開催される。

歌川国芳《通俗水滸伝豪傑百八人之一人 花和尚魯知深初名魯達》(江戸時代、19世紀) 個人

 中国四大奇書のひとつとされる小説『水滸伝』は、北宋時代の史実をもとに成立した。物語の舞台は12世紀、徽宗(きそう)皇帝の治世。腐敗した政権に憤りを抱く宋江(そうこう)率いる108人の豪傑たちが、要塞「梁山泊(りょうざんぱく)」へ集結する、というものだ。

  本展では、『水滸伝』に着想を得た作品群とともに、物語を生み出した時代背景やその世界観を美術と資料から紐解いていく。北宋から清に至る中国美術、そして江戸から現代までの日本美術を多角的に展観し、『水滸伝』がもつ奥深い魅力の真相に迫る。

会期:2026年9月19日〜11月8日 *会期中一部展示替えあり
会場:東京ステーションギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
電話番号:03-3212-2485 
開館時間:10:00~18:00(金~20:00)※入館は閉館の30分前まで 
休館日:月(ただし9月21日、10月12日、11月2日は開館)、10月13日 
料金:一般 1600円 / 高校・大学生 1100円 / 中学生以下無料
※障がい者手帳等持参の方は、一般 1100円 / 高校・大学生 900円(ともに介添者1名は無料)

「特別展 生誕140年記念 染織家 山鹿清華─宙翔ぶイマジネーション」(京都市京セラ美術館)

 京都市京セラ美術館で「特別展 生誕140年記念 染織家 山鹿清華─宙翔ぶイマジネーション」が開催される。

山鹿清華《星座・月・ロケット》1958年、京都市美術館蔵

 本展は明治から昭和にかけて活躍し、染織を芸術表現として切り拓いた山鹿清華(1885〜1981)の仕事を紹介する、約40年ぶりの回顧展。

 京都の活版印刷業を営む家に生まれた山鹿は、10代で西陣織の図案と日本画を学び、のちに近代琳派を代表する図案家・神坂雪佳に師事。図案の構想から下絵、糸の選定、織りまでを自ら一貫して行う独自のつづれ織「手織錦」を考案し、1927年には帝展の美術工芸部門に出品した《和蘭陀船》(1927)で特選を受賞した。

山鹿の作品では、天女や雲龍などの伝統的な意匠とともに、汽車や東京タワー、ロケットといった近代的なモチーフも登場する。絹や麻などに加え、セロファンや金銀糸といった素材も取り入れ、染織の表現を拡張していった。本展では、高さ3メートルを超える《星座・月・ロケット》(1958)をはじめ、祇園祭や長浜曳山祭を彩る懸装品、建築家・村野藤吾との協働による空間装飾などを展示。さらに朝鮮半島や中国大陸への旅、戦争と戦後の平和への希求にも目を向け、山鹿の創作と激動の時代との関係をたどる。

会期:2026年9月19日~12月20日
会場:京都市京セラ美術館 本館 南回廊1階
住所:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで
電話番号:075-771-4334 
開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月 ※ただし祝日は開館
料金:一般 1800円 / 高校生・大学生 1300円 / 中学生以下無料

「めぶく。Where good things grow. 前橋国際芸術祭 2026」(アーツ前橋、前橋文学館、まえばしガレリア、前橋市のまちなか ほか)

 群馬県前橋市の中心市街地を舞台に「第一回 前橋国際芸術祭 2026」が初開催される。

 本芸術祭は、前橋市が2016年に策定したまちづくりビジョン「めぶく。Where good things grow.」の10周年を契機とするもの。「めぶく。Where good things grow.」をテーマに、現代アートをはじめ、建築、音楽、詩、演劇、食などの領域から70組のアーティストを招聘している。

 アーツ前橋などのミュージアム空間に加え、藤本壮介設計の「白井屋ホテル」や平田晃久設計の「まえばしガレリア」、さらに商店街や空きビル、路地など、前橋の日常風景そのものを舞台に20以上のプログラムが展開される。

会期:2026年9月19日~12月20日
会場:アーツ前橋、まえばしガレリア、白井屋ホテル、前橋市中心市街地エリア 
料金:一般 3000円 / 学生 2000円 ※パスポートチケットの価格