国立西洋美術館で「チュルリョーニス展 内なる星図」が来春開催へ。リトアニアの画家、34年ぶりとなる大回顧展
リトアニアの画家・チュルリョーニスの 34年ぶりとなる大回顧展「チュルリョーニス展 内なる星図」が国立西洋美術館で開催される。会期は2026年3月28日~6月14日。

東京・上野の国立西洋美術館で、リトアニアの画家・チュルリョーニスの 34年ぶりとなる大回顧展「チュルリョーニス展 内なる星図」が開催される。会期は2026年3月28日~6月14日。担当学芸員は山枡あおい(国立西洋美術館 研究員)。
リトアニアを代表する芸術家、ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス(1875〜1911)は、絵画と音楽というふたつの領域で類まれな才能を示し、35歳の若さで亡くなるまでのわずか6年ほどの画業で、300点以上もの作品を手がけた。世紀末のアール・ヌーヴォーや象徴主義、ジャポニスムといった国際的な芸術動向に呼応しつつも、作曲家ならではの際立った感性と、当時ロシア帝国の支配下にあったリトアニア固有のアイデンティティに根差した作品群は、唯一無二の個性を放っている。2025年はチュルリョーニスの生誕150周年。リトアニアにおける祝賀ムードを引き継いで開催される本展は、1992年に池袋のセゾン美術館で開催されて以来、2回目の開催となる。
会場では、国立M. K. チュルリョーニス美術館が所蔵する主要な絵画やグラフィック作品、約80点を紹介。人間の精神世界や宇宙の神秘を描いた幻想的な作品のうち、独創的な象徴に満ちた《祭壇》や謎に包まれた最大の代表作《レックス(王)》が日本初公開される。また、音楽形式を取り入れた連作や、自身の手になる楽譜、展示室に流れる旋律を通じて、優れた作曲家でもあった画家の感性を体感することができるものとなるという。


国立M. K. チュルリョーニス美術館(カウナス)所蔵
M. K. Čiurlionis National Museum of Art, Kaunas, Lithuania.
記者発表に際し、館長の田中正之は挨拶とともに本展について次のように述べた。「リトアニアは、映画監督のジョナス・メカスや、フルクサスの創始者ジョージ・マチューナスなどといった、20世紀における重要な前衛芸術家を数多く輩出している。彼らに先んじて活躍したのがチュルリョーニスだ。昨今、スピリチュアルや神話といった精神世界を描く画家が取り上げられるケースが増えているが、美しく繊細に描き出されたチュルリョーニスの作品も、それらに呼応するものといえる。また、その作品群からは、絵画と音楽の密接かつ多様な関係性も見出すことができるだろう」。




















