2025.8.29

AIアートとエコロジーが融合。「Synthetic Natures もつれあう世界:AIと生命の現在地」がシャネル・ネクサス・ホールで開催

東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールでソフィアクレスポ/ エンタングルドアザーズによる「Synthetic Natures もつれあう世界:AIと生命の現在地」が開催される。

エンタングルドアザーズ specious upwellings(部分)
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 東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールで、AIアートとエコロジーが融合する展覧会「Synthetic Natures もつれあう世界:AIと生命の現在地」が開催される。

 本展は、長谷川祐子が主宰する「Hasegawa Curation Lab.」とのコラボレーションのもと、次世代を担う若手キュレーターを起用する展覧会の第2弾。キュレーションはキュラトリアル・コレクティブ「HB.」の共同代表である三宅敦大が担う。

 本展に参加するのは、リスボンを拠点に活動するアーティスト、ソフィア・クレスポ(Sofia Crespo)と、クレスポがフェイレカン・カークブライド・マコーミックとともにアーティスト・デュオとして活動するエンタングルドアザーズ(Entangled Others)だ。

ソフィア・クレスポとフェイレカン・カークブライド・マコーミック
Photo by Klemen Skočir

 クレスポは1991年アルゼンチン生まれ。テクノロジーと有機的生命との共生関係に深く入り込み、テクノロジーを自然から切り離されたものとする従来の見方を再考する作品を制作しており、AIのメカニズムがどのように有機的な形態を模倣し、進化させることができるかを探求し、AIによって生成されたイメージと人間の創造性の間に共通項を模索している。

 またエンタングルドアザーズでは、その作品を通して、テクノロジーや自然界の種の表象に潜むバイアスに対する問いを投げかけ、計算に基づく生物学的モデルへの回帰を提案し、種や生態系を超えて広がる「エンタングルメント」の概念を探究している。

 本展では、海中2000メートル以深の世界を探る《liquid strata: argomorphs》(2025)、湧昇という地球規模の現象とAIの視覚言語を結びつけた《specious upwellings》(2022-2024)、遺伝情報とデジタルデータの構造を重ねた《self-contained》(2023-2024)、植物学と写真の歴史から着想を得た《temporally uncaptured》(2023-2024)、「存在しなかった自然史の本」をコンセプトにした《artificial natural history》(2020-2024)の5シリーズが紹介予定。

エンタングルドアザーズ specious upwellings 2022-2024
エンタングルドアザーズ specious upwellings 2022-2024
エンタングルドアザーズ self-contained 009.4 2023-2024
Art Singapore (credit Gazelli Art House)
ソフィア・クレスポ temporally uncaptured 2023-2024

 映像、彫像そしてデジタルインスタレーションなどの展示作品が見るものに投げかけるのは、いずれも、断片的なデータと仮説から世界を読み解こうとする科学的営みと、詩的な想像力との交点に立ち現れるヴィジョンだ。その作品においてテクノロジーを介して生成されたイメージは、自然の“代替物”ではなく、「人間が自然をどう見たいと願っているか」の深層を写し出すもの。現実世界の見え方を揺さぶるものとなるだろう。