エンパシー・ボックス

　KAGで、倉敷に縁のある若手アーティスト12名による展覧会「エンパシー・ボックス」が開催されている。

　本展は、フィリップ・キンドレド・ディックのSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか？』に登場する「エンパシー・ボックス」に着想を得て、共感、つながり、人間の本質をテーマとしている。

　物語では、「エンパシー・ボックス」が宗教的・精神的体験である「マーサー教」の信仰を通じて人々を結びつけ、その信仰が虚構と暴露されても、共感の力によって人々がつながる過程が描かれる。

　本展では、このプロセスをポスト・トゥルース時代の現代社会に重ね、アーティストたちがアートを通じて共感の力を再定義する。ソーシャルメディア、フェイクニュース、AIが創造を含む様々な領域に影響を与えるいま、絵画、彫刻、インスタレーション、映像などの作品はどのような意味を持つのか。「真実」と「虚構」、「現実」と「信仰」の境界が曖昧になった世界で共感とは何かを問いかける。

　出展アーティストは、石塚ちえ、出柄美羽、王淼兒、小野勇人、郭文琦、木村亮佑、武内のぞみ、張琦利、火野口渓子、本行琢登、森田玲音、和田文都。