2026.9.12

「NEW PLATFORM – Alternative JAPAN –」(Art Center NEW)開幕レポート。見て、買って、話して楽しめる、全国23のオルタナティブ・スペースを紹介

横浜市の新高島駅にあるArt Center NEWで、国内のオルタナティブ・スペースが集結するアートフェア「NEW PLATFORM – Alternative JAPAN –」が9月11日に開幕した。会期は13日まで。会場の様子をレポートする。

文・撮影=安原真広(編集部)

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 横浜市の新高島駅構内にあるアートスペース、Art Center NEWで、日本国内の13都道府県から23のオルタナティブ・スペースを招聘したアートフェア「NEW PLATFORM – Alternative JAPAN –」が開幕した。会期は9月11日〜13日。企画はArt Center NEWのプロジェクトリーダー・清田菜央。

 「NEW PLATFORM」は、オルタナティブ・スペースやアートコレクティブを集めて開催されるアートフェア。各々のスペースが実践や運営の知見を共有し交換する場としても機能する。昨年はアジア圏のスペースを集めたが、今年は国内の多様な地域の実践に焦点を当てる。

13の都道府県から23のスペースが参加

 今回は13の都道府県から、以下の23のスペースが集結している。ie(北海道)、こしゃう(山形)、ふわりの森アートプロジェクト(千葉)、NAMNAM Space(東京)、ゴリラの森(東京)、ソフトハウス三ノ輪(東京)、亀戸アートセンター(東京)、callbox(東京)、Art bar 星男(東京)、STUDIO VISIT(東京)、あをば荘(東京)、Art Center Ongoing(東京)、space nobi(東京)、オルタナティブ掘っ立て小屋「ナミイタ」(神奈川)、Project Space hazi(愛知)、釜ヶ崎芸術大学(大阪)、超家(大阪)、Alternative Space CORE(広島)、HOSPITALE(鳥取)、Syndicate(香川)、わくせい(高知)、Art&Garden ねこぜ(大分)、スペースサバニ(沖縄)。参加スペースのブースを全ブースを展示順に簡単に紹介したい。

亀戸アートセンター(KAC)のブース

 2021年、札幌にある築50年以上の一軒家に誕生した「ie(イエ)」は、1階をギャラリー、2階をファッションルームや多目的室とした複合施設だ。ブースにはzineや写真集など、同スペースの築いてきたコミュニティを知ることができる品々が並ぶ。

 「亀戸アートセンター(KAC)」は、2018年にアーティストの石部巧とchappy が東京・亀戸に開いた、カフェスタンド併設のアートギャラリー。会場では水越智三の作品を中心に紹介している。

スペースサバニのブース

 沖縄・那覇の「スペースサバニ」は2024年にオープンしたスペースだ。日米の軍基地が多く、そのことによる暴力も頻発している沖縄において、安心して語ることのできる時間と空間について問い続ける。天幕が張られたブースには座布団が敷かれ、リラックスできる場として機能している。

 東京・新高円寺のマンションにある「ゴリラの森」は、誰でも自由に表現や発言をできる実験の場として継続的に展覧会を実施してきた。ブースでは過去の出展作家の作品やグッズなどを購入可能。

わくせいのブース

 「わくせい」は2025年9月、高知県土佐市にオープン。平屋の民家を改修した空間で、地域で急増する東南アジア諸国からの技能実習生等の外国人市民と、地域社会との接点となることを目指す。現地では東南アジアの食品を扱うマーケットやカフェ、デザインの学校、リソグラフスタジオといった活動を行っており、会場ではそれらのプログラムの内容も紹介されている。

 東京の高円寺にある「NAM NAM スペース」は、クイア、アート、アナキズムを志向するコミュニティスペース。ブースには既存の権力構造を問い直す印刷物や、イスラエルによる攻撃が続くパレスチナへのメッセージを込めた文物が並ぶ。

超家(ちょうハウス)のブース

 大阪・天王寺の「超家(ちょうハウス)」は、「友達の家とアートスペースの狭間」をコンセプトにした一般住居だ。アーティストが居住するとともに、若手作家や学生、研究者らの自主企画を受け入れながら、「大阪に留まる理由」を生成することを目指す。ブースには制作物やオリジナルグッズなどが並び、その活動の一端を知ることが可能。

 「ソフトハウス三ノ輪」は、東京・三ノ輪にある木造長屋を改築した、住居と展示空間が融合するオルタナティブスペースだ。生活と制作、展示が地続きに存在する場として運営されており、ブースでは彫刻家・根本祐杜の小作品が数多く販売されていた。

地域性を反映しながら形成された活動も紹介

 2011年から続く、アーティストで文筆家の櫻田宗久が運営する新宿二丁目の「Art Bar 星男」。このエリアに根づくクィアカルチャーを背景に、ジェンダーやセクシュアリティ、世代や国籍、価値観の違いを越えて人々が出会い、交流できる場をつくってきた。ブースではヴィヴィアン佐藤や二艘木洋行といったアーティストの作品を展示・販売。

Art Bar 星男のブース

 愛知県岩倉市の「Project Space hazi」は、企画展やアーティスト・イン・レジデンス(AIR)をベースとした文化施設。アーティストが失敗を恐れず挑戦できる環境を整えることを目指してきた本施設のブースには、これまで関わってきた作家たちの作品が並ぶ。

Kosyauのブース

 山形県長井市の「Kosyau」は、アートコレクティブ「あめふらし」が旧印刷工場を改良して運営するスペースだ。制作のみならず、地域の祭りで使用する草鞋やほうきづくりの継承、ビールづくりなど、地域に根ざした活動も行っている。会場では同スペースが制作したほうきやビールも購入可能だ。

 「Art&Garden ねこぜ」は大分県別府市が拠点。展覧会やアーティスト・イン・レジデンス、トーク、ワークショップ、スクリーニングを展開するとともに、「喫茶 ねこじた」を営業し、展示に合わせた特別メニューやオリジナルグッズを提供。グッズは会場でも購入できる。

ふわりの森のブース

 2014年、アーティストのシムラユウスケが立ち上げた千葉県成田市の「ふわりの森」。国内外からアーティストを成田へ招聘し、滞在制作・発表を行うなどの活動を地域と連携しながら行なっている。ブースにはシムラのほか、バンコク出身のアーティスト、ジュリー・ベイカーの作品などを出展。

 東京・高井戸の「STUDIO VISIT」は、展示スペースを併設した小さなBAR。現代美術に限らず、ドキュメンタリー映画の上映会や音楽イベントの開催など、様々な表現の場となっている。会場ではモニター1台のみを用いた先鋭的な展示を行なっている。

 大久保の「CALL BOX」は、集合店舗内の一畳ほどの極小スペースを拠点とし、共用部からガラス越しに展示作品を覗くかたちで展示企画を続けてきた。本フェアには小林椋をはじめとした、ゆかりの作家を出展。

釜ヶ崎芸術大学のブース

 大阪の「釜ヶ崎芸術大学」は、西成を拠点とするNPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)が運営する市民大学プロジェクトで、地域の各所で誰もが参加できる市民講座を行なってきた。ブースでは活動の紹介とともに、会場の人々と制作した習字を発表。

 鳥取市の中心市街地にある旧横田医院を拠点とする「HOSPITALE(ホスピテイル)」はアーティスト・イン・レジデンスやパフォーマンスなどを地域の人々の協力のもと実施している。ブースではこれまで取り組んできた活動を、日によって異なるプログラムによって紹介する。

オルタナティブ掘っ立て小屋「ナミイタ」のブース

アーティスト同士のつながりが生むコミュニティ

 広島市の「Alternative Space CORE」は、水野俊紀(Chim↑Pom from Smappa!Group)とアーティスト・久保寛子、浅田良幸によって2017年に設立。かつて「原爆スラム」と呼ばれたバラック街跡に建てられた市営基町高層アパートの商店通りにあり、シャッター街と化しつつある同地で文化活動を行なっている。現代美術、音楽、文学、料理など、同スペースが携わってきたものを会場では紹介。

 東京都町田市でスタートし、現在は横浜市青葉区に移転し展示や企画を行なうアーティスト・ラン・スペース「オルタナティブ掘っ立て小屋『ナミイタ』」。現地の展示空間を再現するように作品を販売するほか、複数のパフォーマーが会場を練り歩く。

「Syndicate」のブース

 藤井智也と高橋ちかやの2人の美術家によって、香川県高松市で運営されるアーティスト・ラン・スペース「Syndicate」は、企画展の開催や作品と作品集の販売を行ってきた。会場でも作品、グッズ、作品集を販売している。

 「SPACE NOBI 」は東京・小平市にあるアートスペース。キャリア中盤のアーティストが表現に集中できる場を目指して展覧会を企画しており、ブースでは郷正助とルイス・デヴィッドソンの作品を紹介している。

「あをば荘」のブース

 集合住宅の一部を改装し、2階を住居、1階を企画スペースとして運営している東京・押上のオルタナティブスペース「あをば荘」。複数の企画者が美術や演劇、農業などそれぞれの関心にもとづいた発表を行っている。会場では中塚文菜と藤林悠の作品を展示。

 そして、Art Center NEWと同じく一般社団法人Ongoingが運営する東京・吉祥寺の「Art Center Ongoing」もブースを構えた。

「NEW AIR 2026」の成果発表、ヴァニ・ブーシャンの展示作品
「NEW AIR 2026」の成果発表、リム・ソクチャンリナの展示作品

 また、同時開催のプログラムとして、Art Center NEWが主催するアーティスト・イン・レジデンス「NEW AIR 2026」の成果発表展も実施。インド出身のヴァニ・ブーシャンとカンボジア出身のリム・ソクチャンリナの作品を見ることができる。

参加した全国のオルタナティブ・スペースやアートコレクティブの活動する地域の地酒もカウンターでは飲むことができる

 全国のオルタナティブな活動に触れながら、作品を購入することができる本企画。会場で様々な表現者たちと対話しながら、各地域の状況が、いかに活動に反映されているのか教えてもらえるはずだ。近隣のパシフィコ横浜で開催中の「Tokyo Gendai 2026」と併せて見ることで、日本の現代美術がいかなる層の重なりで成り立っているのか、肌で感じてもらいたい。