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2026.9.5

国宝・迎賓館赤坂離宮で巡る藤田嗣治。「国宝迎賓館で出会う、フランスのやわらかな風景」(迎賓館赤坂離宮)レポート

東京・元赤坂の迎賓館赤坂離宮で、藤田嗣治生誕140周年特別参観「国宝迎賓館で出会う、フランスのやわらかな風景」が9月15日まで開催中。会場の様子をレポートする。

文・撮影=三澤麦(編集部)

迎賓館赤坂離宮「花鳥の間」における特別展示の様子
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 画家・藤田嗣治(1886〜1968)の生誕140周年を記念した特別参観「国宝迎賓館で出会う、フランスのやわらかな風景」が、東京・元赤坂の迎賓館赤坂離宮で開催されている。会期は9月15日まで。

 迎賓館赤坂離宮は1909年に東宮御所として建設され、74年からは国の迎賓施設として活用されてきた。日本で唯一のネオ・バロック様式による宮殿建築として知られ、2009年には本館をはじめとする建造物群が国宝に指定。16年からは接遇に支障のない範囲で、通年での一般公開が実施されている。

迎賓館赤坂離宮 外観

「コロンバン」の天井画が国宝の洋館へ至るまで

 迎賓館赤坂離宮には、およそ130号にもおよぶ藤田の油彩画が6点所蔵されている。これらはもともと、フランス菓子店「銀座コロンバン」の改装にあたり、2階サロン向けに制作された6点の天井画であった。コロンバンの創業者であり大正天皇の料理番も務めた門倉國輝が、フランス時代からの縁で藤田に制作を依頼した経緯があるという。その後、1974年に東宮御所が迎賓館へと改修されたことを機に、この6点が寄贈されるに至った。

 今回の特別参観では、天井画のうち4点が東・西玄関に展示されているほか、通常は非公開となっている2点についても、晩餐会に使用される「花鳥の間」にて特別展示されている。

迎賓館でめぐる、フランス風俗を描いた艶やかな世界

 参観ルートは西玄関から始まり、「花鳥の間」を経て東玄関へと至る。まず西玄関で出迎えてくれるのは、《犬を抱く女性と楽士》と《葡萄畑の女性》(ともに1935)の2点だ。藤田嗣治といえば「乳白色の下地」を生かした独自の人肌表現が特徴であり、その艶やかな透明感と質感がフランス・パリを中心に高い評価を得た。この天井画シリーズでは、フランス菓子店にふさわしい空間づくりを目指し、18世紀ルイ王朝時代の華やかで優雅なフランス風俗を描き出している。

《犬を抱く女性と楽士》(1935)キャンバスに油彩 131×188cm この天井画シリーズは、ロココ美術を代表する画家アントワーヌ・ヴァトーを参考に描かれている
《葡萄畑の女性》(1935)キャンバスに油彩 131×188cm 各作品にはフランスの様々な地方とその土地に由来する植物も描かれる

 西玄関から羽衣の間、朝日の間、彩鸞の間といった絢爛な部屋を通り抜けた先にあるのが「花鳥の間」だ。ここでは、普段公開されていない《貴婦人と召使い》と《ポプラ並木の女性と楽士》(ともに1935)の2点が特別公開されており、本展のハイライトとなっている。

晩餐会が催される「花鳥の間」では、《ポプラ並木の女性と楽士》と《貴婦人と召使い》(ともに1935)が特別公開されている

 また、木曽産のシオジ材による板張りの壁面には、四季の草花と鳥が表現された30点の七宝焼が飾られている(展示期間中、一部の作品が鑑賞できません)。ほかにも、空間のコンセプトを反映した豪華なシャンデリアや天井画も見逃せない。

「花鳥の間」に飾られた30点の七宝焼は、日本画家の渡辺省亭(わたなべ・せいてい)が下絵を描き、七宝作家の濤川惣助(なみかわ・そうすけ)が焼成している
「花鳥の間」のシャンデリアと天井画

 回廊を抜けてたどり着く東玄関には、《女性と天使》と《母と娘》(ともに1935)が展示されている。日本へ帰国した藤田がどのような想いを抱いて天井画や壁画の制作に挑んだのか、そのエピソードも解説パネルで紹介されている。

《女性と天使》(1935)キャンバスに油彩 131×188cm
《母と娘》(1935)キャンバスに油彩 131×188cm

 なお、今回の特別参観では、来館記念として藤田作品が描かれたポストカードが1枚配布されているため、足を運んだ際にはぜひに手に入れたい。

 迎賓館赤坂離宮は2016年に一般公開を開始し、今年7月からは「プレミアム参観ルート」を新設。非公開となっていたエリアを参観できるほか、東・西玄関に展示された4点の藤田作品も鑑賞することが可能だ。今回の特別参観は、そうした話題の新ルートの魅力も含め、全6点の藤田作品を一堂に堪能できる非常に貴重な機会と言えるだろう。