「究極の国宝 大鎧展─日本の工芸技術の粋を集めた甲冑の美の世界─」(春日大社)開幕レポート。甲冑のふるさと・奈良に国宝 大鎧が集結
奈良にある世界遺産・春日大社の国宝殿で、特別展「究極の国宝 大鎧展─日本の工芸技術の粋を集めた甲冑の美の世界─」が開幕した。会期は9月7日まで。

奈良にある世界遺産・春日大社の国宝殿で、特別展「究極の国宝 大鎧展─日本の工芸技術の粋を集めた甲冑の美の世界─」が開幕した。会期は9月7日まで。
金工、漆工、染織など複数の分野にまたがる工芸作品の集合体である甲冑。なかでも平安時代後期から南北朝時代にかけてつくられた大鎧はもっとも格式が高いといわれている。大鎧は、馬に乗り弓を主な武器として戦う騎射戦に特化した甲冑としてつくられたもの。騎馬戦のために鎧自体の構造も工夫されているが、一軍を率いる武将の晴れ姿であり、合戦において戦功を明示するためのものでもあるため、華やかな色やデザインによる豪華で優美な点も特徴である。
時代が降り戦術が騎馬から徒歩による集団戦へ移行すると、大鎧の実用性は低くなる。しかし正式な格式高い甲冑という意である「式正の鎧」と称され、神仏にも多く奉納されるようになった。
本展は、国宝指定された甲冑類18点中9点が一堂に会するという異例の展示となっている。なかでも、豪華な飾金物をあしらい、「国宝大鎧の双璧」として知られている二領の大鎧が史上初めて並列展示されるという、大変貴重な機会だ。