女性アーティスト作品の史上最高額。フリーダ・カーロの自画像がサザビーズNYで約86億円で落札
1940年制作のフリーダ・カーロの自画像《El sueño(La cama)》が、サザビーズ・ニューヨークにて約86億円で落札され、女性アーティスト作品のオークション記録を塗り替えた。

サザビーズは11月20日、ニューヨークのブロイヤー・ビルで行われた近代美術イブニングセールにて、フリーダ・カーロの自画像《El sueño(La cama)》(1940)が5470万ドル(手数料込み/約86億円)で落札され、同作家のオークション記録を更新するとともに、女性アーティスト作品として史上最高額を樹立した。

本作が前回市場に登場したのは1980年。サザビーズで5万1000ドルで落札されて以来、45年ぶりの再登場となった。当時から価格は1000倍以上に上昇しており、カーロの評価の高まり、さらには女性芸術家への市場的評価の変化を象徴する結果となった。
《El sueño(La cama)》は、カーロが激動の時期に制作した作品だ。1940年、元恋人レオン・トロツキーが暗殺され、その後ディエゴ・リベラとの離婚と再婚を経験した年でもある。作品には、精神的緊張、再生、そして自己の脆さと強さが複雑に交差する、カーロ芸術のなかでももっとも象徴的なモチーフが凝縮されている。
入札は約5分間にわたって2名の競合者が応酬。その末にサザビーズのラテンアメリカ美術部門責任者アンナ・ディ・スタシとの電話入札者が落札した。ディ・スタシは「1980年に5万1000ドルで落札されたこの作品が、45年後に5500万ドルを超えるとは誰も想像しなかったでしょう。この結果は、カーロの天才性、そして女性アーティストへの評価がどれほど進展したかを示すものです」とコメントしている。

