2025.11.19

クリスティーズ秋季オークション開幕。2セールで総額1070億円を記録

ニューヨークで開幕したクリスティーズ秋季オークションは、初日の2セールで総額1070億円を超える落札を記録した。

マーク・ロスコ《No.31 (Yellow Stripe)》(1958)が落札された様子 © Christie's
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 クリスティーズは、ニューヨークで開催された秋季オークションの開幕夜において、2本の主要セールを実施した。2つのセール合計で総額6億8979万5000ドル(約1070億円/手数料込み、以下同じ)を記録し、落札率はロット数で96パーセント、金額ベースで97パーセントに達した。

 最初に行われた「The Collection of Robert F. and Patricia G. Ross Weis」では、20世紀美術を代表する作家の作品が多数出品され、総額2億1806万6600ドル(約338億円)を計上。出品作の約半数が最低推定価格を上回るなど、力強い需要が示された。

 同セールのトップロットとなったのは、マーク・ロスコ《No.31 (Yellow Stripe)》(1958)。約4分40秒におよぶ激しい競り合いの末、電話入札者が6216万ドル(約96億3700万円)で落札した。本作はクリスティーズのライブオークション史上、オンライン入札額としても最高額を記録している。また、パブロ・ピカソによるマリー=テレーズ像《La Lecture》(1932)は4548万5000ドル(約70億5200万円)で落札され、同セールを代表するもうひとつのハイライトとなった。

マーク・ロスコ No.31 (Yellow Stripe) 1958 出典=クリスティーズのウェブサイトより
パブロ・ピカソ La Lecture 1932 出典=クリスティーズのウェブサイトより

 続く「20th Century Evening Sale」は、4億7127万8400ドル(約731億円)という強い結果を残した。

 トップロットとなったのは、今年3月に運営を終了したDIC川村記念美術館の所蔵作品、クロード・モネ《睡蓮》(1907)。2分以上の競り合いを経て4548万5000ドル(約70億6600万円)で落札された。また、マルク・シャガール《ダヴィデ王の夢》(1966)は、約5分間の白熱した応札の末、予想上限を大きく超える2651万ドル(約41億1800万円)で落札されている。

クロード・モネ 睡蓮 1907 出典=クリスティーズのウェブサイトより
マルク・シャガール ダヴィデ王の夢 1966 出典=クリスティーズのウェブサイトより

 デイヴィッド・ホックニーが手がけた最初のダブルポートレイト《Christopher Isherwood and Don Bachardy》(1968)は4433万5000ドル(約68億7300万円)、エレイン・ウィン・コレクションから出品されたジョアン・ミッチェル《Sunflower V》(1969)は1673万5000ドル(約25億9400万円)を記録。イサム・ノグチ《Myo》も763万9000ドル(約11億8400万円)で落札され、作家としては過去2番目の高額となった。

デイヴィッド・ホックニー Christopher Isherwood and Don Bachardy 1968 出典=クリスティーズのウェブサイトより

 この日のセールでは、約80点が落札され、21作品が1000万ドル超を記録。ボーフォード・デラニーをはじめ複数の作家の新記録が樹立された。

 20世紀イブニングセール共同責任者のエミリー・カプランは、「今夜の卓越した結果は、先月のヨーロッパでの成功を受け、最高品質の作品に対する市場の強固な需要を裏付けるものです」と述べた。

 同じく共同責任者のイモージェン・カーは、「ワールドツアーを通じて世界各地のギャラリーで高い関心とエネルギーを感じました。川村記念美術館のモネ《睡蓮》は、今夜の象徴的なハイライトとなりました」と語った。