2025.7.11

世界初の「バーキン」、約14.7億円で落札。日本人コレクターの手に

エルメスの初代「バーキン」が、7月10日にサザビーズ・パリで開催されたオークションにて858万2500ユーロ(約14億6700万円)で落札された。

「オリジナル・バーキン」。2024年にサザビーズ・パリで行われた下見会より
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 世界初のエルメス「バーキン」が、7月10日にパリで開催されたサザビーズのオークションにて、858万2500ユーロ(約14億6700万円)で落札された。

 「オリジナル・バーキン」として知られるこのバッグは、1985年にエルメスが女優・歌手のジェーン・バーキンのために特別に製作したプロトタイプ。今回の落札額は、オークションで取引されたハンドバッグとして過去最高額を記録し、日本の個人コレクターが落札したと報じられている。

 このバッグは、バーキンと当時エルメスの会長ジャン=ルイ・デュマとのエールフランス機内での偶然の出会いを契機に誕生した。幼い娘シャルロットとともに移動中だったバーキンは、「日常使いできる大きなバッグがない」とこぼし、それを聞いたデュマが彼女のためにデザインを起こした。その後、完成したバッグが1985年に贈られ、名称「バーキン」についても本人の了承を得て正式に採用された。

「オリジナル・バーキン」。2024年にサザビーズ・パリで行われた下見会より

 今回出品された「オリジナル・バーキン」は、バーキン本人が長年愛用していた実物であり、イニシャル「J.B.」が刻まれているほか、ストラップには彼女がつねに携帯していた爪切りが付けられている。さらに、国境なき医師団やユニセフへの支持を示すステッカーの跡なども残されており、彼女の社会的・人道的活動を象徴する品でもある。バッグは、彼女が最後に使用した状態のまま出品された。

 なお本品は、2018年にニューヨーク近代美術館(MoMA)で開催された「Items: Is Fashion Modern?」展、2020年にはロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館の「Bags: Inside Out」展でも展示された歴史的な作品でもある。