2025.10.1

落合陽一のパビリオン《null²》を全国各地へ。クラウドファンディングがスタート

メディアアーティスト・落合陽一がプロデュースする大阪・関西万博シグネチャーパビリオンの《null²》。本作を全国様々な場所で公開するためのクラウドファンディングがREADYFORで開始。

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 メディアアーティスト・落合陽一がプロデュースする大阪・関西万博シグネチャーパビリオンの《null²》。本作を全国様々な場所に引っ越しするためのクラウドファンディングがREADYFORではじまった。

 《null²》は素材から建築を構成したというパビリオンで、ミラーキューブを積み重ねたような外観を持つ。「ヌルヌルした建築がつくりたい」という落合の考えのもと、伸縮する素材を使用。キューブの内部にはロボットアームが入っており、建築自体が収縮や振動を繰り返すものだ。内部は高さ8メートルの巨大なミラールームとなっており、鏡の中に仕込まれたLEDによって現実とデジタルの境界が曖昧になるような没入型の体験ができる。

《null²》の外観

  しかし万博の会期中の同作は、入場枠の当選確率がわずか数パーセントほどとなっており、受け入れ人数に大きな壁があった。この展示を今後より多くの人々が体験できるよう、現在、全国様々な場所への展開を目指している。

 今回のクラウドファンディングでは、万博のパビリオンをそのまま移動・移設するわけではなく、《null²》のコンセプトをそのままに、新天地にあわせた規模・デザインで再設計し、再構築していく想定。しかし、全国各地から引越先の声がけはあるものの、場所や環境にあわせてた再設計や見積もりのための資金が不足しているという。

《null²》の内部

 目標金額の1億円の資金用途は「新天地での企画設計・管理(企画検討、見積もり、設計費用等)」「《null²》を運営する『一般社団法人 計算機と自然(代表:落合陽一)』の活動費」「万博パビリオン《null²》の展示内容・体験をアーカイブとして残すための記録映像制作費」としている。しかし、仮に1億円を達成できたとしても、新たな場所での再始動にかかる費用すべてをまかなうことはできないので、まずは1億円集めることができれば引っ越しにあたって大きな一歩を踏み出すとしている。

 返礼品は、《null²》の外壁を形づくる鏡素材「ミラー膜」を切り出した「《null²》のカケラ」や、《null²》パーカー、落合陽一プリント作品、《null²》の模型(物化する計算機自然)などを用意。

「null²のカケラ」と外箱デザインイメージ デザイン=山崎タクマ

 落合はこのクラウドファンディングについて次のようにコメントを寄せている。「null²のカケラを受け取って皆の思い出を終わらせることができるように、そして次の物語に進むことができるように。これから先も続いていく物語に、ぜひ参加していただきたいと思いながら、null²を愛してくれた全ての皆様にありがとう。皆様に支えていただいたおかげで、null²の物語もヌルになれたし、みんなでさようならをいうことができる。本当に感謝しています」。