万博イタリア館が新たな美術品を追加。今回は未来派のジャコモ・バッラ《ボッチョーニの拳の力線》
10月13日まで開催されている大阪・関西万博。先月末に展示作品としてペルジーノ《正義の旗》を追加したイタリア館が、また新たな美術作品として未来派の作家、ジャコモ・バッラの《ボッチョーニの拳の力線》を公開した。

10月13日まで開催されている大阪・関西万博で、イタリア館が新たな追加作品として、未来派の代表的作家であるジャコモ・バッラ(1871〜1958)の《ボッチョーニの拳の力線》を公開した。同館は8月30日にピエトロ・ペルジーノ《正義の旗》を公開したばかり。

イタリアの芸術運動「未来派」は、詩人のフィリッポ・トンマーゾ・マリネッティによる「未来派宣言」(1909)に始まる、近代文明の発展性や工業技術の先進性を芸術に取り入れようとしたイタリアの芸術運動。絵画、彫刻、建築、文学と幅広い展開を行い、共産主義的な思想との親和性もあったが、とくにマリネッティが、ベニート・ムッソリーニ率いる国家ファシスト党と関係を深めたことで知られている。最終的には内部における思想の相違、そしてファシスト党から見放されたことで活動を縮小、分裂していった。
すでにイタリア館に展示されている《空間における連続性の唯一の形態》(1913)を制作したウンベルト・ボッチョーニは、未来派を代表する芸術家だ。本作は流動的なフォルムを持つ人体を模した彫刻作品で、イタリアのユーロ硬貨の図案にもなるなど、広く知られている。
