2026.5.15

今週末に見たい展覧会ベスト10。KYOTOGRAPHIEから直島新美術館の開館記念展示まで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

直島新美術館「開館記念展示―原点から未来へ」展示風景より、蔡國強《ヘッド・オン》(2006) 撮影:編集部
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もうすぐ閉幕

「杉戸洋展:えりとへり / flyleaf and liner」(弘前れんが倉庫美術館

「杉戸洋展:えりとへり / flyleaf and liner」の展示風景 撮影:編集部

 青森県弘前市にある弘前れんが倉庫美術館で、開館5周年記念展の第2弾となる「杉戸洋展:えりとへり / flyleaf and liner」が5月17日に閉幕する。開幕レポートはこちら

 「えりとへり」という言葉がタイトルにつけられた本展では、杉戸は「余白」に目を向ける。ここでいう余白とは、絵画の裏側に見られるキャンバスを囲む「えり」や「へり」、本の表紙をめくると現れる「あそび紙 (flyleaf)」や洋服の「裏地(liner)」など、あらゆる場所に潜むものを指している。本展は、そんな余白に心を傾けることから制作をはじめる杉戸の、90年代から最新作までの絵画を中心に紹介している。

会期:2025年12月5日〜2026年5月17日
会場:弘前れんが倉庫美術館
住所:青森県弘前市吉野町2-1
電話番号:0172-32-8950 
開館時間:9:30-17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:火
料金:一般 1500円 / 大学生・専門学校生 1000円 / 高校生以下、弘前市内の留学生、満65歳以上の弘前市民、ひろさき多子家族応援パスポート持参者、障がいのある方と付添者1名 無料

「福田尚代 あわいのほとり」(神奈川県立近代美術館 鎌倉別館

「福田尚代 あわいのほとり」展示風景より、《漂着物/波打ち際》(2002-26)

 神奈川県鎌倉市にある神奈川県立近代美術館 鎌倉別館で、美術家・福田尚代(1967〜)の初期から現在に至る主要な作品を紹介する個展「福田尚代 あわいのほとり」が5月17日まで開催されている。担当は同館学芸員の朝木由香。開幕レポートはこちら

 福田は、幼少期に抱いた「言葉は小さな粒である」という独自の思索を、言葉と美術によって探求してきた美術家だ。本展では、1990年代の初期作から新作までのおよそ20組の作品が、同館特有の展示空間を生かして構成されている。

会期:2026年2月21日~5月17日
会場:神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
住所:神奈川県鎌倉市雪ノ下2-8-1
開館時間:9:30~17:00 ※入館は16:30まで 
休館日:月
料金:一般 700円 / 20歳未満・学生 550円 / 65歳以上 350円 / 高校生100円

「Keith Haring: Arching Lines 人をつなぐアーチ」(中村キース・ヘリング美術館

展示風景より、《無題(アーチ状の黄色いフィギュア)》(1985)

 山梨県北杜市にある中村キース・ヘリング美術館で、キース・へリングの没後35周年を記念し、彫刻作品に焦点を当てた展覧会「Keith Haring: Arching Lines 人をつなぐアーチ」が開催中。5月17日までの会期となっている。開幕レポートはこちら

 本展は、同館が新たに収蔵した全長5メートル超の彫刻《無題(アーチ状の黄色いフィギュア)》を中心に、同館所蔵の全13点の彫刻作品を通じて、ヘリングの作品世界を多角的に知ることができる展示となっている。

 会場は3つの空間で構成されており、それぞれを回遊しながらヘリングの作品を様々な角度から探る。とくに、平面作品と立体作品を比較しながら、その類似性や連関について思考するきっかけを与える構成になっている。

会期:2025年6月7日~2026年5月17日
会場:中村キース・ヘリング美術館
住所:山梨県北杜市小淵沢町10249-7
電話番号:0551-36-8712
開館時間:9:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
料金:大人 1500円 / 16歳以上の学生 800円 / 15歳以下 無料 

「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2026」(京都市内各所)

森山大道(京都市京セラ美術館)の展示風景

 日本を代表する写真祭として定着した「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」が5月17日まで開催されている。今回のテーマは「EDGE(エッジ)」。境界、分断、接触、移ろい、葛藤、未知へ踏み出す瞬間など、多義的な“縁”をめぐる動的な思考を促すキーワードだ。開幕レポートはこちら

 今回は、日本、南アフリカ、フランス、パレスチナ、ボリビアなど、8ヶ国13組のアーティストによるプログラムを紹介。京都市内の歴史的建造物や文化拠点が会場となり、街そのものが写真祭として立ち上がる構成は健在だ。多様な思想と美学が交錯する“エッジ”の現場を、京都市内各所で目の当たりにすることができる。

会期:2026年4月18日〜5月17日
会場:京都市内各所 ※インフォメーション町家:八竹庵(旧川崎家住宅)
開館時間:会場ごとに異なる
料金:一般 6000円 / 学生 3000円 / エクスプレスパスポート 1万5000円 その他、各会場の単館チケット、無料会場、各種割引もあり

「開館記念展示―原点から未来へ」(直島新美術館

直島新美術館「開館記念展示―原点から未来へ」展示風景より、ギャラリー1 撮影=編集部

 昨年5月、香川県直島町に新たな美術館「直島新美術館」が開館した。そのこけら落としとして開催された展覧会「直島新美術館 開館記念展示―原点から未来へ」が5月17日に閉幕する。開館レポートはこちら

 同展は、日本、中国、韓国、インドネシア、タイ、フィリピンなどアジア地域出身の12組による新作や代表作が、地下2階、地上1階の複数のギャラリー空間やカフェといった各エリアで紹介されている。福武財団の名誉理事長・福武總一郎が、現在そして未来に伝えたいメッセージを体現する厳選された作品で構成されており、多様な作品群を通して、時代や社会・環境、我々の生き方について問いを投げかけている。

 出展作家は、会田誠、マルタ・アティエンサ、蔡國強Chim↑Pom from Smappa!Group、下道基行+ジェフリー・リム、ヘリ・ドノ、インディゲリラ、村上隆、N・S・ハルシャ、サニタス・プラディッタスニー、ソ・ドホ、パナパン・ヨドマニー。

会期:2025年5月31日〜2026年5月17日
会場:直島新美術館
住所:⾹川県⾹川郡直島町 3299-73
電話番号:087-892-3754(福武財団)
開館時間:10:00~16:30 ※最終入館は16:00まで
休館日:月(ただし、祝日の場合は開館し、翌平日休館) ※不定休あり。ベネッセアートサイト直島ウェブサイト開館カレンダーにて随時更新。
料金:一般 1700円 / 15歳以下 無料

特別企画「鶏ッキーなご猿(トリッキーなごえん)」展(日本モンキーセンター) 

古田悟郎による伊藤若冲「動植綵絵」の《南天雄鶏図》(1765以前)をモチーフとした立体造形作品

 愛知県犬山市の日本モンキーセンターで、江戸中期の絵師・伊藤若冲(1716〜1800)の未公開作品を中心とした特別企画「鶏ッキーなご猿(トリッキーなごえん)」展が開催されている。会期は5月17日まで。

 京都が生んだ「奇想の絵師」として絶大な人気を誇る若冲は、写実的かつ鮮やかな着色画で知られている。そのいっぽうで、水墨画においても独自の技法「筋目描き」を駆使し、ユーモアあふれる動植物を描き出していた。

 本展の最大の見どころは、日本初公開となる水墨画《比翼双鶏雛図(ひよくそうけいすうず)》だ。さらに会場では、同園所蔵の「猿二郎コレクション」より、鶏と猿に関する民俗資料も併せて紹介されている。

会期:2026年4月18日~5月17日
会場:日本モンキーセンター(附属世界サル類動物園)
住所:愛知県犬山市犬山官林26
電話番号:0568-61-2327
開館時間:10:00~17:00
休館日:火水
入園料:一般 1200円 / 小中学生 500円 / 幼児(3歳以上)300円

皇居三の丸尚蔵館 グランドオープンプレイベント in表慶館「高精細複製 伊藤若冲《動植綵絵》 狩野永徳《唐獅子図屏風》」(東京国立博物館 表慶館)

《動植綵絵》の高精細複製品 制作:キヤノン株式会社(2026) 皇居三の丸尚蔵館収蔵 左:老松孔雀図[展示期間:4月17日~5月1日]、中央:群鶏図[展示期間:4月17日~5月1日]、右:牡丹小禽図[展示期間:5月2日~17日]

 キヤノンと独立行政法人国立文化財機構文化財活用センターが、国宝に指定されている伊藤若冲の《動植綵絵》の高精細複製品を制作。東京国立博物館の表慶館で5月17日まで一般公開されている。

 キヤノンと文化財活用センターは2018年10月より共同研究に取り組んでおり、これまでに18作品の高精細複製品を制作してきた。今回複製品が制作された《動植綵絵》は、江戸時代中期の画家・伊藤若冲が約10年間をかけて完成させた30幅に及ぶ花鳥画の大作。植物、鳥、昆虫、魚貝など、様々な生き物の生命感を瑞々しく描いた若冲の代表作として知られている。

 表慶館における《動植綵絵》の展示は、1926年の原本展示以来100年ぶり。また、2023年度に本プロジェクトで制作した国宝《唐獅子図屏風》(狩野永徳筆)の高精細複製品も併せて展示されている。

会期:2026年4月17日~5月17日
会場:東京国立博物館 表慶館
住所:東京都台東区上野公園13-9
開館時間:9:30~17:00(金土祝〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:表慶館への入館は無料(事前予約不要)。ただし、東博コレクション展(平常展)または特別展の観覧券が必要

 今週開幕

「The LUCKY choices:作ると生きるの分岐点」(KOGANEI ART SPOT シャトー2F)

 東京・武蔵小金井のKOGANEI ART SPOT シャトー2Fで、美術作家の制作と生活の両立をテーマに、表現を継続するためのあり方を模索する展覧会「The LUCKY choices:作ると生きるの分岐点」が開幕した。会期は5月31日まで。

 本展は、これまで美術業界で語られることの少なかった「妊娠・出産・育児」を起点とし、そこから派生する多様な生活の課題を、展覧会を通じて見つめ直すものとなる。

 会場では、作家ごとに「制作」と「生活」の両側面から作品とプロフィールを展示。作家としていかにキャリアをサバイブするかを問い、表現を通して、前向きな「作る」と「生きる」ことの模索を試みる。

会期:2026年5月14日〜31日
会場:KOGANEI ART SPOT シャトー2F
住所:東京都小金井市本町6-5-3 シャトー小金井 2F
開館時間:12:00〜18:00 
休館日:月火 
料金:一般 500円 / 学生 無料

「広重 東海道五十三次 版画×PHOTO」(MOA美術館

歌川広重《保永堂版 東海道五十三次之内 箱根 湖水図》(1833~34)

 静岡県熱海市のMOA美術館で「広重 東海道五十三次 版画×PHOTO」が開幕した。会期は7月7日まで。

 歌川広重(1797〜1858)は、江戸定火消同心の子として生まれ、歌川豊広に入門して広重の号を得た。1831年頃には「東都名所」シリーズで風景画に開眼し、保永堂版「東海道五十三次」の成功により浮世絵風景版画の第一人者となる。抒情性に富んだ画風で知られ、「名所江戸百景」など数多くの風景版画を世に出した。

 本展では、広重の代表作である保永堂版「東海道五十三次」全55作品を一挙公開する。本シリーズは、江戸日本橋から京都に至る旅情を、四季の移ろいや天候、時刻の変化とともに描き出したものだ。展示では、宿駅の現在の風景を撮影した写真パネルとの比較展示を行い、現代の東海道の旅を紹介。また、高精細デジタル画像で撮影した作品をオリジナル・フィルム・プロジェクションとして大画面に投影する。

会期:2026年5月15日〜7月7日
会場:MOA美術館
住所:静岡県熱海市桃山町26-2
開館時間:9:30〜16:30 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:木(ただし祝休日の場合は開館)
料金:一般 2000円 / 高大生 1400円 / 中学生以下 無料

「川合玉堂 ―なつかしい日本の情景―」(山種美術館

川合玉堂 早乙女 1945(昭和20) 絹本・彩色 山種美術館

 東京・広尾の山種美術館で、同館の開館60周年を記念した特別展「川合玉堂 ―なつかしい日本の情景―」が開催される。会期は5月16日~7月26日。

 本展は、1966年に日本初の日本画専門美術館として開館した山種美術館の開館60周年を記念する特別展の第1弾となる。同館の創立者・山﨑種二は玉堂と直接の交流があり、その縁から同館は71点の玉堂作品を所蔵している。

 会場では、初期の代表作である《鵜飼》(1895)から、琳派研究を通じて誕生した大正期の《紅白梅》(1919)、古典的な筆法と写実的な風景表現を融合させた昭和初期の《石楠花》(1930)、自然とともに生きる人々の姿を描いた《春風春水》(1940)や《早乙女》(1945)、戦後の第1回日展に出品された《朝晴》(1946)までが展示され、その画業の足跡をたどるものとなる。

会期:2026年5月16日~7月26日
会場:山種美術館
住所:東京都渋谷区広尾3-12-36 
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル、9:00〜20:00)  
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は16:30まで
休館日:月(ただし、7月20日は開館)、7月21日
料金:一般 1400円 / 大学生・高校生 1100円 / 中学生以下無料(付添者の同伴が必要)
※きもの・ゆかたでのご来館は、一般200円引き、大学生・高校生100円引き。