2026.5.1

5月に見たい展覧会ベスト15

2026年5月に開幕する展覧会のなかから、とくに注目したいものを編集部がピックアップしてお届けする。

フィンセント・ファン・ゴッホ《夜のカフェテラス(フォルム広場)》(1888年9月)キャンバスに油彩、80.7x65.3cm クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands. Photography by Rik Klein Gotink
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暗闇をくぐってみたら Part1 竹内公太展「のののののまつり」(市原湖畔美術館

 市原湖畔美術館で、竹内公太による個展「のののののまつり」が5月1日から開催される。

 本展は、改修中の同館による新たな展覧会シリーズ「暗闇をくぐってみたら」の第1弾として企画されたもの。暗闇の空間を進むことで、日常とは異なる世界へと誘う劇場型の展示が特徴だ。

 竹内は市原に滞在し、石碑や遺構、地域の信仰に関するフィールドワークを実施。その成果をもとに、自然や歴史、祈りといったテーマを織り交ぜた映像インスタレーションを展開する。土地に刻まれた記憶や時間の層を体感的に読み解く試みとなる。

会期:2026年5月1日~6月28日
会場:市原湖畔美術館
住所:千葉県市原市不入75-1
開館時間: 10:00~17:00(土・祝前9:30~19:00、日祝9:30~18:00)
休館日:月(祝日の場合は翌平日)
料金:一般 800円/大高生・65歳以上 600円

「絵と編物でみる 加藤博子の作品世界」(国立ハンセン病資料館)

 国立ハンセン病資料館で、「絵と編物でみる 加藤博子の作品世界」が5月2日から開催される。

 本展は、絵画と編物という異なる表現手法を往還しながら独自の制作を続けた加藤博子の作品を紹介するもの。油彩による風景や人物画に加え、毛糸を用いた衣服作品などが展示され、その多面的な創作の軌跡をたどる。

 加藤は療養所での生活のなかで制作を続けた作家としても知られる。本展では、その表現を通して、個人の記憶や生活、時代背景がどのように作品へと昇華されたのかに光を当てる。表現と生の関係を見つめ直す機会となるだろう。

会期:2026年5月2日~6月7日
会場:国立ハンセン病資料館
住所:東京都東村山市青葉町4-1-13
開館時間:9:30~16:30 ※入館は16:00まで
休館日:月、祝日の翌日
料金:無料

無人島プロダクション20周年記念展「ダウン・タイムス」part 1. きず(風間サチコ、小泉明郎、荒木悠)(無人島プロダクション

 無人島プロダクションで、設立20周年を記念した展覧会シリーズ「ダウン・タイムス」part 1. きずが5月2日から開催される。

 本展は、同ギャラリーに所属する作家たちのこれまでの活動を振り返る企画で、全3部構成の第1弾にあたる。風間サチコ小泉明郎荒木悠らによる既存作品を通して、20年にわたる表現の軌跡を再考する。

 タイトルの「きず」は、身体や社会に刻まれた痕跡としての傷を起点に、記憶や時間、回復のプロセスを象徴するもの。過去の作品を現在の文脈で再提示することで、新たな問いを立ち上げる試みとなる。

会期:2026年5月2日~6月7日
会場:無人島プロダクション
開館時間:月、金 13:00~19:00 / 土日祝 12:00~18:00
休館日:火〜木
料金:無料

ダニエル・ビュレン「Situated Works 1966-2013」(SCAI PIRAMIDE)

ダニエル・ビュレン《Fibres optiques - Bleu clair J2》(2013)光ファイバー布、白色LED(発光ダイオード)+カラースクリーン印刷(スカイブルー)、白色塗料(RAL 9003)、オーブン塗装金属ケース、電気部品 217.5×217.5cm Photo by Nobutada Omote Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE

 SCAI PIRAMIDEで、フランスの美術家ダニエル・ビュレンによる個展「Situated Works 1966-2013」が5月14日から開催される。

 本展では、1960年代から現在に至るまで60年以上にわたり活動を続けてきたビュレンの作品を紹介。初期のキャンバス作品から、光ファイバーとLEDを用いた近年の作品まで、異なる時代の実践を横断的に展観する。

 特徴的な8.7センチ幅のストライプを用いた「視覚の道具」によって、空間や制度そのものを問い直してきたビュレン。本展は、その一貫した思考と方法論を再検証するとともに、現代におけるその意義を改めて浮かび上がらせる機会となる。

会期:[前期]2026年5月14日~7月18日[後期]2026年7月23日~9月19日
会場:SCAI PIRAMIDE
開館時間:12:00~18:00
休館日:日〜水、祝日
料金:無料

「Stilllive Documents 2019–2025」(The 5th Floor

 東京・The 5th Floorで、パフォーマンスプラットフォーム・Stillliveによる展覧会「Stilllive Documents 2019–2025」が5月14日から開催される。

 本展は、2019年から2025年にかけて展開されてきたStillliveの活動を、未公開の写真や映像資料を中心に振り返るもの。作品としての完成形ではなく、身体を介した協働や即興的な応答によって生成される「関係のプロセス」に焦点を当ててきた同プラットフォームの実践を、記録を通じて再構成する。

 展示では、異なる時間に生じた出来事を同一の場に並置することで、断片的な記録から方法論や変遷を浮かび上がらせる。また会期中にはトークやパフォーマンスも行われ、過去の実践を現在へと接続する試みとして機能する。

会期:2026年5月14日~6月7日
会場:The 5th Floor
住所:東京都台東区池之端3-3-9 花園アレイ5F
開館時間:13:00~20:00
休館日:火、水
料金:500円

「ガウディ:未来をひらく窓」(21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3)

 東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3で、「ガウディ:未来をひらく窓」が5月16日から開催される。

 本展は、建築家アントニ・ガウディの創造において重要な役割を果たした「窓」に着目し、その思想や技術、造形的探究を多角的に紹介するもの。YKK APが推進する国際的な研究プロジェクトの一環として企画され、バルセロナでの展覧会と連動しながら開催される。

 会場では、これまでに蓄積されてきた研究成果や模型、映像資料などを通じて、ガウディ建築における「総合」と「調和」の思想を読み解く。建築・デザイン・技術が横断するガウディの革新性を、現代の視点から再考する機会となるだろう。

会期:2026年5月16日~7月12日
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3
住所:東京都港区赤坂9-7-6
開館時間:10:00~19:00
休館日:5月26日、6月23日
料金:無料

「川合玉堂 ―なつかしい日本の情景―」(山種美術館

川合玉堂《早乙女》(1945〈昭和20〉)絹本・彩色 山種美術館

 山種美術館で、開館60周年記念特別展「川合玉堂 ―なつかしい日本の情景―」が開催される。

 本展は、日本画家・川合玉堂の画業を総合的に紹介するもの。明治期の初期作品から戦後の代表作まで、同館所蔵を中心に名品が一堂に会する。

 玉堂は、日本の四季や田園風景、人々の暮らしを情感豊かに描き、日本的風景表現の新たな地平を切り開いた画家である。本展では、郷愁を誘う風景とともに、近代日本画の展開におけるその役割を改めて見つめ直す機会となりそうだ。

会期:2026年5月16日~7月26日
会場:山種美術館
住所:東京都渋谷区広尾3-12-36
開館時間:10:00~17:00
休館日:月
料金:一般 1400円 / 大学生・高校生 1100円

「SPECTRUM 2076 AD ── 来たる世界の意識体」(GYRE GALLERY

草野絵美《Ego In The Shell》(2025)マルチチャンネル・ビデオ・インスタレーション、20台以上のビンテージCRTモニター、AIビデオ

 東京・表参道のGYRE GALLERYで、「SPECTRUM 2076 AD ── 来たる世界の意識体」が5月22日から開催される。

 本展は、2076年という仮想的な未来の視点から現在を遡及的に捉え直す、思想的かつ実験的なグループ展。キュレーターの飯田高誉のもと、池田謙、森万里子、名和晃平、草野絵美、熊谷亜莉沙ら7名の作家が参加し、テクノロジー、意識、存在といった主題を横断する作品を展開する。

 展示では、「スペクトラム(光の分布)」と「スペクター(亡霊)」という二重の意味を軸に、現実と虚構、可視と不可視の境界を揺さぶる。音響、映像、彫刻、インスタレーションなど多様なメディウムを通じて、鑑賞者自身の身体感覚や知覚を撹乱し、「未来から現在を照らす」という構造を体験的に提示する。

会期:2026年5月22日~7月12日
会場:GYRE GALLERY
住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F
開館時間:11:00~18:00
料金:無料

「松本陽子 宵の明星を見た日」(府中市美術館

松本陽子《黒い岩Ⅴ》(1991)キャンバスにアクリル 個人蔵

 府中市美術館で、「松本陽子 宵の明星を見た日」が5月23日から開催される。

 松本陽子は1936年東京都生まれ。1967年から約1年間アメリカに滞在し、ニューヨークでアメリカの絵画に触れ、またアクリル絵具に出会う。帰国後にアクリル絵具と綿のローカンヴァスによる独自の手法を開拓。1970年代後半から評価を徐々に高め、2000年代以降は油彩に戻り、主調となる色を変えて、描き続けている。

 本展は、松本にとって初となる美術館での大規模個展。1950年代末の初期作品から近年の新作までを網羅し、65年以上に及ぶ画業の全体像を紹介する。90歳を迎える現在も制作を続ける作家の最新作も初公開され、その創作の現在地を示す機会となる。

会期:2026年5月23日~7月12日
会場:府中市美術館
住所:東京都府中市浅間町1-3(府中の森公園内)
開館時間:10:00~17:00 ※入室は16:30まで
休館日:月
料金:一般 800円 / 大学生・高校生 400円

「(UN)KNOWN HIROKO KOSHINO ―新説/真説 コシノヒロコ―」(東京都現代美術館

 東京都現代美術館で、「(UN)KNOWN HIROKO KOSHINO ―新説/真説 コシノヒロコ―」が5月26日から開催される。

 本展は、日本のファッション界を牽引してきたデザイナー・コシノヒロコの創作を、現代的な視点から再解釈する試み。オートクチュール作品約200点に加え、絵画やインスタレーションなど約130点が紹介される。

 また、フランスの現代アーティストとのコラボレーションや、グラフィックデザインとの対話などを通して、ファッションを越えた表現の広がりを提示。半世紀以上にわたる活動のなかで、絶えず更新され続けてきた創造の本質に迫る。

会期:2026年5月26日~7月26日
会場:東京都現代美術館
住所:東京都江東区三好4-1-1
開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(7月20日は開館)、7月21日
料金:一般 2200円 / 大学生 1500円 / 中高校生 800円 / 小学生以下 無料

「Osaka Art & Design 2026」(大阪各所)

「Osaka Art & Design 2025」の様子

 大阪市内各所で、周遊型イベント「Osaka Art & Design 2026」が5月27日から開催される。

 本イベントは、梅田・中之島から心斎橋、なんば、阿倍野までを横断し、百貨店や商業施設、ギャラリーなど数十会場で展開される都市型のアート&デザインフェスティバル。第4回となる今回は「Infinitize(ソウゾウを解き放つ)」をテーマに掲げる。

 国内外のクリエイターによる作品展示やインスタレーションに加え、ショッピングや街歩きと結びついた体験型プログラムが特徴。阪急うめだ本店やJR大阪駅などの公共空間を舞台にした大規模展示も予定されており、都市全体を回遊しながら鑑賞と消費を横断する新しい文化体験を提示する。

会期:2026年5月27日~6月23日
会場:大阪市内各所

「ART OSAKA 2026」(グラングリーン大阪ほか)

コングレスクエアが位置するグラングリーン大阪

 現代美術のアートフェア「ART OSAKA 2026」が、5月28日から大阪の2会場で開催される。

 本フェアは、うめきたエリアのグラングリーン大阪と、北加賀屋のクリエイティブセンター大阪の2拠点で展開。「Galleries」と「Expanded」という異なる構成により、展示と体験を横断する構造が特徴となる。

 Galleriesセクションには国内外から52のギャラリーが参加し、「Focus」「Wall」「Screening」などの新たな区分によって多様な表現を提示。いっぽう、Expandedセクションでは造船所跡地という空間を生かし、大型インスタレーションやサイトスペシフィックな作品が展開される。従来のアートフェアの枠組みを拡張し、都市と作品、観客の関係性を再考する場となるだろう。

会期:[Galleries]2026年5月29日~5月31日[Expanded]2026年5月28日~6月1日
会場:グラングリーン大阪/クリエイティブセンター大阪
料金:公式サイトを参照

「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」(上野の森美術館

神戸市立博物館会場の展示風景より、フィンセント・ファン・ゴッホ《夜のカフェテラス(フォルム広場)》(1888年9月16日頃)キャンバスに油彩 80.7×65.3cm クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands

 世界的に高い人気を誇る画家フィンセント・ファン・ゴッホの大規模展「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」が、5月29日から上野の森美術館で開催される。

 本展は、オランダのクレラー=ミュラー美術館の所蔵作品のみで構成される展覧会シリーズの第1期にあたり、画家としての出発点となるオランダ時代から、印象派との出会いを経たパリ時代、そして南仏アルルへと至る前半生に焦点を当てる。代表作《夜のカフェテラス(フォルム広場)》が約20年ぶりに来日する点も大きな見どころだ。

 また会場では、ルノワールやモネといった同時代の画家たちの作品もあわせて紹介され、ゴッホの表現がいかにして形成されていったのか、その影響関係を立体的に読み解くことができる。画家の創造の軌跡を多角的にたどる機会となるだろう。

会期:2026年5月29日〜8月12日
会場:上野の森美術館住所:東京都台東区上野公園1-2
開館時間:9:00~17:30(金土祝日〜19:00)
休館日:会期中無休
料金:公式サイトを参照

特別展「巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語 ―現代マイセンの磁器芸術―」(愛知県陶磁美術館

《サマーナイト》ティーサービス マイセン 1969年(1974年以降製作) 装飾:ハインツ・ヴェルナー 器形:ルードヴィッヒ・ツェプナー 個人蔵

 愛知県陶磁美術館で、特別展「巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語 ―現代マイセンの磁器芸術―」が5月30日から開催される。

 本展は、ドイツの名窯マイセンにおける現代的展開を代表するデザイナー、ハインツ・ヴェルナー(1928〜2019)に焦点を当てた初の展覧会。サービスウェアや陶板画などを通して、その創作の全体像を紹介する。

 18世紀に創業されたマイセンはヨーロッパ磁器の歴史を築いてきたが、本展ではとりわけ1960年代以降の「現代マイセン」に注目。「アラビアンナイト」「サマーナイト」「ブルーオーキッド」などのシリーズに見られる、物語性と装飾性に富んだ表現を通して、伝統技術と現代的デザインの融合を読み解く。また、親日家としても知られるヴェルナーと日本文化との関係にも触れられる。

会期:2026年5月30日~9月27日
会場:愛知県陶磁美術館
住所:愛知県瀬戸市南山口町234
開館時間:9:30~16:30(7月1日以降〜17:00)
休館日:月(ただし7月20日、9月21日は開館)、7月21日
料金:一般 1400円 / 大学生 1200円 / 高校生以下無料

「下村観山展」(和歌山県立近代美術館

 和歌山県立近代美術館で、「下村観山展」が5月30日から開催される。

 本展は、日本画家・下村観山(1873〜1930)の回顧展であり、生誕地・和歌山および西日本では約45年ぶりの大規模な展覧会となる。代表作を中心に、初期から晩年に至るまでの画業を体系的に紹介する。

 観山は狩野芳崖や橋本雅邦に師事し、岡倉天心のもとで日本美術院の創設にも関わった近代日本画の重要な担い手である。本展では、日本美術院での活動や西洋画との接触、さらには能楽をはじめとする自身のルーツや社会的関係にも光を当て、「生涯・芸術・社会」という3つの視点からその仕事を読み解く。近代日本美術の形成過程を立体的に捉える機会となるだろう。

会期:2026年5月30日~7月20日
会場:和歌山県立近代美術館
住所:和歌山県和歌山市吹上1-4-14
開館時間:9:30~17:00 ※入場は16:30まで
休館日:月(7月20日は開館)
料金:一般 1500円 / 大学生 1000円