2026.2.12

能登とともにあるアーティストの思考と行動を見つめる。震災から2年、「能登と artists」展が横浜で開催

震災から2年が経った能登の現在と、そこに関わるアーティストの思考と行動を紹介する展覧会「能登と artists 能登とともにある、アーティストの思考と行動」が、横浜のそごう美術館で開催される。

山本基 時の積層 2025
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 横浜のそごう美術館で「能登と artists 能登とともにある、アーティストの思考と行動」が開催される。会期は3月7日〜4月2日。

 2024年1月1日の能登半島地震から2年。復興はいまも道半ばにあるが、そのいっぽうで、能登に思いを寄せる人々が現地を訪れ、それぞれのかたちで関係を結び直す動きが続いている。そうした現在進行形の能登と、そこに関わるアーティストの思考と行動を紹介するのが本展だ。

 本展に参加するのは、石川県に暮らす10組に、石川出身で現在は県外を拠点とする前本彰子を加えた計11組のアーティスト。能登で活動を続けてきた作家、能登への思いを作品として紡いできた作家たちが名を連ねる。なかには自宅を失うなど、自身も被災者として震災を経験した作家も含まれている。

 展覧会は、「揺れる」「芽吹く」「重ねる」「変わる」「祈る」「歩む」というキーワードを軸に構成される。震災という断絶を生む出来事を出発点としながらも、それ以前から続いてきた日常、そして震災後も積み重ねられていく時間の層を、アーティストそれぞれの視点から可視化していく試みだ。

 展示では、被災そのものを伝えることを目的とした作品にとどまらず、被災した作品が再構成され、新たな意味を帯びるプロセスにも光が当てられる。金沢美術工芸大学アートプロジェクトチーム[スズプロ]による《奥能登曼荼羅》や、山本優美の《わたしのひふはおもたい》など、地震によって損傷を受けた作品は、たんなる修復ではなく、震災後の時間や記憶を引き受ける存在として展示される。

金沢美術工芸大学アートプロジェクトチーム スズプロ 奥能登曼荼羅 2017
山本優美 わたしのひふはおもたい 2021

 また、石川幸史による震災前後の能登の海岸を写した写真、高橋治希が能登の草花を描く新作、髙橋稜や仮()-karikakko-、モンデンエミコらによる、日常のなかにある震災の記憶をすくい取る作品群も紹介される。山本基は、倒壊した《記憶への回廊》から連なる作品や、被災した瓦を用いた新作を通して、喪失と再生を静かに問いかける。

 キュレーターの高橋律子はステートメントのなかで、「能登の『これから』に希望を抱き、一歩ずつ復興へと進んでいくことへの願いを込めた」「展示する作品のなかには、被災し、もとの形ではなくなった作品もある。しかし、アーティストたちはそこに意味を見出し、新たな作品として再構築する。そうしたアーティストたちの思考と行動が、能登の復興への大きな力となるのではないだろうか」としている。

 本展は、能登に直接足を運ぶことが難しい人にとっても、遠くからでも能登と関わり続けるための回路を開くものとなるだろう

石川幸史 シリーズ「汀の光、時の轍 能登」より 2024
髙橋稜 あの日みたもの 2024
仮()-karikakko- 仮(葬)-kari sou- 2024
モンデンエミコ 「刺繍日記」より 2025