A-POC ABLE ISSEY MIYAKE「TYPE-XIII Atelier Oï project」(21_21 DESIGN SIGHT)レポート。スイスのデザインスタジオとの新プロジェクトを日本初披露
六本木の21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3で、「A-POC ABLE ISSEY MIYAKE」とスイスのデザインスタジオ「atelier oï」との協業による新プロジェクト「TYPE-XIII Atelier Oï project」が発表された。会場の様子をレポートする。

東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3で、「A-POC ABLE ISSEY MIYAKE」(以下、A-POC)とスイスのデザインスタジオ「atelier oï(アトリエ・オイ)」の協業による新プロジェクト「TYPE-XIII Atelier Oï project」が発表された。

同プロジェクトでは、「一本のワイヤー」と「一枚の布」を融合させた新たなコンセプトの照明器具を開発。会場では、発表時のプロトタイプを中心に再構成した展示が日本初披露されている。

発表されたのは「O Series」「A Series」といった2つの照明だ。「O Series」は、日本のポータブル照明メーカー「Ambientec」とともに開発されたもの。「生花」をモチーフに、季節やゲストのために「花を生ける」というコミュニケーションの在り方から着想を得て生み出されたのだという。
美しい曲線を描くワイヤーフレームのなかには、A-POCによるプリーツ布「Steam Stretch」が光を受けて柔らかな陰影を織りなしている。このファブリックは、小さな磁石によってワイヤーに取り付けられており、使い手が自由にアレンジすることができるのも、同ブランドならではの魅力と言えるだろう。こちらは来年の販売が見込まれている。

もうひとつの「A Series」は、A-POCならではの無縫製ニットを活用した照明シリーズだ。チューブ状のニット生地はワイヤーを挿し込むことで立体的に。あらかじめ編み込まれたシェードからは、柔らかな光が降り注いでいる。こちらはBtoBでの販売が想定されており、シングル、ダブル、トリプルと空間に合わせて仕上げることも可能となっている。


A-POCのデザイナー・宮前義之は、今回のお披露目について次のように語る。「A-POC ABLE ISSEY MIYAKEにおいて、初の照明の提案となる。2023年にatelier oïと出会い、交流を重ねた末に誕生したこのシリーズは、今年のミラノデザインウィークで大きな反響を得た。今後も、様々な協業によって布の可能性を広げていきたい」。atelier oïのメンバーのひとり、パトリック・レイモンも続けてこう語る。「ISSEY MIYAKEは自身がデザインを学び始めた頃から心酔しており、その後も道標となり続けた存在だ。そして、我々ふたつのチームがこうして活動を続けてこれたのも、“素材を徹底的に生かす”ことを大切にしてきたからだ。今回の展示は、プロジェクトの第一歩に過ぎない。今後も別のスケールから新たな試みをともに探っていきたい」。
ISSEY MIYAKEには、有名な照明シリーズ「陰翳 IN-EI ISSEY MIYAKE」があり、このA-POCから発表された照明シリーズは、三宅一生のDNAを受け継ぐものと言える。このプロジェクトの今後の展開に期待が高まるばかりだ。







