2025.7.18

「ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末」がパナソニック汐留美術館で開催。デザイン・工芸からウィーンの生活文化をたどる

パナソニック汐留美術館で、「ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末 生活のデザイン、ウィーン・劇場都市便り」が開催される。会期は10月4日〜12月17日。

ポスタービジュアル
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 東京・汐留のパナソニック汐留美術館で、「ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末 生活のデザイン、ウィーン・劇場都市便り」が開催される。会期は10月4日〜12月17日。

 19世紀から20世紀初頭のウィーンでは、独自のモダンスタイルが確立された。オーストリアの建築家、オットー・ヴァーグナーが実用性と合理性を重視する「実用様式」を提唱。その思想に共鳴した弟子ヨーゼフ・ホフマンらが推進したウィーン世紀末のデザインには、幾何学的で建築的な造形を特徴とし、実用性と快適さを実現する機能美が備わっていたと言えるだろう。

 また、この世紀末のデザイン革新の背景には、19世紀前半の建築様式である「ビーダーマイヤー様式」への回帰がある。手工業の質の高さ、模倣ではない主体的なデザイン、自然モチーフへの親しみは、世紀末のデザイナーたちにとって「近代的な住文化の出発点」として賞賛された。過去の遺産を意識的に継承し、造形の基盤として参照しながら、より時代に即した造形に発展させることで独自の「ウィーン・スタイル」を獲得したのだ。

椅子 1820頃 アセンバウム・コレクション
Asenbaum Collection, ©Asenbaum Photo Archive
ウィーン磁器工房 カップアンドソーサー 1818 S.J.パッツル・コレクション
S.J.Patzl Collection, ©Asenbaum Photo Archive, Fotografer: Brigit und Peter Kainz

 本展では、その「ビーダーマイヤー」と「世紀転換期」という、ウィーンの生活文化における2つの特徴的な時代を取り上げ、銀器、陶磁器、ガラス、ジュエリー、ドレス、家具など、多彩な作品約270点を展示。会場では、この両時代に共通する美意識を、相互比較や空間構成によって体験することができるという。

 さらに、作品群に加え、当時際立った存在であった女性パトロンや文化人の活動も紹介。最終章では、世紀末ウィーンを越えてなお継承されるそのスタイルについても検証されるという。

左は、サモワール 1838 アセンバウム・コレクション Asenbaum Collection, ©Asenbaum Photo Archive, Fotografer: Brigit und Peter Kainz
右は、ヨーゼフ・ホフマン センターピース 1924-25 ギャラリー イヴ・マコ―協力 Courtesy Gallery Yves Macaux, ©Yves Macaux
ヨーゼフ・ホフマン(器デザイン)、マリア、リカルツ(装飾) 左は、ボックス、右は、花器 1920頃 エルンスト・プロイル・コレクション
Ernst Ploil Collection, ©Foto:Leopold Museum, Wien
ルーシー・リー ピンク線文鉢 1970年代後半 個人蔵
Private Collection, Estate of the Artist
撮影=大屋孝雄
フェリーチェ・リックス(上野リチ) 七宝飾箱「馬のサーカスⅠ」 1950頃(1987に再制作)
京都国立近代美術館