2026.8.20

「メゾン・マルタン・マルジェラ」アーカイブ300点超が競売へ。NEW AUCTIONで日本初開催

マルタン・マルジェラがメゾンを率いた1989〜2009年の作品300点以上が一堂に集うオークション「Maison Martin Margiela, 1989–2009: The Private Archive Collection」が、東京・渋谷のSAIで開催される。オークションは9月26日。9月18日から25日までプレビューも行われる。

Maison Martin Margiela, Spring-Summer 1997 Stockman Jacket
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 東京・原宿を拠点とするオークションハウス・NEW AUCTIONが、メゾン・マルタン・マルジェラに特化したオークション「Maison Martin Margiela, 1989–2009: The Private Archive Collection」を9月26日に開催する。同社によれば、メゾン・マルタン・マルジェラ単独のオークションは日本初となる。会場は渋谷のSAI。

 今回出品されるのは、ひとりのコレクターが約20年にわたって収集してきたプライベート・コレクションから選ばれた300点以上。マルタン・マルジェラが1989年のブランド創設から2009年までメゾンを率いた時代の衣服やオブジェで構成され、Artisanal、Replica、Doll(Barbie)といった代表的なシリーズに加え、各シーズンを支えたアイテムも多数含まれる。

 マルジェラは、衣服の解体と再構築、既製品や古着の転用、制作工程の可視化、匿名性へのこだわりなどを通じて、ラグジュアリーや作者性、衣服の完成形といったファッションにおける既成概念を問い直してきた。今回のコレクションは、そうした思想が具体的な衣服へと展開されていく過程を、約20年にわたりたどることのできるものとなるだろう。

注目のロットは?

 注目作のひとつが、1990年秋冬コレクションの《Cigarette Shoulder Jacket》。パリの郵便局を舞台に行われた同シーズンのショーでは、バックヤードの制作過程を公開するなど、完成品だけではなく「服をつくる過程」そのものを提示した。出品作は、鋭く構築された「シガレットショルダー」と呼ばれる肩のラインを特徴とする、初期マルジェラを代表する一着だ。

Maison Martin Margiela, Cigarette Shoulder Jacket, Autumn-Winter 1990

 また、鮮烈な赤を基調とした「赤のコレクション(The Red Show)」として知られる1995年秋冬コレクションからは、《Red Paint-Coated Denim Jacket》が登場。古着のデニムジャケットをベースに再構築し、全体を赤くペイントしたアーティザナル作品で、既存の衣服に別の価値を与えるマルジェラの方法論を端的に示している。

Maison Martin Margiela, Red Paint-Coated Denim Jacket, Autumn-Winter 1995

 1997年春夏コレクションの《Stockman Jacket》も重要な出品作だ。このシーズンでは、パターンやトワルなど通常は完成品の裏側に隠される要素が表面化された。《Stockman Jacket》は、パリの老舗マネキンメーカー「Stockman」のトルソーをそのまま衣服へと転換したもので、衣服をつくるための「道具」を完成品へと反転させた代表作として知られる。

Maison Martin Margiela, Stockman Jacket, Spring-Summer 1997

 続く1998年春夏コレクションの《Black Flat Suede Jacket》は、衣服を平面の状態で成立させる「Flat Garments」の一点。ハンガーに吊るされた状態を完成形としながら、人が袖を通すことで初めて立体的なシルエットが生まれる構造を持ち、衣服と身体との関係を問い直す作品となっている。

Maison Martin Margiela, Black Flat Suede Jacket, Spring-Summer 1998

 さらに、1994年秋冬コレクションの「Doll(Barbie)」シリーズを再解釈した1999年春夏の《The Wardrobe of a Doll Knit Cardigan》や、チェスターコートの写真をロングカーディガンへ転写した同年の《Trompe-l'œil Coat》、複数のヴィンテージのネグリジェやチューブトップを解体・再構築した2000年春夏コレクションの《Artisanal Oversized Slip Dress Made from Negligees and Tube Top》なども出品予定。マルジェラが繰り返し取り組んだスケール、表象、身体、再利用といったテーマを横断的に見ることができる。

Maison Martin Margiela, The Wardrobe of a Doll Knit Cardigan, Spring-Summer 1999

 出品するコレクターは今回のコレクションについて、「流行や希少性ではなく、その服が持つ思想や美意識に深く惹かれ、自分の人生をともに歩むものとして選び続けてきたコレクション」だとコメント。書籍の制作をひとつの節目として、その一部を次の時代へ託すことを決めたという。

 オークションに先立ち、9月18日〜25日にはSAIでプレビューを開催。一般来場者も実物を鑑賞できる機会となる。オンラインカタログは9月4日に公開予定だ。

Maison Martin Margiela, Trompe-l'oeil Coat, Spring-Summer 1999
Maison Martin Margiela, Artisanal Oversized Slip Dress Made from Negligees and Tube Top, Spring-Summer 2000