2025.4.24

「第61回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」の日本館作家に荒川ナッシュ医が決定

2026年にイタリア・ヴェネチアにおいて開催される「第61回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」。その日本館における出展作家が荒川ナッシュ医に決定した。

荒川ナッシュ医 撮影:Ricardo Nagaoka
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 2026年5月から11月にかけて、イタリア・ヴェネチアにおいて開催される「第61回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」。その日本館における出展作家が荒川ナッシュ医(あらかわなっしゅ・えい)に決定した。

 荒川ナッシュは1977年福島県生まれの日系アメリカ人。アメリカ合衆国ロサンゼルス在住のクィア・パフォーマンス作家。様々な人物との共同作業を続け、「私」という主体を揺るがしながら、アート作品や作家の主観の不確かさをグループ・パフォーマンスとして表現している。ロサンゼルスのアートセンター・カレッジ・オブ・デザイン、大学院アートプログラム教授。近年では、ハウス・デア・クンスト(ミュンヘン、2025)、国立新美術館(2024)、CHAT センター・フォー・ヘリテージ・アーツ・アンド・テキスタイル(香港、2024)、東京都写真美術館(2024)、クンストハレ・フリアール・フリブール(2023)、ミュゼイオン・ボーツェン(ボルツァーノ、2023)、アーティスツ・スペース(ニューヨーク、2021)、テート・モダン(ロンドン、2021)、ジャン大公近代美術館(ルクセンブルク、2021)、ホノルル・ビエンナーレ(2019)などの展覧会に参加している。

荒川医 メガどうぞご自由にお描きください 2021 展示およびパフォーマンス風景
テート・モダン、ロンドン
撮影:Brotherton-Lock
Courtesy of the artist
荒川ナッシュ医 LGBTQIA+ベイビー・シャワー・イベント 2024 パフォーマンス風景
国立新美術館、東京
撮影:中川周
Courtesy of the artists and The National Art
Center, Tokyo

 今回の決定に際し、荒川ナッシュは次のようにコメントを寄せている。

数年前に日本国籍を喪失し、日本代表としてヴェネチア・ビエンナーレに参加する機会はないと思っていました。1966年の草間さんのゲリラ行為や1997年の内藤礼さんの空間など、ビエンナーレの歴史的なパフォーマンスと対話できるこの機会に高揚しています。

パンデミック以降、日本館の選考プロセスは大きく変わりました。作家がキュレーターを選び、追加資金を調達しなければならない。国を代表するという「宿題」は複雑になってますが、見方を変えれば、今までよりさらに作家が主体性を持って展覧会に関与出来るということ。これまでの日本館でのダムタイプ、毛利悠子さんに続き、次の誰かにバトンタッチ出来るような風穴を開けたい。

現在、夫と私はロサンゼルスのアジア系ディアスポラ・コミュニティの新しい一員である 2人の子供をせわしなく育てています。最近、和田夏十さん脚本の1962年の映画『私は二歳』をもう一度見ました。彼女の脚本は、2026 年の日本館の私のパフォーマティブな展開のヒントとなるでしょう。 

(プレスリリース「作家コメント」より抜粋)

 なお、出展作家の決定にあたっては、選考委員によってノミネートされた作家から選定されている。今回選考委員を務めたのは、片岡真実(森美術館館長)、蔵屋美香(横浜美術館館長)、建畠晢(埼玉県立近代美術館館長)、南雄介(キュレーター)、野村しのぶ(東京オペラシティアートギャラリーキュレーター)、鷲田めるろ(金沢21世紀美術館館長、キュレーター)。最終選考作家は荒川ナッシュ医、今津景とバグース・パンデガ、小泉明郎志賀理江子(辞退)、島袋道浩目[mé]、山城知佳子。

荒川ナッシュ医 2024 「ペインティングス・アー・ポップスターズ」展示風景
国立新美術館、東京
撮影:中川周
Courtesy of the artists and The National Art Center,Tokyo