2026.10.21

10万年の地層を現代アートに。喜界島で「さんごの島科学芸術祭」が初開催、長谷川祐子が参加

鹿児島県・喜界島を舞台に、「さんごの島科学芸術祭2026」が10月30日から初開催される。長谷川祐子をエグゼクティブアートディレクターに迎え、10万年にわたる地質の記録やサンゴ礁研究の成果を、映像や音響、光を用いた現代美術へと転換する。

「さんごの島科学芸術祭」メインビジュアル
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 鹿児島県・喜界島を舞台とする「さんごの島科学芸術祭2026」が、10月30日〜11月8日に初開催される。総合プロデューサーを渡邊剛、エグゼクティブアートディレクターを長谷川祐子が務め、島内各地を会場に、サンゴ礁の研究成果と現代美術を結びつけた作品を展開する。

 本芸術祭は、NPO法人喜界島サンゴ礁科学研究所、総合地球環境学研究所、さんごの島科学芸術祭実行委員会が連携して開催するもの。世界でも稀少な隆起サンゴ礁によって形成された喜界島に蓄積された約10万年にわたる地球環境の記録を、映像や音響、光などを用いた現代美術の表現へと転換することを目指す。

喜界島

10万年の地球の記憶をアートに

 鹿児島県の奄美群島に位置する喜界島は、隆起サンゴ礁によって形成された島として知られる。2024年には国際地質科学連合(IUGS)の「世界地質遺産100選」に選定され、25年には日本ジオパークにも認定された。

 今回の芸術祭では、こうした島の地質学的な特徴に着目。10万年にわたる地層や隆起サンゴ礁、地下水、集落の暮らしや文化を作品制作の出発点とし、島そのものを展示空間として活用する。喜界島サンゴ礁科学研究所が蓄積してきた学術的な知見をもとに、アーティストたちが島の自然環境や歴史を映像、音響、光などの表現へと変換する。会場はスギラビーチや地下ダムトンネル、集落の公民館、研究施設など島内6ヶ所に及び、いずれも無料で鑑賞できる。

隆起サンゴ岩から地下ダムまで。島全体を展示空間に

 主要作品のひとつが、宮尾昇陽による《まばたきのあわい The liminal blink》だ。スギラビーチにある隆起サンゴ岩をスクリーンとして映像を投影し、島の地質そのものを作品の一部として取り込む。

 また、立石従寛の《いつひろに Five Fathom Down》は、全長366メートルに及ぶ地下ダムトンネルを会場とした音響インスタレーション。普段は美術作品の展示場所として想定されない地下空間を活用し、音を通じて島の環境を体験する作品となる。

立石従寛《いつひろに Five Fathom Down》 ※作品イメージ

 小野津神宮公民館では、八木夕菜が《島が海だったとき When the Island Was Sea》を発表。サンゴと時間を手がかりに、かつて海だった土地の記憶をたどるインスタレーションを展開する。さらに、喜界島サンゴ礁科学研究所では、山崎敦子による《c_cycle of coral》を展示。島とサンゴをめぐる化学的な循環を可視化する試みだ。

 また、会期後半の11月6日〜9日には、約300人が参加する「日本サンゴ礁学会」も併催される。学術研究と芸術表現を同じ島で展開することで、科学的な知見を専門家以外の人々にも伝えることを目指す。10月30日にはオープニングセレモニーを開催し、隆起サンゴ岩への映像投影のほか、島唄三味線や八月踊り、六調などのパフォーマンスも予定されている。

 なお、2027年1月には京都・伏見の河港跡「伏見港」の珊瑚庵で巡回展の開催も予定されている。喜界島の地質や環境を起点とした表現が、島外へと展開していくことになる。