2026.8.27

UESHIMA MUSEUMが館内展示を刷新。長谷川祐子と奈良祐希がキュレーションする2つの展覧会がスタート

東京・渋谷のUESHIMA MUSEUMが館内展示を刷新する。長谷川祐子がキュレーションする第3回コレクション展「像は燃え、像は歪み、そして光に昇華する」と、陶芸家・建築家の奈良祐希が手がける「時のうつほ」が同時にスタートする。一般公開は9月2日〜。

第3回コレクション展『像は燃え、像は歪み、そして光に昇華する』B1F展示風景
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 東京・渋谷のUESHIMA MUSEUMが館内展示を刷新し、9月2日より一般公開する。地下1階から5階では、前回に引き続き長谷川祐子をキュレーターに迎えた第3回コレクション展「像は燃え、像は歪み、そして光に昇華する」を開催。6階では、陶芸家・建築家の奈良祐希がキュレーションを手がけ、茶陶と現代陶芸を紹介する「時のうつほ」が開催される。

UESHIMA MUSEUM外観

 UESHIMA MUSEUMは、実業家・植島幹九郎が収集したUESHIMA MUSEUM COLLECTIONを公開する場として2024年に開館。「同時代性」をテーマに、国内外のアーティストによる850点を超える作品を収蔵している。今回の展示刷新では、そのコレクションから作品を選び、異なる視点を持つ2つの展覧会を展開する。

地下から地上へ。「見る」ことの変容をたどる

 第3回コレクション展「像は燃え、像は歪み、そして光に昇華する」を手がけるのは、前回の第2回コレクション展に続き2025年3月まで金沢21世紀美術館館長を務めたキュレーターの長谷川祐子。地下1階から5階までの6フロアを使い、「消滅と風景」「都市と痕跡」「反復と像」「肖像と隠蔽」「断片と都市」「光と影──像を手放す場所へ」というテーマのもとで作品を構成する。

 展示は、地下から最上階へと上っていく鑑賞者の身体的な移動とともに、「見る」という行為そのものが変化していくよう構成される。大型絵画による情景から、都市のエネルギーや人間を通して立ち現れる世界、そして像を離れた抽象的な光へ。フロアを上るにつれ、イメージが徐々にその輪郭を手放していく過程をたどる。

アイ・ウェイウェイ《Table with two legs》(2005)
草間彌生《今こそわが芸術のおとづれをまっているワタシ ハナバナしいわが心のナグサメのおとづれをまっている(...)》(2021)
ピピロッティ・リスト《Flüstern mit Kometen 〈Whispering with Comets〉》(2026)

 出展作家には、アイ・ウェイウェイ(1957〜)、アンディ・ウォーホル(1928〜87)、オラファー・エリアソン(1967〜)、草間彌生(1929〜)、ゲルハルト・リヒター(1932〜)、シアスター・ゲイツ(1973〜)、ジェームズ・タレル(1943〜)、杉本博司(1948〜)、奈良美智(1959〜)、ピピロッティ・リスト(1962〜)、村上隆(1962〜)ら国内外のアーティストが名を連ねる。

ラキブ・ショー《The Pragmatic Pessimist》(2024)
村上隆、ヴァージル・アブロー《Yellow and Pink》(2018)

 展示作品には、今津景《The Sea is Barely Wrinkled》(2025)、ラキブ・ショー《The Pragmatic Pessimist》(2024)、アイ・ウェイウェイ《Table with two legs》(2005)、村上隆とヴァージル・アブローによる《Yellow and Pink》(2018)、ナイジェル・クック《Nemesis》(2026)、ピピロッティ・リスト《Flüstern mit Kometen》(2026)などが含まれる。

茶碗の「空」に流れる時間を見つめる

 いっぽう6階では、茶の湯の伝統と現代美術との交わりに焦点を当てる新たな取り組みの第1弾として、「時のうつほ」を開催。360年以上続く茶陶の名窯・大樋焼の家系に生まれ、建築と陶芸の双方を学びながら制作を続けてきた陶芸家・建築家の奈良祐希がキュレーションを手がける。

茶陶と現代陶芸展『時のうつほ』展示風景

 本展のキーワードとなるのは、器の内側にある空洞を意味する「うつほ」。作品をおおむね年代順に配置し、「沈黙」「受容」「変容」「解放」の4章を通じて、器の内側に生み出されてきた「空」が、時代とともにどのように変化し、拡張してきたのかをたどる。

樂一入(四代)《黒茶碗 銘『面白や』》
桑田卓郎《茶垸 / Teabowl》(2016)

 樂一入(四代)(1640〜96)や初代大樋長左衛門(芳土庵)(1631〜1712)、樂慶入(十一代)(1817〜1902)、黒田泰蔵(1946〜2021)、樂直入(十五代)(1949〜)、大樋長左衛門(十一代)(1958〜)、樂吉左衛門(十六代)(1981〜)といった作家に加え、シオ・クサカ(1972〜)、桑田卓郎(1981〜)、シアスター・ゲイツ、三嶋りつ惠(1962〜)、安永正臣(1982〜)、奈良祐希(1989〜)らの作品を紹介。桑田卓郎《茶垸 / Teabowl》(2016)や奈良祐希《Bone Flower》(2022)など、茶陶の歴史と現代の表現を横断する作品が並ぶ。

 また館内の茶室「幹槐庵」では、樂直入(十五代)、国松希根太(1977〜)、イサム・ノグチ(1904〜88)、アリシア・クワデ(1979〜)、奈良祐希らの作品も展示。茶陶に受け継がれてきた時間と、同時代の作家たちによる表現を重ね合わせながら、器と「空」をめぐる系譜を浮かび上がらせる。

 2024年の開館以来、収蔵作品を軸に展示を展開してきた同館。今回のリニューアルでは、外部のキュレーターやアーティストによる視点を取り入れながら、コレクションの新たな組み合わせと見せ方を提示する。今後、850点を超える収蔵作品からどのような展示が組み立てられていくのか、その展開にも注目したい。