2026.10.20

ウーゴ・ロンディノーネ、日本初個展を京都・清水寺で開催。17体の石の人物像が「月の庭」と呼応

ウーゴ・ロンディノーネの日本初個展「静寂のかたち」が、京都・清水寺で開催される。会期は10月27日〜11月12日。17体の石の人物彫刻をはじめ、太陽を描いた絵画や僧侶の彫刻を通して、自然と身体、時間、精神性の関係を探る。

ウーゴ・ロンディノーネ《the eternal》(2026)ブルーストーン、ステンレススチール、コンクリート 高さ:72cm 台座:90×40×40cm © Ugo Rondinone. Courtesy the Artist and Sadie Coles HQ, London
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 スイス出身のアーティスト、ウーゴ・ロンディノーネの日本初個展「静寂のかたち」が、京都・清水寺で開催される。会期は10月27日〜11月12日。

 1964年スイス・ブルンネン生まれのロンディノーネは、ウィーン応用美術大学を卒業後、97年にニューヨークへ移住し、現在も同地を拠点に活動している。自然をたんなる風景としてではなく、精神的な状態としてとらえ、身体や意識、時間、人間の存在をめぐる作品を制作してきた。2017年にはニューヨークの複数の文化施設を横断する大規模な回顧展が開催され、近年も世界各地の美術館や公共空間で作品を発表している。

「月の庭」に佇む17体の石の人物像

 本展の中心となるのは、清水寺の塔頭である成就院に設置される17体の石の人物彫刻だ。成就院は、清水寺の再興に尽力した僧・願阿の住坊として建立された歴史を持ち、名勝「月の庭」でも知られる。

ウーゴ・ロンディノーネ《the luminous》(2026)ブルーストーン、ステンレススチール、コンクリート 高さ:57cm 台座:95×35×35cm © Ugo Rondinone. Courtesy the Artist and Sadie Coles HQ, London

 大小様々な石を積み重ねたような人物像は、世界各地の文化に見られる石造の道しるべや人型の構造物を想起させる。また、父親が石工だったロンディノーネにとって、石という素材は個人的にも深い意味を持つという。これらの人物像は、庭園の石や苔、植物、水、借景として取り込まれた山々の風景と呼応しながら、人間の身体と自然界、そして地質学的な時間と人間の一生との関係を問いかける。

ウーゴ・ロンディノーネ《fünfterjanuarzweitausendundvierundzwanzig》(2024)キャンバスに油彩 直径:90cm © Ugo Rondinone. Courtesy the Artist and Sadie Coles HQ, London

 また、床の間には赤と黒で描かれた太陽の絵画が展示される。同心円状に広がる色面は、暗い中心から光が放射状に広がるような印象を生み出し、昼夜や季節、生と死といった循環する時間を想起させる。石の人物像が長い地質学的な時間を体現するいっぽう、太陽の絵画は日々繰り返される時間の流れを表している。

清水寺の歴史と呼応する僧侶の彫刻

 いっぽう、清水寺の西門のふもとには、青と白に彩られた僧侶の彫刻が設置される。青い頭部と白い身体を持つトーテムのような人物像で、粗い表面は自然の力によってかたちづくられたかのような印象を与える。

ウーゴ・ロンディノーネ《blue white monk》(2020)ブロンズ塗装 293 x 156.8 x 80 cm © Ugo Rondinone. Courtesy the Artist and Sadie Coles HQ, London

 作品は、同じ場所にある祥雲青龍像と並ぶかたちで展示される。清水寺の伝承では、青龍は観音菩薩の化身とされ、夜ごと音羽の滝に飛来して水を飲むと伝えられている。ロンディノーネは、運動や守護、変容を象徴する龍と、静止や観想、内省を体現する僧侶を対比させることで、異なる歴史や精神性が共存する関係を生み出そうとしている。

 ロンディノーネは今回の展覧会について、「日本で初めての展覧会を、自然と建築、そして宗教的な営みが何世紀にもわたって共存してきた清水寺で開催できることを、心から幸運に思います」とコメント。また、「静寂のかたち」では僧侶、人間の姿、太陽という3つの根源的な原型を結び合わせ、それぞれが物質的な世界と内面、目に見えるものと視覚を超えて感じ取るものとの関係を体現していると説明する。

 約1250年の歴史を持つ清水寺を舞台に、現代美術の彫刻や絵画を寺院の建築、庭園、宗教的な伝統と重ね合わせる本展。ロンディノーネが長年探求してきた自然と人間の存在、そして時間をめぐる思索を、京都の歴史的な空間のなかで展開する。