2026.7.9

国立ハンセン病資料館で「ハンセン病療養所のなかの『外国人』」が開催。隔離政策の場に生きた海外ルーツの人々に焦点を当てる

東京都東村山市の国立ハンセン病資料館で、企画展「ハンセン病療養所のなかの『外国人』」が開催される。会期は7月18日〜11月29日。

多磨全生園の在日朝鮮人入所者のお茶の間(1980年代以降)
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 東京都東村山市の国立ハンセン病資料館で、企画展「ハンセン病療養所のなかの『外国人』」が開催される。会期は7月18日〜11月29日。担当は同館学芸員の木村哲也。

 ハンセン病は「らい菌」という細菌に感染することで引き起こされる感染症の一種。近代以降の国の誤った政策(*1)により、患者やその家族らが偏見・差別を受け、甚だしい人権侵害を引き起こしたという問題が存在している。同館は、そういった問題に晒されてきた患者や元患者、その家族の名誉回復を図るために1993年に開館。ハンセン病問題に関する正しい知識の普及啓発による偏見・差別の解消を目的とし、活動を続けている。

 「外国人」をめぐるまなざしや言葉が、入管、移民、多文化共生、差別・排除といった時事的な論点として問われる現在。本展は、ハンセン病療養所という隔離政策の場に生きた海外ルーツの人々の経験から、いまの日本社会を考える手がかりを提示するものとなる。

民族舞踊グループ「アリランの会」で使用されたチマチョゴリ(1990年代以降)
在日朝鮮人入所者・久保田一朗こと具奉守(ク・ボンス)によって拓かれた「一朗道」の碑
日本の植民地であった地域の療養所入所者が日本政府を訴えた裁判支援の横断幕(2005)

 今回の企画は、とりわけ数の多かった在日朝鮮人の入所者に関する資料を中心に構成。過酷な土木作業に用いられた道具、1959年以降の年金獲得をめぐる闘争の記録、民族のアイデンティティを守ろうとした生活の様子、民族舞踊の衣装や楽器、文学作品などをテーマごとに整理し、初めて一堂に展示される。

インドネシア出身の入所者が祖母から形見にもらったサンゴの指輪と金のアクセサリー
亡命ロシア人三代目の入所者・トロチェフによる詩の自筆原稿(1969)

 さらに、ロシアやインドネシアにルーツを持つ入所者にも焦点を当てる。過酷な隔離政策のもとで闘い、尊厳を保って生きた人々の姿を通じて、ハンセン病問題への理解を深めるとともに、多民族共生という現代の課題についても考える契機を創出するという。

*1──1907年に放浪するハンセン病患者の隔離を定めた「癩予防ニ関スル件」(明治40年法律第11号)が成立。31年には同法律が改正され、すべての患者を本人の意思に関わりなく隔離する「強制隔離」が始まる。この強制隔離は、「らい予防法」が廃止される96年まで続いた。