2026.7.8

一般入場ができる大学美術館・博物館まとめ

大学の研究資料やコレクションを所蔵している「大学美術館・博物館」。存在は知っているものの「行く機会があまりない」「そもそもキャンパス内に入っていいのだろうか」と入場することに躊躇った経験がある人も少なくないだろう。しかし、教育機関が所蔵するコレクションは学生のみならず、じつは社会人にとっても見ごたえのあるものばかりだ。本記事では大学が運営する「一般入場が可能な」美術館・博物館をピックアップして紹介する。

村上春樹ライブラリー館内の階段本棚 撮影:編集部
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「東京藝術大学大学美術館」(東京都台東区)

 東京藝術大学のキャンパス内に位置する大学美術館は、同大学の前身である東京美術学校が1887年に設置される以前から、教育・研究のための「参考品」や、歴代の教員や卒業生が残した作品などを収蔵している。

東京藝術大学大学美術館外観 提供:東京藝術大学大学美術館

 代表作として、高橋由一の《鮭》や狩野芳崖の《悲母観音》、上村松園の《序の舞》などのほか、後に巨匠となった芸術家たちの自画像も数多く収蔵。常設展は行っておらず、年1~2回の「藝大コレクション展」にて収蔵品を一部公開するほか、様々なテーマの特別展や学生の卒業・修了作品展、博士審査展、教員の退任記念展なども定期的に開催されている。上野の美術館を巡る際には、ぜひ訪れたいスポットだ。

住所:東京都台東区上野公園12-8
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜17:00
休館日:月

「武蔵野美術大学 美術館・図書館」(東京都小平市、鷹の台キャンパス)

 武蔵野美術大学 美術館・図書館は、大学美術館として美術作品やデザイン資料などの収集と保存、データベースの構築と公開、そして展覧会の企画、開催といった活動を行っている。3万点におよぶポスターと400脚を数える近代椅子をはじめとして、約4万点を超えるデザイン資料や美術作品は、美術教育や研究の貴重な基礎資料として社会的にも大きな意義を持つコレクションを形成している。

武蔵野美術大学 美術館・図書館の「民具これなーんだ?──民俗学者・宮本常一が美術大学に遺した民具コレクション」(2026)の展示風景 撮影:編集部

 展覧会は、同大教員による監修の企画展や教授退任展、卒業制作優秀作品展など、年に8本ほど開催されており、研究成果発表の場や教育普及の観点からもその内容は興味深いものが多い。

 なお、同キャンパス内にある「民俗資料室ギャラリー」では、一般の人々が日々の暮らしのなかで生み出し、使い続けてきた暮らしの造形資料(民具)が約9万点所蔵されており、そのコレクションも定期的に公開されている。

住所:東京都小平市小川町1-736
電話番号:042-342-6003
開館時間:11:00〜19:00(土日祝は10:00〜17:00)
休館日:水 

「京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA」(京都府京都市)

 京都市立芸術大学のサテライト・スペースとして2010年に開館した「京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(アクア)」は、教育・研究成果を社会に向けて情報を発信するほか、市民とともに積極的な交流を図る拠点となっている。2023年10月には京都駅東部エリアへの大学キャンパス移転にともない、キャンパス内施設として新たなスタートを切った。

京都市立芸術大学ギャラリー「Slow Culture #kogei」(2023)展示風景 撮影:編集部

 同ギャラリーでは、学芸スタッフの企画による特別展や、同大学の研究成果発表展、教員・在学生・卒業生による企画展などの展覧会を開催。ほかにも、国内外で活躍するアーティストを講師に迎えた若手アーティスト対象のワークショップやレクチャーなど、多岐にわたる活動が実施されている。

住所:京都府京都市下京区下之町57-1 京都市立芸術大学 C棟1階
電話番号:075-585-2010
開館時間:10:00〜18:00
休館日:月(祝日の場合は翌平日休館)、年末年始

「東京大学総合研究博物館 本郷本館」(東京都文京区、本郷キャンパス)

 東京都文京区にある「東京大学総合研究博物館」は、国内で初めてとなる教育研究型ユニバーシティ・ミュージアムとして1996年に誕生した。世界的水準の学術研究を各分野ごとに追究展開することを前提に、博物館活動のなかにクリエイティビティを生み出すことを大きな目標としているという。

東京大学総合研究博物館 本郷本館 提供:東京大学総合研究博物館 撮影:フォワードストローク

 同大学で所有される約600万点の学術標本のうち、総合研究博物館では現在に至るまでに約400万点を所蔵。それらのコレクションは、「東京大学コレクション展」などのシリーズ企画や、先駆的な「デジタル・ミュージアム」展といった一般向けの展覧会としても公開されている。

 ほかにも同博物館は、本郷本館以外にも小石川分館(2021年より休館中)や、東京・丸の内の「インターメディアテク」といった関連施設でもそのコレクションや研究成果が展開されている。国内最高峰の教育機関によるコレクションを一度は見ておきたいものだ。

住所:東京都文京区本郷7-3-1 東京大学本郷キャンパス内
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:土日祝

「早稲田大学坪内博士記念演劇博物館」(東京都新宿区)

 小説家で劇作家の坪内逍遙(1859〜1935)の古希と、坪内がその半生を傾倒した「シェークスピヤ全集」全40巻の翻訳が完成したのを記念して、1928年に有志で設立されたのが、「早稲田大学坪内博士記念演劇博物館(通称、エンパク)」だ。同館には国内外でも貴重な資料が揃っており、錦絵や舞台写真、図書、チラシ・プログラム、衣装・人形・書簡・原稿といったコレクションはおよそ100万点にもおよぶ。

早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 撮影:編集部

 常設展では、1階では「京マチ子記念特別展示室 日本の映画とテレビ」、2階では「逍遙記念室」、3階では「古代・中世|近世・近代 I|近代 II・現代 |世界の演劇 ヨーロッパ・アメリカ」が実施されているほか、様々な切り口で企画された展示なども年間複数回実施されている。これらの膨大なのコレクションが入館料無料で見ることができるのは、演劇好きにとっては嬉しいスポットであると言えるだろう。

住所:東京都新宿区西早稲田1-6-1
電話番号:03-5286-1829
開館時間:10:00〜17:00(火金〜19:00)
休館日:不定休

「早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)」(東京都新宿区)

 「早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)」は、早稲田大学校友である小説家の村上春樹が寄託・寄贈した小説作品の直筆原稿、執筆関係資料、書簡、インタビュー記事、作品の書評、海外で翻訳された書籍、蒐集した数万枚のレコード等を保管し、公開する施設。村上が考案した「物語を拓こう、心を語ろう」というモットーを掲げ、村上春樹の文学を基点にしつつ、研究・交流・発信を活動の柱としながら日本文学・文化の世界的研究センターとなることを目指している。建物は早稲田演劇博物館に隣接する旧4号館を大規模改修したもので、設計は建築家の隈研吾が担当した。

村上春樹ライブラリー館内の階段本棚 撮影:編集部

 同館は地上5階、地下1階の6フロアで構成。地下1階(カフェ、ラウンジ、ポケットパーク、「村上さんの書斎」)、1階(受付、ギャラリーラウンジ、オーディオルーム)、2階(スタジオ、ラボ、展示室)、3階(研究書庫、閉架書庫)、4階(セミナールーム、研究室)、5階(国際文学館事務所、館長室)となっている。村上春樹ファンはもちろん、文化発信の拠点としても注目しておきたいライブラリーだ。

住所:東京都新宿区戸塚町1-104
電話番号:03-3204-4614
開館時間:10:00〜17:00(90分入替制、事前予約制、2023年5月15日〜26日はMuseum Weekのため事前予約不要)
休館日:水

「會津八一記念博物館」(東京都新宿区)

 美術史家であり、歌人、書家としても活躍した會津八一(1881〜1956)のコレクションをはじめ、戦前より行われた考古学の発掘資料、寄贈された近現代の美術作品、土佐林コレクションのアイヌ民族資料など、早稲田大学独自の文化遺産を収蔵するのが1998年に開館した「會津八一記念博物館」だ。開館後は、富岡重憲コレクション、内山コレクション、服部コレクション、小野コレクション、安藤更生コレクションなどの寄贈を受け、現在その収蔵品は5万点以上にもおよぶという。

會津八一記念館内観 撮影:編集部

 おもなコレクションには、横山大観と下村観山の合作である《明暗》(1927)や、會津八一が定めた《学規》(1914)、會津コレクションのひとつである唐代の《三彩駱駝 駝丁俑》、アイヌの織物「アットゥシ(樹皮衣)」などを収蔵。展覧会や関連イベントも定期的に開催されており、絵画や工芸、建築、書画までそのジャンルは幅広い。

住所:東京都新宿区西早稲田1-6-1 早稲田キャンパス2号館
電話番号:03-5286-3835
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は16:30まで
休館日:水、大学の臨時休業日、年末年始、2月、8月

「慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)」(東京都港区、三田キャンパス)

 2021年に開館した「慶應義塾ミュージアム・コモンズ」は、160年を超える慶應義塾の歴史のなかで集積された学内の文化財や学術資料を相互に連携させ、活用し保存する新たな施設。資料を通じた領域横断的な研究・教育活動の発信と、先端的なIT技術を駆使したアナログ・デジタルの融合による新たな展示収蔵モデルの提案を行っている。

慶應義塾ミュージアム・コモンズ 撮影:編集部

 同施設の特徴は、その所蔵品を展示するだけではない。併設されているクリエイション・スタジオを活かした実験的なイベントやワークショップが行われているほか、「目に見える収蔵庫」を意識したガラス張りの収蔵庫前室「オープン・デポ」では、学芸員の日常業務を来館者が垣間見ることができるなど、「開かれたミュージアム」である点が挙げられるだろう。

 また、慶應義塾大学が所蔵する文化財をオンライン公開するポータルサイト「Keio Object Hub」も運営されており、同大学で蓄積されたアートやカルチャーを積極的に社会へ発信しようとしている姿勢もうかがい知ることができる。

住所:東京都港区三田2-15-45 慶應義塾大学三田キャンパス東別館
電話番号:03-5427-2021
開館時間:10:00〜17:00(展示により異なる)※入館は閉館の30分前まで
休館日:土日祝

「霞会館記念学習院ミュージアム」(東京都豊島区)

 2025年3月、学習院大学にオープンした大学博物館「霞会館記念学習院ミュージアム」。このミュージアムの前身である学習院大学史料館は、1949年に開学した学習院大学の附置研究施設として75年に設立。開館以来、史・資料の収集・保存、調査・研究、展示・公開 を行い、数多くの展覧会も開催してきた。そのコレクションは古文書、絵画、工芸など25万点を超え、なかでも皇族・華族ゆかりの品々は、貴重な史・資料、美術品群と言える。

リニューアル記念特別展「華族文化 美の玉手箱 芸術と伝統文化のパトロネージュ」(2025)展示風景より 撮影:編集部

 新ミュージアムの建物は、建築家・前川國男により設計されたかつての大学図書館を、博物館施設としてリノベーションしたもの。外装は前川建築に特徴的なコンクリート壁を甦らせたいっぽう、内部は機能的な博物館として生まれ変わった。

会場:霞会館記念学習院ミュージアム
住所:東京都豊島区目白1-5-1 学習院大学目白キャンパス内
開館時間:10:00〜17:00
休館日:日、祝日、その他大学休講日・入試期間など
料金:無料

「北海道大学総合博物館」(北海道札幌市)

 札幌市にある北海道大学には、130年以上前の札幌農学校時代から収集・保存・研究されてきた400万点にものぼる標本・資料が蓄積されている。1999年春に開館したこの総合博物館は、旧理学部本館を再利用したもの。大学の多様な研究成果を現在に伝えるとともに、最先端の研究を様々な実物資料が映像で展示・紹介されており、寒い地域ならではの生物標本やオホーツク文化を伝える考古資料まで、北海道ならではの資料が豊富なのも特徴のひとつだ。

北海道大学総合博物館 提供:北海道大学総合博物館

 展示は建物の1階から3階まであるため、すべてをゆっくりと見学するには半日以上要する。時間に制限のある場合は、同館ウェブサイトやリーフレットから展示室を絞って向かうのが良いだろう。

 また、広大な大学キャンパス内の北にある「札幌農学校第2農場」では、開拓使期の建築や当時の酪農経営の形態を伝える重要な資料が現存している。時間があればこちらもぜひチェックしてほしい。

住所:北海道札幌市北区北10条西8
電話番号:011-706-2658
開館時間:10:00〜17:00
休館日:月(ただし祝日の場合は翌平日が休館)、年末年始(12月28日〜1月4日)
料金:無料 ※募金受付中

金沢工業大学ライブラリーセンター「五十嵐威暢アーカイブ」(石川県野々市市)

 石川県野々市市の金沢工業大学ライブラリーセンター内に、彫刻家・グラフィックデザイナーの五十嵐威暢(1944〜2025)の作品や資料を収蔵する「五十嵐威暢アーカイブ」が2023年11月にオープンした。ディレクターは野見山桜(デザイン史研究家)。

五十嵐威暢アーカイブ 撮影:編集部

 五十嵐といえば、多摩美術大学にて初代デザイン科学科長を務め、2011年には多摩美術大学第9代学長に就任。その後名誉教授となった。代表作に、旧明治乳業やサントリー、金沢工業大学、多摩美術大学などのCIデザイン、「旧渋谷PARCO ネオンサイン」(現在は2019年に新たにオープンした渋谷PARCO内に展示)、東京ミッドタウン内彫刻《予感の海へ》、「EXPO '85 国際科学技術博覧会」ポスターデザインなどがある。

 同アーカイブは、金沢工業大学の教育方針のもと、急速に変化する社会からの要請に応えるべく、「デザインとアート」を柱とした感性教育を融合すること、そしてその研究の充実と実践を行うことを目指し設立されたもの。五十嵐の厚意で寄贈された約5000点もの作品や資料を活用した独自の教育プログラムを通じて、学生が独自の視点で物事を観察し、創造する力を引き出す活動を推進するという。このアーカイブは地域の学びの場として、学生のみならず一般の人々も利用することが可能となっている。

住所:石川県野々市市高橋町22-7-1 金沢工業大学ライブラリーセンター2F
開館時間:10:00〜17:00
休館日:ウェブサイトを参照
料金:無料

「大阪芸術大学博物館」(大阪府河南町)

 大阪芸術大学は1964年の開学以来、あらゆる芸術資料の収集に努めてきた。2002年に設立された同大博物館は、19世紀末の初期モデルから20世紀半ばまでの変遷を概観できる蓄音機コレクションや、世界に4セットしかない作家自選によるアンリ・カルティエ=ブレッソン写真コレクション、20世紀グラフィックデザインのひとつの大きな流れであるスイス派の作品などのほか、国内外の優れた美術作品や芸術資料を多く収蔵。4000点を超える作品・資料のほか、数万枚のSPレコードもコレクションしている。

大阪芸術大学博物館 展示ホール 提供:大阪芸術大学博物館

 常設展示はないが、大学内には展示ホール(芸術情報センター1階)のほか、回廊ギャラリー(芸術情報センター1階)や体育館ギャラリー(総合体育館1階)など、複数の施設があるため、企画展にあわせてみて回るのも良いだろう。

住所:大阪府南河内郡河南町東山469
電話番号:0721-93-3781
開館時間:11:00~18:00
休館日:日祝(展覧会開催日には公式ウェブサイトを確認)
料金:無料 

「沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館」(沖縄県那覇市)

 沖縄県立芸術大学の第2キャンパス内にある、丸いレリーフが特徴の建築物。その2階にある図書・芸術資料館には、沖縄伝統芸術の継承と創造、後継者の育成、汎アジア的芸術文化に関する教育・研究に寄与するための資料が所蔵されている。

沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館の外観 提供:沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館

 同館には絵画、彫刻、陶磁器、染織、漆器、楽器などの貴重資料のほか、同大学の卒業・修了買上作品や本学教員の作品も所蔵。さらに、特別コレクションには、染色家であり、沖縄文化研究者の鎌倉芳太郎資料(国指定重要文化財)や、同じく染色家で民藝運動家でもある岡村吉右衛門の台湾原住民の織布、首里織復興に尽力した大城志津子のコレクションも含まれている。

住所:沖縄県那覇市首里当蔵町1-4
電話番号:098-882-5038
開館時間:10:00〜17:00
休館日:年末年始および展示替え期間(不定期)のみ
料金:無料