2026.5.22

国立西洋美術館で「テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話」が10月に開催。ターナーの絵画と現代美術の対話にも注目

東京・上野の国立西洋美術館で「テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話」が開催される。会期は10月24日〜2027年2月21日。

J.M.W. ターナー《捕鯨船エレバス号に万歳! もう一頭獲ったぞ!》(展示:1846)キャンバスに油彩 テート美術館 Photo by Tate
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 東京・上野の国立西洋美術館で、「テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話」が開催される。会期は10月24日〜2027年2月21日。なお、本展は大阪中之島美術館(2027年3月13日〜6月27日)にも巡回予定となっている。

 ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775〜1851)は、1802年に史上最年少でロイヤル・アカデミーの正会員となるなど、イギリス絵画史上もっとも偉大な画家のひとりとされる人物だ。移ろう光や大気、荒れ狂う海や空、あるいは産業革命期に人間が排出しはじめた蒸気や煤煙など、この世界の一定ではない諸相を時に克明に、時に抽象化して描き出した。その取り組みは絵画の可能性を拡張し、絵画史における新地平を切り拓いたとも言えるだろう。

《ターナーの肖像》(J.M.W. ターナーの原画にもとづくウィリアム・ホールの版画、1859-61)紙にエングレーヴィング テート美術館 Photo by Tate

 本展は、世界最大のターナー・コレクションを誇るロンドンのテート美術館の所蔵品から、油彩画や水彩画など、80点以上を紹介する大回顧展となる。序章と全7章の構成で作品をテーマごとに再編し、ゆるやかな時系列に沿って展示。さらに、ターナーの絵画と現代美術を併置して対話させ、その問題意識が後世のアーティストたちの関心とも響きあうことを提示するという。

80点に及ぶ傑作を序章と全7章で構成

 序章「暗い部屋」では、ターナーによる月光の表象や日食のスケッチを現代アーティストであるケイティ・パターソン(1981〜)のインスタレーションとともに展示する。続く第1章では、島国である英国の風景を綿密に観察した初期作品を取り上げ、歩行を通じた表現を行うリチャード・ロング(1945〜)の作品と対照させる。第2章では、アルプスを中心とする英国外の風景を紹介し、オラファー・エリアソン(1967〜)の写真シリーズと並べてアーティストが共有する環境の変化への意識を検証する。

J.M.W. ターナー《月光、ミルバンクでの習作》(展示:1797) 板(マホガニー)に油彩 テート美術館 Photo by Tate
J.M.W. ターナー《カンバーランド、コニストン山脈の朝》(展示:1798)キャンバスに油彩 テート美術館 Photo by Tate

 第3章では、歴史画のジャンルにおける実験的手法を、コーネリア・パーカー(1956〜)のインスタレーションと対比させる。第4章では、ヴェネツィアを主題とした作品群を、ハワード・ホジキン(1932〜2017)の版画や日本の近代画家である栗原忠二(1886〜1936)の絵画とともに紹介。第5章では、海景画に焦点を当て、捕鯨産業を描いた作品や「奴隷船」にまつわる版画を、アート・コレクティブであるオトリス・グループの映像作品と接続して展示する。

J.M.W. ターナー《カナル・グランデ、サン・シメオン・ピッコロ教会、夕暮れ》(1840)紙に水彩、グワッシュ、ペン、インク テート美術館 Photo by Tate
J.M.W. ターナー《荒海と難破船》(1840-45頃)キャンバスに油彩 テート美術館 Photo by Tate

 第6章では、海の詩的な性格や微細な変化を捉えたスケッチなどを紹介し、ヴォルフガング・ティルマンス(1968〜)の写真作品との共通点を探る。第7章では、光と大気に焦点を絞った晩年の挑戦的な作品群を展示し、マーク・ロスコ(1903〜70)やバーネット・ニューマン(1905〜70)の絵画に見られる「抽象的崇高」との関係に注目する。

J.M.W. ターナー《新月――あるいは「ボートを失った、きみにフープはやらない」》(展示:1840)板(マホガニー)に油彩 テート美術館 Photo by Tate
J.M.W. ターナー《荒海とイルカ》(1835-40頃)キャンバスに油彩 テート美術館 Photo by Tate