2025.7.10

丸の内ストリートギャラリーに中村萌らの新作4点が追加

東京駅にほど近い丸の内仲通り。ここで展開されているパブリック・アートプログラム「丸の内ストリートギャラリー」に、新作4点が追加された。

中村萌《Whirling Journey》(2025)
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 1972年に始まり半世紀以上の歴史を持つ「丸の内ストリートギャラリー」に、新作が追加された。

 同プロジェクトは、東京・丸の内仲通りをメインに、近代彫刻の巨匠や現代美術家の作品を展示するプロジェクト。主体は三菱地所と彫刻の森芸術文化財団が担う。この丸の内ストリートギャラリーでは、仲通り全体で17点の作品が展示されており、そのなかには舟越桂や三沢厚彦、中谷ミチコ、名和晃平らの作品が含まれている。

舟越桂 《私は街を飛ぶ》(2022)
三沢厚彦 《Animal 2017-01-B2》(2017-19)
中谷ミチコ 《小さな魚を大事そうに運ぶ女の子と金ピカの空を飛ぶ青い鳥》(2022)

 このラインナップに新たに加わったのは、中村萌(1988年東京都生まれ)、山本桂輔(1979年東京都生まれ)、佐藤正和重孝(1973年北海道生まれ)、イワタルリ(1951年東京都生まれ)による、いずれも新作の4点だ。

 例えば、木彫を中心に愛らしさや恐れなどを内包した作品を制作している中村萌の《Whirling Journey》は、頭の中でめぐる思考や空想、その先にある希望を形にしたもの。1本の楠の丸太を原型にしており、その力強いフォルムが生かされた。中村にとって屋外展示の作品は今回が初めてとなった。

中村萌 《Whirling Journey》(2025)

 山本桂輔は「ものをつくる、想像する、思考する」ということへの関心を軸に、彫刻・絵画を制作している。《眠りながら語らい、歌う》と題された本作は、植物や動物、鉱物などを想起させるモチーフが複雑に絡み合っており、地底の生命の営みを大地、そして空へとつなげようとするものだ。

山本桂輔《眠りながら語らい、歌う》(2025)

 佐藤正和重孝は、黒御影などの硬質素材の特性を活かし、甲虫を「神化」した作品を手がけるアーティスト。《Symbiosis(共生)》は、フンコロガシが何かを運んでいる光景がモチーフ。環境浄化としてのフンコロガシの行為を讃えるとともに、都会にはない光景を出現させた。

佐藤正和重孝《Symbiosis(共生)》(2025)

 鋳造による大型彫刻などを手がけるイワタルリの《No.2506031》は、鋳込みガラスとコールテン鋼、板ガラスで構成されたもの。ガラスという素材そのものの存在感を強く感じさせるものだ。

イワタルリ《No.2506031》(2025)