2025.9.22

DICがクリスティーズで主要な美術品売却へ。モネやルノワールなど出品

DIC株式会社は、同社保有の美術品の一部をクリスティーズで売却することを明らかにした。

千葉・佐倉での活動を終了したDIC川村記念美術館
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 今年3月31日に千葉県佐倉市での運営を終了したDIC川村記念美術館。同館を運営するDICが、所有する美術品の売却について新たな方針を発表した。

 すでにDICは同館を「ダウンサイズ&リロケーション」することを明らかにしており、リロケーションについては、東京・六本木の国際文化会館で2030年をめどに新拠点をに開館させる予定を明らかにしている。いっぽうで注視されてきたのがダウンサイズの部分だ。同社は保有する美術品384点について、同社のアイデンティティを象徴する作品群を1/4程度(100点程度)に絞り込むプロセスを進め、残る3/4程度(280点程度)の美術品の具体的な売却プロセスを検討してきた。

 売却対象となる美術品のうちの主要な作品80点程度については、クリスティーズを通じて国際オークションに出品。なかでも「とくに著名かつ経済的価値が高い」作品20点程度については、今年11月中旬からニューヨークで開催されるオークションに出品することを決定した。

 11月のセールにはモネやルノワール、マティス、シャガールなどの作品が含まれており、クリスティーズのサラ・フリードランダー戦後・現代美術部門副会長は、「最高水準の作品のみで構成されるこの由緒あるコレクションは、日本および国際的に主要な美術館としての同館の豊かで重要な歴史を反映している。市場初登場のこれら作品群を、真に卓越した来歴と共に、お客様にご提供できる稀有な機会を大変嬉しく思う」とコメントを寄せている。

クロード・モネ 睡蓮 1907
出典=クリスティーズWebサイト

 なお上記以外の残りの対象作品の売却は、オークション以外の方法を通じて段階的に2026年12月まで継続して実施するという。

 同社は、「短期的な売却手段としての合理性だけでなく、売却における公平性の観点から、主要な作品については、幅広く日本を含む世界中の方が参加可能なオークションを売却方法として選択した」と説明。同社は売却によって少なくとも100億円程度のキャッシュインを目指すとしてきたが、クリスティーズとの保証契約締結でその数字が実現できるとしている。