モーリス・ユトリロ展

　ＳＯＭＰＯ美術館で「モーリス・ユトリロ展」が開催される。

　モーリス・ユトリロは、20世紀初頭のパリの街並みやモンマルトルを描いたことで知られる風景画家。画家のシュザンヌ・ヴァラドンの私生児として生まれ、のちにスペイン出身の画家ミゲル・ユトリロに認知されその姓を名乗る。青年期にアルコール依存症を患い、その治療の一環として絵画制作を始めたユトリロは、ピサロやシスレーの影響を受けた厚塗りの作風から出発し、やがて白壁の街並みを独自の技法で描く「白の時代」を築いた。晩年には色彩豊かな「色彩の時代」へと移行し、エコール・ド・パリのなかでも独自の地位を確立。本年はその没後70年にあたる。

　本展では、フランス国立近代美術館（ポンピドゥー・センター）の協力のもと、同館所蔵の《モンマニーの屋根》（1906〜07）や《ラパン・アジル》（1910）をはじめ約70点の作品と、アーカイブを管理するユトリロ協会が提供する貴重な資料を展示。初期の「モンマニー時代」、白壁を主題とした「白の時代」、そして晩年の「色彩の時代」まで、画風の変遷をたどることで、ユトリロの確立した唯一無二の様式に迫る。