EXHIBITIONS
山本雄基展
板室温泉大黒屋で「山本雄基展」が開催される。
山本雄基は北海道帯広市生まれ。北海道教育大学大学院を修了後、札幌を拠点に国内外で精力的に作品を発表してきた。山本の制作に通底するのは、「見るとは何か」「絵画はどう存在するのか」という根源的な問いだ。それはたんなる視覚表現の追求にとどまらず、人間の感覚そのものや意識、認知の深層へと踏み込むような探究の旅でもある。
山本は、キャンバスに透明のアクリルメディウムを幾層にもかさ、その上に円形のモチーフを配置。さらに、それらを反転させるように、くり抜かれた円形=ヴォイド(Void)をかさね、また透明な層を加えていく。こうした工程を十層以上にわたって繰り返しながら、絵画は構築されていく。おもに円形をもちいるのは、根源的で強いかたちであると同時に、できるだけ特定の意味内容を持たせないようにするためという。
山本の近年の取り組みとして注目すべきは、プログラマーとの協働により独自に開発された描画システム「Random Circle Drawing System(RCDS)」だ。このシステムでは円の構成や配色が無数に自動生成され、そのなかから山本が自らの感覚で「選ぶ」ことで作品が成立する。構図や色彩といった本来作家の感覚にもとづく選択を一度手放し、再びそこから選ぶという二重の選択構造は、作者性や表現の主体についての新たな問いを導き出している。
また、本展には、慶應義塾大学巴山竜来研究室との共同制作による作品も含まれる。巴山は、数学を専門としながらアートとテクノロジーの領域を横断する研究者。情報と身体、構造と感性の交差点を主題に、インタラクションデザインやデータビジュアライゼーションの分野でも精力的に活動を続けている。
今回のコラボレーションは「ファンダメンタルズプログラム」の枠組みをきっかけに行われたものであり、山本の視覚的思索と、巴山研究室による数理的かつ論理的なアプローチが交差することで、感覚と知性のあわいに新たな知覚体験を生み出す試みとなっている。本展では、描画システムRCDSを活用した近作を中心に、巴山研究室との共同制作を含む約20点の作品を紹介する。
山本雄基は北海道帯広市生まれ。北海道教育大学大学院を修了後、札幌を拠点に国内外で精力的に作品を発表してきた。山本の制作に通底するのは、「見るとは何か」「絵画はどう存在するのか」という根源的な問いだ。それはたんなる視覚表現の追求にとどまらず、人間の感覚そのものや意識、認知の深層へと踏み込むような探究の旅でもある。
山本は、キャンバスに透明のアクリルメディウムを幾層にもかさ、その上に円形のモチーフを配置。さらに、それらを反転させるように、くり抜かれた円形=ヴォイド(Void)をかさね、また透明な層を加えていく。こうした工程を十層以上にわたって繰り返しながら、絵画は構築されていく。おもに円形をもちいるのは、根源的で強いかたちであると同時に、できるだけ特定の意味内容を持たせないようにするためという。
山本の近年の取り組みとして注目すべきは、プログラマーとの協働により独自に開発された描画システム「Random Circle Drawing System(RCDS)」だ。このシステムでは円の構成や配色が無数に自動生成され、そのなかから山本が自らの感覚で「選ぶ」ことで作品が成立する。構図や色彩といった本来作家の感覚にもとづく選択を一度手放し、再びそこから選ぶという二重の選択構造は、作者性や表現の主体についての新たな問いを導き出している。
また、本展には、慶應義塾大学巴山竜来研究室との共同制作による作品も含まれる。巴山は、数学を専門としながらアートとテクノロジーの領域を横断する研究者。情報と身体、構造と感性の交差点を主題に、インタラクションデザインやデータビジュアライゼーションの分野でも精力的に活動を続けている。
今回のコラボレーションは「ファンダメンタルズプログラム」の枠組みをきっかけに行われたものであり、山本の視覚的思索と、巴山研究室による数理的かつ論理的なアプローチが交差することで、感覚と知性のあわいに新たな知覚体験を生み出す試みとなっている。本展では、描画システムRCDSを活用した近作を中心に、巴山研究室との共同制作を含む約20点の作品を紹介する。