SATELLITES

　プラダ 青山店で、デンマークの映画監督ニコラス・ウィンディング・レフンと日本のゲームクリエイター小島秀夫による展覧会「SATELLITES」が開催される。

　レフンと小島は現在、映画業界とゲーム業界のプロセスが互いに接近し、かさなりあう傾向にあると考えている。そして、将来的には共通のテクノロジーの活用などを通じて、ひとつのデジタル次元へと融合する可能性があるという信念のもと活動している。この統合されたデジタル環境は、個人や集団の体験に新たな可能性をもたらし、映画とゲームというふたつの次元の境界を再定義する。

　レフンと小島による新たなコラボレーション作品《Satellites》は、ふたりのクリエイターが個の枠を超え、言語の壁を越えることを可能にしている。10年以上にわたり、両者がともに培ってきた思考プロセスのなかで生まれた作品やアイデアは、ふたりの関係性と融合し、メディアの境界を曖昧にする技術によって、未来の共通領域をかたちづくる可能性を暗示する。

　本展示空間は、精緻なミッドセンチュリー風のワンベッドルーム・アパートメントの一室と変化。このインスタレーションは、レトロフューチャーな宇宙船を模した6台のテレビで構成される。これらのテレビスクリーンには、レフンと小島が深く思索的な対話を交わす様子が映し出されている。彼らの対話は、友情、クリエイティブなコラボレーション、新しいテクノロジーと創造性、アイデンティティとコミュニケーション、死とその先に残るものなど、多岐にわたるテーマを探っている。

　インスタレーションの第二部は、会場内の更衣室で展開される。室内にはカセットプレーヤーが置かれ、その周囲にはテープが山積みになっている。テープにはサウンドバイトや映画のサウンドトラックが収録されており、さらに、レフンと小島の対話が様々な言語でAI翻訳され、織り交ぜられている。本展では、存在と不在、物質と非物質、アナログとデジタルが、継続的な探求の軸となる。