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2024.9.25

「ニンテンドーミュージアム」がついに開館。「あそび」に注がれてきた135年の情熱と愛を目の当たりにせよ

10月2日に京都府宇治市にオープン予定の「ニンテンドーミュージアム」。長年ゲーム業界を牽引し、世界中を魅了してきた任天堂による、世界でも稀なゲームミュージアムとはどのようなものなのか。一足先にその全容をレポートする。

文=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部) 画像提供=任天堂株式会社

ミュージアム内2階展示エリア
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 10月2日に京都府宇治市にオープン予定の「ニンテンドーミュージアム」。長年ゲーム業界を牽引し、世界中を魅了してきた任天堂による、世界でも稀なゲームミュージアムとはどのようなものなのか。一足先にその全容をレポートする。

 任天堂の創業は1889年。83年にファミリーコンピュータを発売して以来、様々なゲーム専用機のハードウェアおよびソフトウェアを開発・製造・販売してきた。ニンテンドーミュージアムに先駆け、23年には京都市内で京都髙島屋S.C.の専門店ゾーン「T8」に国内3店舗目の任天堂直営オフィシャルストアとなる「Nintendo KYOTO」をオープンさせた。そして今回、同ミュージアムは、宇治小倉工場(京都府宇治市)の用地および建屋を資料館としてリノベーションするかたちでオープンする。

ニンテンドーミュージアム 外観
ニンテンドーミュージアム 外観

 敷地内には大きく分けて、「ミュージアム」「ショップ」「カフェ・ワークショップ」の棟がある。まずはミュージアム棟の展示エリアから順を追って見ていこう。

 まずミュージアム敷地内に入るには、ゲートで発行された入館証が必要となる。展示棟エントランスではキノピオたちがお出迎え。開業後は混雑も予想されるが、ここで記念撮影をするのもよいだろう。

展示棟エントランス
8月20日の「ニンテンドーミュージアム Direct」より。入館証のマリオは、ミュージアム公式サイトのチケットページから自身のMiiに変更することも可能だ。来館前にカスタマイズができるのでぜひ試してみてほしい

ミュージアム棟 2階 展示エリア

 展示エリアは2階からスタート。ここには、任天堂が1889年の創業時から開発してきた製品が一堂に並んでいる。

ミュージアム内2階展示エリア

 会場でも壮観なのは、ゲーム&ウオッチ(1980)を皮切りに、ファミリーコンピュータ(1983)、Nintendo Entertainment System(1985)、ゲームボーイ(1989)、スーパーファミコン(1990)、Super Nintendo Entertainment System(1991)、バーチャルボーイ(1995)、NINTENDO64(1996)、ニンテンドーゲームキューブ(2001)、ゲームボーイアドバンス(2001)、ニンテンドーDS(2004)、Wii(2006)、ニンテンドー3DS(2011)、Wii U(2012)、Nintendo Switch(2017)といった、任天堂によって開発・世界展開されてきたゲーム機やゲームソフトの数々がずらりと勢揃いしている点だ。

 各ゲーム機ごとにショーケースが展開されており、その特徴やそのゲーム機ならではのソフト、そしてそのゲーム機で実践された「あそび」への挑戦や「技術」の挑戦についてもわかりやすく紹介されている。

 子供時代に遊んだ思い出のゲーム機やソフトのパッケージを前に、やはり喜びと懐かしさを噛み締めてしまいながらも、そのゲーム体験が開発のどのような変遷のなかに位置付けられていたかを改めて知る機会にもなった。

ミュージアム内2階展示エリア。ハードやソフトに加え、該当ゲームの取扱説明書や、当時のゲーム雑誌『ゲームボーイ』『ファミコン通信』があわせて展示されているケースもある
ミュージアム内2階展示エリア
ミュージアム内2階展示エリア

 また、任天堂が創業時より取り組んできたあそびへの探究についても、「挑戦の時代」と称したエリアで紹介されている。花札やかるた、ベースボールゲーム、ボードゲームなど様々なテーマを掲げながら、日常生活に新たなあそびを提案してきたことが伺えるだろう。

ミュージアム内2階展示エリア

ミュージアム棟 1階 体験エリア

 1階に降りると、過去に任天堂が生み出してきたあそびをより現代的なかたちで体験することができる8つのエリアが展開されている。

 花札をよりインタラクティブに遊ぶことができるコンテンツのほか、同社が開発したコントローラーを巨大化し、二人一組で遊ぶことができる「ビッグコントローラー」、光線銃を用いたシューティングゲーム「ザッパー&スコープSP」、1968年に発売された「ウルトラマシン」などが登場。これらは入館証に付属するコインを用いて遊ぶことが可能となっている。このコーナーは1人ではもちろんのこと、複数人で同じゲームを楽しめるのが魅力のひとつだ。

ミュージアム内1階体験エリアより、「しぐれでんSP」
ミュージアム内1階体験エリアより、「ビッグコントローラー」
ミュージアム内1階体験エリアより、「ザッパー&スコープSP」
ミュージアム内1階体験エリアより、「ウルトラマシンSP」

ショップ

 ショップでは、ニンテンドーミュージアムでしか手に入らないグッズが多数用意されている。手軽なサイズから少し大きめなものまで幅広いバリエーションとなっているため、手荷物は余裕を持って来場するのが好ましいだろう。

ミュージアムショップ

カフェ・ワークショップ

 ミュージアムの展示棟から外に出るとすぐにカフェ・ワークショップ棟が見える。カフェスペース「HATENA BURGER」(運営:株式会社スマイルズ)では、京文化の特色が盛り込まれたメニューのほか、スマートフォンからは自身でカスタムを楽しめるオリジナルハンバーガーもオーダー可能だ。組み合わせはなんと27万通り以上。食事のメニューを選ぶ際も遊び心を忘れない任天堂らしい心意気を感じた。

HATENA BURGER 外観
HATENA BURGER

 カフェの2階には、ワークショップスペースとして「プレイルーム」と「クラフトルーム」の2種類が設置。任天堂が製造販売に携わってきた花札にまつわるプログラムが展開されている(体験には来館当日の予約のほか別途費用が必要)。

 プレイルーム「ちょっと、花札であそぼう」では、実際に花札を用いた対戦が行えるほか、クラフトルーム「ちょっと、花札をつくろう」ではインクや筆を用いて、自身で花札をつくる体験もできる。「あそび」という体験を受け手とつくり手の目線から味わえる、心踊る内容だ。

プレイルーム「ちょっと、花札であそぼう」

 現在、ニンテンドーミュージアムは12月の来館予約が受付中(抽選制)。創業から135周年を迎えた任天堂が「あそぶこと」に注いできた情熱と愛をぜひこの場所で目の当たりにしてほしい。

クラフトルーム「ちょっと、花札をつくろう」
クラフトルーム「ちょっと、花札をつくろう」

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