EXHIBITIONS

企画展

ライアン・ガンダー:ユー・コンプリート・ミー

2025.05.31 - 11.30

ライアン・ガンダー Closed systems 2024 Courtesy the artist and TARO NASU, Tokyo. Photo:Ryan Gander Studio

 ポーラ美術館で「ライアン・ガンダー:ユー・コンプリート・ミー」が開催される。

 ライアン・ガンダー(1976〜)は、英国サフォークを拠点に活動するアーティストだ。絵画、彫刻、映像、テキスト、VRインスタレーションから建築、出版物や書体、儀式、パフォーマンスに至るまで、幅広く多元的な作品と実践を通して、ガンダーは芸術の枠組みやその意味を問い直しながら国際的な評価を確立してきた。また自身の制作に加えて、展覧会のキュレーション、大学や美術機関での指導、また子供たちを支援する活動にも取り組んでおり、多くの書籍の執筆・編集、テレビ番組の制作・出演を通じて芸術や文化の普及にも携わるガンダーは、現代におけるアーティスト像を更新している。

「一種のネオ・コンセプチュアルであり、特定の様式を持たないアマチュア哲学者」と自称するガンダーは、日常のなかに潜む物語や多層的な意味を、知的な遊び心と鋭いユーモアを交えながら表現している。その作品においては、不在や死、不可視、潜在性といったテーマが現実と虚構が複雑に絡みあうなかで展開される。

 本展では、ライアン・ガンダーの最新作を紹介。人間の言葉を話すカエル、読めない時計や仮想の国旗、ある兄弟の偽りの歴史など、ガンダーの作品はきわめて具体的でありながら、とらえどころのない神秘に満ちている。「アートの目的はコミュニケーションではなく、触媒として曖昧さを提供すること」と作家が語るように、作品の意味は固定されておらず、鑑賞者の働きかけ、解釈と連想のプロセスによって出会いのたびに新たな物語が創造される。