2026.9.18

「第4回BUG Art Award ファイナリスト展」が開催。会期中にファイナリストを決める公開最終審査を実施

東京・八重洲のBUGで、「第4回BUG Art Award ファイナリスト展」が開催される。今回の「BUG Art Award」のファイナリストに選出されたのは、大塚珠生、齊藤美帆、さとうくみ子、鈴木一生、竹内佐実、Moche Le Cendrillonの6名。会期は9月9日〜10月4日。

「第4回BUG Art Award ファイナリスト展」の展示風景
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 リクルートホールディングスが運営する、東京・八重洲のBUGで、「第4回BUG Art Award ファイナリスト展」が開催される。会期は9月9日〜10月4日。

 「BUG Art Award」は、制作活動年数が10年以下のアーティストを対象にしたアワード。審査員からのフィードバックの提供や、展示・設営に関する相談会の開催などのサポートを行い、審査の過程でアーティストの成長を支援するものだ。新しい表現への挑戦やアーティストのキャリア形成をバックアップしたいという想いを背景に、継続的に開催されている。

会期中にはファイナリストを決める公開最終審査も

 会期中の9月15日には、グランプリ1名を選出するための公開最終審査を実施。グランプリ受賞者は、約1年後にBUGにて個展を開催し、設営撤去をあわせた作品制作費上限300万円と別途アーティストフィーが支給される。

 審査員を務めるのは、内海潤也(石橋財団アーティゾン美術館学芸員)、沢山遼(美術批評家)、能勢陽子(東京オペラシティアートギャラリー シニアキュレーター)、百瀬文(美術家)、やんツー(美術家)。6名のファイナリストは、公開最終審査のなかで、同展の展示作品とグランプリを受賞した際の個展プランについてプレゼンテーションを実施。その内容をもとに審査を行い、議論の結果、鈴木一生がグランプリを受賞した。なお、審査の様子は事前申込者にオンライン配信を通じて公開された。

 今回441件の応募から選出されたのは、大塚珠生、齊藤美帆、さとうくみ子、鈴木一生、竹内佐実、Moche Le Cendrillonの6名。それぞれの表現は彫刻、映像、インスタレーション、ドローイング、パフォーマンスなど多岐にわたり、本展はファイナリスト6名の話し合いにより展示位置を決め、BUGの空間を使って展示・設営のシミュレーションなどを行いながら最終の展示プランを決定する。また会期中には、ファイナリスト6名による展示ツアーやトークイベント、ワークショップなどが開催される予定だ。

6名のファイナリスト

 ファイナリストの詳細は以下。

大塚珠生《Connected Bodies》(2026)

 大塚珠生は2001年生まれ、東京都在住。彫刻とダンスを軸に、「境界」をテーマに彫刻、インスタレーション、パフォーマンス作品を制作している。本展で発表する《Connected Bodies》は、2人の人間が貝をモチーフにしたオブジェを身に纏い「彫刻になる」パフォーマンス作品。彫刻家カミーユ・クローデルの作品にもとづくポーズの引用・再演を通じ、生きた身体と死んだ彫刻を重ね「つくる/つくられる」の境界を曖昧にすることを試みる。

齊藤美帆《通気孔より》(2026)

 齊藤美帆は2001年神奈川生まれ、東京都在住。日常のなかで見過ごしてしまうものをモチーフとした立体作品を制作することで、「日々見てきたものの正体」を再考することを試みている。本展では、遺跡のように静かに置かれた、特定のメッセージを持たない彫刻作品《通気孔より》を展示。あえて明確な意味を持たせないことで、背景にある営みの気配に思いを馳せる余白を生み出し、立場や種別を超えて人々がただともにいるためだけの共有地をつくり出す。

さとうくみ子《「耳ほり」のおはなし》(2026)

 さとうくみ子は岐阜県生まれ、東京都在住。段ボールなどの身の回りにあるものを使って制作を行うさとうは、「耳ほり(耳かき)」の心地よさや妄想のワクワク感を起点にしたインスタレーション《「耳ほり」のおはなし》を発表する。ドローイング、立体物、映像と複数のメディアを用いることで生じる小さなズレから、新たな物語を立ち上がらせる。

鈴木一生《道具と使い方 2026-抜里編-》(2026)

 鈴木一生は2004年富山県生まれ。「私たちはどこから来て、どこへ向かうのか」をテーマに掲げ、土地や風土のフィールドワークを通して表現活動を行っている。用途を定めずにつくった道具を地域住民に手渡し、使い方を考えてもらう参加型プロジェクトを展開する鈴木は、《道具と使い方 2026-抜里編-》で、静岡県島田市抜里を舞台に、風土や人々の記憶・語りと道具が結びつくことで、それが新たな意味を持ち始める瞬間を展示する。

竹内佐実《立つ人》(2026)

 竹内佐実は2001年東京生まれ。小学生になる前に父の母国であるトルコ・イスタンブールへ移住したのち、日本とトルコを行き来していた経験から、「人」や「場」に関心を持ち、立体や写真という表現方法で創作活動を続けている。今回発表する《立つ人》では、自身が幼い頃から見てきたムスリムが礼拝をする立ち姿をもとに制作した彫刻と写真作品を展示。一度海岸に置かれ風雨により表情を変えた鉄の彫刻たちが、会場内で聖地メッカの方角を向いて横一列に並べられる。

Moche Le Cendrillon《輝く鱗の肌でもいい》(2026)

 Moche Le Cendrillonは愛知県生まれ。セクシュアリティや身体、性愛の規範にかんするメディアアート作品の制作と並行して、ドラァグ・パフォーマーとして東京を中心に活動。クィア・フェミニズムの視点から美術の場をセーファースペースとして考えるアーティストコレクティブ「ケルベロス・セオリー」のメンバーでもあり、領域を横断した活動を行う。今回発表する《輝く鱗の肌でもいい》は、Aro/Ace(他者に性的/恋愛的に惹かれないセクシュアリティのスペクトラム)と装いをテーマにした映像インスタレーション。Aro/Aceの象徴とされる「ドラゴン」をモチーフとし、人ならざるものへの共鳴とモンスターが持つ規範への抵抗のイメージをリップシンクで描き出す。