第37回世界文化賞、ジェニー・ホルツァー、アンディ・ゴールズワージーらが受賞
世界の優れた芸術家に贈られる「高松宮殿下記念世界文化賞」。その第37回受賞者が発表された。

1988年に設立され、世界の優れた芸術家に贈られる「高松宮殿下記念世界文化賞」。その第37回受賞者が発表された。
同賞は、1887年に設立された公益財団法人日本美術協会の設立100年を記念し、前総裁・高松宮宣仁親王(1905〜1987)の「世界の文化芸術の普及向上に広く寄与したい」という遺志を継いで創設されたもの。毎年、世界の芸術家を対象に絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像の5部門において受賞者が選ばれ、それぞれに感謝状、メダル、賞金1500万円が贈られる。
これまで高松宮殿下記念世界文化賞では35ヶ国180名の受賞者が選ばれており、オラファー・エリアソン、アイ・ウェイウェイ、妹島和世+西沢立衛/SANAA、ウィレム・デ・クーニング、デイヴィッド・ホックニー、李禹煥、草間彌生、杉本博司、三宅一生、アントニー・ゴームリー、ジェームズ・タレルなどが名を連ねている。昨年は、ピーター・ドイグ、マリーナ・アブラモヴィッチら5名が選出された。
第37回となる今年は、ジェニー・ホルツァー(絵画部門/アメリカ)、アンディ・ゴールズワージー(彫刻部門/イギリス)、ダニエル・リベスキンド(建築部門/アメリカ)、ヘルベルト・ブロムシュテット(音楽部門/スウェーデン)、ケイト・ブランシェット(演劇・映像部門/オーストラリア)の5名が受賞。さらに、今年で第29回となる若手芸術家奨励制度の対象団体も同時に発表され、ラ・スルス・ガルースト協会(フランス)が選ばれた。
絵画部門
絵画部門を受賞したジェニー・ホルツァーは1950年アメリカ生まれ。米国の現代アートシーンを代表するコンセプチュアル・アーティストのひとりであり、電光掲示板やLED、ビルボードなどを媒体としたテキストを用いた作品で知られている。1990年にはヴェネチア・ビエンナーレでアメリカ代表として女性で初めて個展を開催。最高賞である金獅子賞を受賞している。2016年にフランス芸術文化勲章オフィシエ受章。24年には米タイム誌で「世界で最も影響力のある100人」にも選出された。

初期の代表作には、東西の重要な思想が記された膨大な書籍の要点を短文にする過程で誕生した《Truisms(自明の理)》(1977〜79)がある。2001年には自身でテキストを書くことをやめ、詩人や政治家などの他者のフレーズを使用。05年以降は「レダクション・ペインティングス」シリーズを手がけるほか、18年のフロリダ州の高校で銃乱射事件が起こった際には、銃暴力反対をメッセージで訴えるLEDトラックを走らせた。近年は、「ユートピア的でありながら陶酔的であるにはどうすればよいか」という問いかけに、AIが言葉でどのように回答するかを探る試みも行っている。


彫刻部門
彫刻部門に選ばれたアンディ・ゴールズワージーは1956年イギリス出身。自然から得た素材を用いて、作品が置かれる場のもつ特性を活かして制作する「ランド・アート」の第一人者だ。少年期から青年期にかけてヨークシャーで過ごし、美術学校に学ぶ。同地の農場で働いた経験が、のちの政策の基盤になった。野外インスタレーションを主な表現の場としながら、スコットランド国立美術館やメトロポリタン美術館など各国の主要な美術館でも作品を展示。2000年には大英帝国勲章(OBE)を受章した。

世界各地で採集した自然物や気象条件そして自身の身体を制作に活用し、残された作品は写真に収めたあと、自然とともに朽ちるのを任せるというのがゴールズワージーのスタイルだ。
1987年には初来日し、三重県の大内山村(現・大紀町)で滞在制作を実施。その活動は「アンディ・ゴールズワージー展:ふたつの秋」(1993〜94、栃木県立美術館・世田谷美術館)に結実した。モニュメンタルなプロジェクトも手がけており、《ストーム・キング・ウォール》(ストーム・キング・アートセンター、ニューヨーク、1997〜98)はその代表作と言える。

































