予算目標は1億円。日本館設立70周年、2026年ヴェネチア・ビエンナーレへ向けた大規模支援活動が始動
ヴェネチア・ビエンナーレ2026に向け、日本館が大規模なファンドレイジングを実施することを発表した。

世界子供の日にあたる11月20日、国際文化会館にて「日本館設立70周年記念 ファンドレイジング・イベント 2026年ヴェネチア・ビエンナーレ日本館を応援する会」が開催された。
会場には、第61回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家の荒川ナッシュ医、共同キュレーターの高橋瑞木・堀川理沙らプロジェクトメンバーが登壇し、日本館の最新計画とファンドレイジングの必要性について説明が行われた。
日本館を主催する国際交流基金は、「作家の創造性を最大限尊重し、その実現に最善を尽くす」という方針のもと展示制作を進めている。しかし、世界的なインフレの長期化や急速な円安、ヴェネチアで高騰する宿泊費や輸送費、国際情勢の不安定化などの影響により、制作環境は年々厳しさを増している。
現在、日本館に割り当てられる展覧会制作の基本予算は2500万円だが、この金額では現地で競い合う他国の展示規模には及ばず、十分な制作環境の確保は難しいという。
ファンドレイジング・マネージャーの五十嵐三慧は、各国の予算規模の違いについて「アメリカ館は約8億円、ドイツ館は約2億円、韓国館も3300万円規模。交流イベントやレセプションを含め、国の威信をかけた大規模展示が行われます。いっぽう、日本館は限られた予算のなかで運営しており、現状のままでは十分な国際発信が難しいのです」と現状を語った。
荒川ナッシュ医は、日本と欧米の展示規模に差が生じる背景について、寄付文化の違いを指摘する。「日本館の展示費は2500万円ですが、運営費を含めると総額は5000万円規模になります。国からの支援は決して少なくありません。しかしアメリカやドイツでは、個人や財団からの寄付が桁違いに多い。日本ではまだ、ビエンナーレに寄付をする文化が十分に根付いていないことが大きな要因です。そもそもビエンナーレ自体の社会的認知が低いという課題もあります」。