2026.7.21

横浜市歴史博物館で企画展「横浜絵の深層-ジャンルか、イメージか、それとも輸出美術か」が開催へ

神奈川県横浜市の横浜市歴史博物館で、企画展「横浜絵の深層-ジャンルか、イメージか、それとも輸出美術か」が開催される。会期は9月5日~10月18日。

笠木治郎吉《蝉をとる子どもたち》(明治時代後期)紙に水彩 個人
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 神奈川県横浜市の横浜市歴史博物館で、企画展「横浜絵の深層-ジャンルか、イメージか、それとも輸出美術か」が開催される。会期は9月5日~10月18日。

「横浜絵」を軸に造形表現の展開を見渡す

 開港以来、横浜は海外との窓口として、文化・技術・思想人が行き交う都市として発展してきた。そこで生まれた表現には、油彩画、水彩画、横浜浮世絵、漆器、陶磁器、写真、そして「横浜絵」と呼ばれる絵画などがある。これらは国内にとどまらず、外国人向けの土産物や輸出美術として広く親しまれた。

初代五姓田芳柳《西洋老婦人像》(慶應年間〜明治初頭)絹本に水彩 神奈川県立歴史博物館

 本展は、この地で開花した造形表現を「横浜絵」というキーワード軸に読み解く試みだ。幕末から明治初期、西洋絵画技法に刺激されて誕生した「横浜絵」の中心には、初代五姓田芳柳(1827〜92)をはじめとする五姓田派の画家たちが存在した。やがてその表現技法は周辺の画家たちへと波及し、主題、作風、技術が徐々に多様化。水彩画の隆盛や輸出工芸の下絵制作へと展開していくこととなる。

 会場では、こうした「横浜絵」の展開と、そこで活動した知られざる作家や作品にもスポットを当てる。また、近年注目を集める横浜の画家・笠木治郎吉の軌跡もあわせてたどるという。

作者不詳《川辺の村》(明治時代後期)紙に水彩 ギャラリーなかむら

画家・笠木治郎吉の画業にも注目

 本展の見どころは大きく3つに集約される。1つ目は「横浜絵とはなにか」を出発点に、初代五姓田芳柳をはじめとする五姓田派の面々、そして芳柳の息子である義松の活動を作品とともに紐解く点だ。

五姓田派《「仇討ち図」碁太平記白石噺より》(明治時代初期頃)麻布に着色 星野画廊

 2つ目として、時代の移ろいとともに変化を遂げた「横浜絵」の様相を捉える。肖像画や風俗画に加え、明治20年代中頃からは、国内での水彩画ブームや来日外国人の増加を背景に、日本の風景・風俗を情緒的に描いた水彩画が「横浜絵」の主力へとなっていった。ここではそれらを象徴する作品のほか、「横浜絵」に関わった幻の画家・笠木治郎吉の初出品作品も多数並ぶ。

笠木治郎吉《子守をする姉弟》(明治時代後期)紙に水彩 かさぎ画廊(横浜市歴史博物館寄託)
作者不詳(Y. Ito)《紅葉の渓谷》(明治時代後期)紙に水彩 星野画廊

 3つ目は、より広い意味での「横浜絵」の潮流として、外国人好みの日本画や輸出用工芸品の下絵などにみられる表現の広がりを紹介する。

 なお、会期中には関連イベントとして学芸員による特別講座やギャラリートークも実施される予定だ。

初代宮川香山《高浮彫長命茸採取花瓶》(明治時代前期) 田邊哲人コレクション(神奈川県立歴史博物館寄託)
渡辺幽香《長命茸採取 下絵》(1887頃)紙に鉛筆 神奈川県立歴史博物館