2026.2.25

「NHK日曜美術館50年展」が東京藝術大学大学美術館で開催へ。120点を超える名品でたどる「美の半世紀」に注目

東京藝術大学大学美術館で、「NHK日曜美術館50年展」が開催される。会期は3月28日~6月21日。

「NHK日曜美術館50年展」キービジュアル
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 東京・上野にある東京藝術大学大学美術館で、「NHK日曜美術館50年展」が開催される。会期は3月28日~6月21日。

 NHK「日曜美術館」は、1976年の放送開始以来、今日まで2500回を超える長寿番組だ。本展は、同番組の50年の歴史のなかで取り上げてきた120点を超える名品を全5章構成で紹介するもの。数多の“美”の魅力を、展覧会というかたちで提示する。

 1976年4月、日曜美術館は「私と○○」という企画で放送を開始。各界の第一線で活躍するゲストが、敬愛する美術家や作品への思いを語り、美の本質や創作の背景に迫る内容だった。これを踏まえた第1章「語り継ぐ美 〜時を超えて美を語る言葉・語らせる作品」では、大江健三郎が語るフランシス・ベーコン、舟越保武が伝える松本竣介などを取り上げ、ゲストの言葉とともに、古今東西の美術家と作品を紹介する。

オーギュスト・ロダン 考える人 1880 静岡県立美術館蔵
ポール・セザンヌ 水浴 1883-87 公益財団法人大原芸術財団 大原美術館蔵

  第2章「日本美の再発見 古代から明治まで」では、1950年代の岡本太郎による縄文の美の再発見、70年代の辻惟雄による江戸絵画の再評価、さらにその後、現代のアーティストが琳派や浮世絵を再解釈したことなどに注目。日本美術の新たな魅力を見出すきっかけとなった事例を紹介する。

 また、こうした動向を踏まえ、本展では村上隆、大野一雄、井浦新らの言葉とともに、縄文土器・土偶、伊藤若冲、曾我蕭白、葛飾北斎など、日本美術の名品を取り上げる。

縄文土器 深鉢 火焔型土器 新潟県長岡市 岩野原遺跡出土 縄文時代(中期) 國學院大學博物館蔵
重要文化財 伊藤若冲 蓮池図 江戸時代・天明9年(1789) 大阪・西福寺蔵 後期展示:5月12日〜6月21日

 日曜美術館では放送開始から50年にわたり、日本の工芸を取り上げ続けてきた。第3章「工芸 伝統と革新」では、正倉院宝物(模造)、松田権六、室瀬和美、森口華弘・邦彦、安藤緑山、塩見亮介らの名品を紹介。自然と深く結びつきながら、職人たちの手によって脈々と受け継がれてきた日本工芸の様相と、その多彩な表現や新たな表現を探る若手作家たちに光を当てる。

室瀬和美 蒔絵飾箱 麦穂 1985 個人蔵
安藤緑山 竹の子に梅 牙彫置物 1912–40 京都国立近代美術館蔵 撮影=木村羊一

 第4章「災いと美」では、香月泰男、靉光、野見山暁治、石内都らの作品を取り上げながら、災いと向き合うために美が果たしてきた役割とその力についてあらためて考える。コロナ禍では、同番組の継続が危ぶまれた。全国の美術館で休館が相次ぎ、番組制作も困難を極めたが、「美を届けることを止めない」という信念のもと、過去の映像を活用し、ステイホームを余儀なくされた人々に美の魅力を発信し続けた。なかでも「疫病をこえて 人は何を描いてきたか」といったテーマは、時事的関心の高まりもあり、大きな反響を呼んだという。

 また、本章ではパブロ・ピカソの傑作《ゲルニカ》も、原寸大高精細映像で展示される予定だ。

作者不明 肥後国海中の怪 1846 京都大学附属図書館蔵 前期展示:3月28日〜5月10日

 本展の最終章となる第5章「作家の生き様と美 ~アトリエ&創作の現場」では、作家のアトリエを、歓喜や苦悩、葛藤、孤独といった様々な感情が交錯する「美の舞台裏」と捉え、スポットを当てる。日曜美術館が1980年代から継続的に取材してきた「アトリエ訪問」シリーズより、岡本太郎、柚木沙弥郎、志村ふくみ、加山又造、李禹煥、舟越桂、諏訪敦、山口晃らのアトリエ取材映像をピックアップ。制作の過程で作家が語る言葉に耳を傾けながら、創造という行為の本質に迫る機会となりそうだ。

岡本太郎 遭遇 1981 川崎市岡本太郎美術館蔵
柚木沙弥郎 いのちの樹 2018 松本市美術館蔵

 なお、本展はその後、静岡県立美術館(2026年7~9月予定)、大阪中之島美術館(2026年10月10日~12月20日)へ巡回。また、音声ガイドナビゲーターは、同番組で司会を務めた俳優の檀ふみと井浦新が担当する。