2025.9.5

今週末に見たい展覧会ベスト10。国立新美術館の「時代のプリズム」から、みんぱくの「舟と人類」まで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010」展示風景より、3章「コミュニティの持つ未来」 撮影=編集部
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もうすぐ閉幕

「ルノワール×セザンヌ ―モダンを拓いた2人の巨匠」(三菱一号館美術館

展示風景より 撮影=編集部

 日本でも人気の高い2人の画家、ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841〜1919)とポール・セザンヌ(1839〜1906)。その2人をテーマにした世界巡回展「ルノワール×セザンヌ ―モダンを拓いた2人の巨匠」が、東京・丸の内の三菱一号館美術館で9月7日まで開催されている。

 本展はオランジュリー美術館が初めて、「ルノワールとセザンヌ」に焦点を当てて構成した展覧会で、イタリア・ミラノ、スイス・マルティニ、香港を経て、日本唯一の会場である三菱一号館美術館に巡回。ルノワールの代表作《ピアノを弾く少女たち》やセザンヌの代表作《画家の息子の肖像》をはじめ、肖像画、静物画、風景画、そして、両者から影響を受けたピカソなどを含む約50点が来日している。会場レポートはこちら

会期:2025年5月29日~9月7日
会場:三菱一号館美術館
住所:東京都千代田区丸の内2-6-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(9月1日~7日は~20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 2500円 / 大学生 1500円 / 高校生 1300円 / 小学・中学生 無料

「『銀河鉄道999』50周年プロジェクト 松本零士展 創作の旅路」(東京シティビュー)

展示風景より 撮影=編集部 クレジット=©松本零士/零時社

 六本木ヒルズ森タワー52階にある東京シティビューで、『銀河鉄道999』『宇宙海賊キャプテンハーロック』といった数々の名作の生みの親・松本零士(1938〜2023)の没後初となる大型展覧会「『銀河鉄道999』50周年プロジェクト 松本零士展 創作の旅路」が開催中だ。会期は9月7日まで。

 本展は、タイトルにもあるように『銀河鉄道999』の誕生50周年を記念し開催されるもの。会場は松本の創作の旅路をたどる3つのゾーンで構成されており、デビュー前の作品から代表作の数々に至る300点以上の直筆原画をはじめ、初公開となる貴重な資料が一堂に展示されている。会場レポートはこちら

会期:2025年6月20日~9月7日
会場:東京シティビュー
住所:東京都港区六本木 6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階 
開館時間:10:00~21:00 ※最終入館は20:00まで
休館日:施設に準ずる 
料金:[オンラインチケット]一般 2200円 / 高校・大学生 1600円 / 4歳~中学生 1000円 / 65歳以上 1900円[当日窓口チケット]一般 2400円 / 高校・大学生 1700円 / 4歳~中学生 1100円 / 65歳以上 2100円
※いずれも日時指定制

「美術の遊びとこころⅨ 花と鳥」(三井記念美術館

展示風景より、《青磁牡丹文不遊環耳付花入》(南宋・元時代)

 東京・日本橋の三井記念美術館で開催中の「美術の遊びとこころⅨ 花と鳥」が9月7日に閉幕する。

 本展は日本、東洋の古美術に親しむことを目的として企画された展覧会「美術の遊びとこころ」シリーズの第9弾。テーマを「花」「鳥」として、絵画、茶道具、工芸品に登場する花と鳥を観察することができる。会場レポートはこちら

会期:2025年7月1日~9月7日
会場:三井記念美術館
住所:東京都中央区日本橋室町2-1-1 三井本館7階
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館30分前まで
休館日:月
料金:一般 1200円 / 70歳以上(要証明)1000円 / 大学・高校生 700円 / 中学生以下無料

「20世紀北欧デザインの巨匠 スティグ・リンドベリ展」(日本橋髙島屋S.C. 本館8階ホール)

展示風景より

 ⽇本橋髙島屋S.C. 本館の8階ホールで開催中の「20世紀北欧デザインの巨匠 スティグ・リンドベリ展」が9月7日までの会期となっている。

 スティグ・リンドベリ(1916〜82)は、スウェーデンの陶芸家・デザイナー。1937年に磁器メーカー、グスタフスベリ社にデザイナーとして入社し、機能性とは何か、また調和や美とは何かを追求し、独創的なアイデアを活かして新しい表現⽅法に挑戦してきた。リンドベリが生み出したデザインは、没後40年以上を経たいまでも、同社を代表する商品として⼈気を集めている。本展はこのリンドベリの仕事を10章構成で包括的に紹介するものだ。会場レポートはこちら

会期:2025年8月21日~9月7日
会場:⽇本橋髙島屋S.C. 本館8階ホール
住所:東京都中央区日本橋2-4-1 
開館時間:10:30~19:00(閉場は〜19:30) ※9月7日は〜17:30(閉場は〜18:00)
休館日:会期中無休 
料金:一般 1200円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下 無料

「時をかける名刀」(徳川美術館

「第二部 刀剣」展示風景より、長船長義《刀 銘 本作長義》 重要文化財 撮影=編集部

 名古屋にある徳川美術館で、同館が所蔵する日本刀コレクションを公開する夏季特別展「時をかける名刀」が9月7日まで開催されている。

 徳川美術館は尾張徳川家伝来の日本刀を約700振所蔵しており、美術館が所蔵する刀剣数としては最大を誇る。うち、国宝10振、重要文化財19振、重要美術品23振、名物刀剣(固有名称を付けられた刀剣)23振が含まれている。

 本展は、徳川美術館と蓬左文庫の開館90周年を記念して開催される特別展であり、同館が所蔵する刀剣・刀装を中心に、その作品の持つ物語に注目しながら紹介するものとなっている。会場レポートはこちら

会期:[前期]6月14日~7月27日 /[後期]7月29日~9月7日
会場:徳川美術館
住所:名古屋市東区徳川町1017
電話番号:052-935-6262
開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで 
休館日:月
料金:一般 1600円 / 大学・高校生 800円 / 小中学生 500円 

「究極の国宝 大鎧展─日本の工芸技術の粋を集めた甲冑の美の世界─」(春日大社)

展示風景より、左:春日大社所 国宝 赤糸威大鎧(竹虎雀飾)【通期展示】、右:櫛引八幡宮所蔵国宝 赤糸威鎧(菊一文字の鎧兜)【通期展示】

 奈良にある世界遺産・春日大社の国宝殿で開催されている特別展「究極の国宝 大鎧展─日本の工芸技術の粋を集めた甲冑の美の世界─」も9月7日までとなっている。

 本展は、国宝指定された甲冑類18点中9点が一堂に会するという異例の展示。なかでも、豪華な飾金物をあしらい、「国宝大鎧の双璧」として知られている二領の大鎧が史上初めて並列展示されるという、大変貴重な機会となっている。会場レポートはこちら

会期:2025年7月5日~9月7日
会場:春日大社国宝殿
住所:奈良県奈良市春日野町160
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで 
休館日:なし
料金:一般 1500円 / 大学・高校生 1200円 / 中学・小学生 500円

「草間彌生 版画の世界―反復と増殖―」(京都市京セラ美術館

第3章「愛すべき南瓜たち」の展示風景より © YAYOI KUSAMA

 京都市京セラ美術館にて、「松本市美術館所蔵 草間彌生 版画の世界―反復と増殖―」展が開催中だ。会期は9月7日まで。

 京都で草間彌生の個展が開催されるのは、2005年の京都国立近代美術館以来、約20年ぶりであり、また京都市京セラ美術館(旧・京都市美術館)においては、90年以上にわたるその歴史のなかで初の個展開催となる。

 本展は、世界最大級の草間コレクションを誇る松本市美術館が所蔵する版画作品に、作家蔵の作品を加えた約330点を、前後期に分けて紹介するものである。草間が長年にわたり手がけてきた版画芸術の全貌が展観される機会となっている。会場レポートはこちら

会期:2025年4月25日~9月7日
会場:京都市京セラ美術館
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124
電話番号:075-771-4334
開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 2200円 / 大学・高校生 1400円 / 中・小学生 600円

今週開幕

「『白樺』 日本における西洋美術の導入と広がり」(茅ヶ崎市美術館

岸田劉生『白樺 十週年記念号』第10年4月号表紙 1919 紙に木版多色 茅ヶ崎市美術館蔵

 武者小路実篤や志賀直哉ら学習院同窓を中心に、1910年から23年まで刊行された雑誌『白樺』。その展覧会「『白樺』 日本における西洋美術の導入と広がり」がスタートした。

 明治から大正にかけての日本は西洋から多様な文化や価値観・思想が流入し、印刷技術も飛躍的な発展を遂げた時代であり、多彩な雑誌が次々と生まれた。そのなかで『白樺』は、実篤や直哉ら自身の小説や批評を発表する場であると同時に、レンブラント・ファン・レインジョルジュ・ルオーといった西洋の画家や作品を図版や評論を通して紹介。その芸術表現の背景にある精神性にも焦点を当てた点が大きな特徴だ。

 本展は、小説家でありながら美術へも強い関心を抱き自身も絵筆を取っていた実篤と、『白樺』の表紙を多く手がけた岸田劉生にそれぞれ焦点を当て、近代日本における西洋美術受容の一側面を探るものとなっている。

会期:2025年9月2日〜11月9日
会場:茅ヶ崎市美術館
住所:神奈川県茅ヶ崎市東海岸北1-4-45
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は16:30まで 
休館日:月(9月15日、10月13日、11月3日は開館)、9月16日、10月14日、11月4日
料金:一般 800円 / 大学生 600円 / 市内在住65歳以上 400円

「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010」(国立新美術館

展示風景より、椿昇《エステティック・ポリューション》(1990) 撮影=編集部

 東京・六本木の国立新美術館で「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010」が開催中だ。

 昭和が終わり、平成の始まった1989年から2010年は、冷戦体制が終わり、人、ものが行き来するグローバル化の始まりによって、国際的な対話が大いに促進された時期と言える。本展は、国立新美術館はアジア地域におけるパートナー美術館、香港のM+との協働キュレーションにより、この変化に富んだ時代を見つめ直すことを試みるものとなっている。会場レポートはこちら

会期:2025年9月3日〜12月8日
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル) 
開館時間:10:00〜18:00(金土~20:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:火(ただし、9月23日は開館)、9月24日 
料金:一般 2000円 / 大学生 1000円 / 高校生 500円 / 中学生以下 無料

特別展「舟と人類―アジア・オセアニアの海の暮らし」(国立民族学博物館

展示風景より 撮影=編集部

 大阪・吹田にある国立民族学博物館で、特別展「舟と人類―アジア・オセアニアの海の暮らし」がスタートした。会期は12月9日まで。

 人類史において舟やカヌーの出現とその本格的な利用は、私たちホモ・サピエンス以降だと言われている。本展では、人類史的な視点もふまえつつ、同館が所蔵してきたアジアやオセアニアの海域世界における多様な舟を紹介。さらに、人々が舟を使ってどのように暮らしてきたのかにも注目し、舟の建造、推進、漁撈や交易における利用、そしてあの世とこの世を行き来する精神世界における舟の役割についても考察している。会場レポートはこちら

会期:2025年9月4日〜12月9日
会場:国立民族学博物館 特別展示館
住所:大阪府吹田市千里万博公園10-1
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は16:30まで
休館日:水、年末年始
料金:一般 1200円 / 大学生 600円 / 高校生以下無料