EXHIBITIONS

杉本克哉「砂あそび、言葉あそび」

ART AND SPACE GALLERY
2025.08.29 - 09.20
 杉本克哉の個展「砂あそび、言葉あそび」が大阪・天神橋の「ART AND SPACE GALLERY」で開催される。

 杉本は1984年栃木県生まれ。2011年東京藝術大学大学院美術研究科芸術学専攻修了。初期の作品では、自身の持つ信仰心や宗教観を寓意的に表現してきたが、近年では制作過程に他者性を介在させながら、リアルなモチーフを絵画という虚構に変換させる手法を用いている。

 本展示は他者との協働も含めた「YOU ARE GOD」と「像から像」の2つのシリーズで構成されている。「YOU ARE GOD」は箱庭療法を引用しながら、まずは対象者に箱の中で砂を敷き、様々なオモチャを使って遊んでもらうことから作品制作が始まる。対象者が創り出す世界の物語を共有しながら、それらを僕自身が絵画に転換する。今までは子どもを対象者としてきたが、今回は保育士、元教師、医師、研究者、証券会社員、テレビディレクター、アイドル、ホームレスなど、これまでに出会った様々な肩書きの成人を対象者とした。私たちがどのように世界を認識し、物語を紡ぐのか、それぞれが創った世界に光を当て、絵画作品に翻訳する。

「像から像」はワークショップや日常的なあそびで子供や友人などと「絵しりとり」を行い、絵画作品にした新シリーズ。しりとりというシンプルな言語あそびではあるが、個々の言葉が繋がり、発展する過程は無限の可能性を秘めている。しりとりを絵画化するという特性上、ビジュアルとして表現できる単語のみで構成されていることが特徴で、さらに「死」にまつわる単語で終わるというルールを課している。複数の人と概念がリレーションされていくため、方向性を定めることも難しく、ループしたり派生したりと、コンポジションを含めアンコントローラブルな要素が多いのも、人と人が遊びの中でコミュニケーションしていく様を擬似模倣しているようである。

 日常の中に潜む遊びの中から意識を掘り下げ、表現と協働の過程を通じて新たな世界を創造する試みとなる。たんなる遊戯に留まらず、自己と他者、言葉と物、現実と虚構といった関係性を紡ぎ出す行為を思考する。