「テンジシツプロジェクト展 見えないところでも、いつも何かは起こっている」開幕レポート。私たちは世界の何を見落としているのか
東京・調布市文化会館たづくりで「テンジシツプロジェクト展 見えないところでも、いつも何かは起こっている」が開幕した。会期は2027年1月24日まで。2024年に始動した「テンジシツプロジェクト」の3年間の活動の集大成となる本展には、Aokid、飯川雄大、井口美尚、タツルハタヤマの4作家が参加している。

東京・調布市文化会館たづくりで「テンジシツプロジェクト展 見えないところでも、いつも何かは起こっている」が10月15日に開幕した。会期は2027年1月24日まで。本展は、2024年に始動した「テンジシツプロジェクト」の3年間の活動の集大成として開催されるもの。キュレーターを務めるのは、Art Center Ongoing/Art Center NEW代表の小川希。Aokid、飯川雄大、井口美尚、タツルハタヤマの4作家が参加し、自分自身の経験や認識の外側に広がる「見えないところ」に目を向ける作品を、展示室や調布の街なかで展開する。
「テンジシツプロジェクト」は、調布市文化会館たづくり1階の展示室を拠点に、2024年から活動を続けてきたアートプロジェクトだ。「知ることで、考えを転じ(テンジ)る」をテーマに、地域での情報収集やワークショップ、トークイベントなどを実施してきた。本展では、こうした活動の記録とともに、4作家による作品を紹介。会期中には市民との共同制作による作品も加わり、展示内容が変化していく。
内覧会で小川は、「インターネットやスマートフォンを通じて膨大な情報に接することのできる現代において、私たちは世界のすべてを理解しているかのように感じながら、実際には限られた範囲しか把握できていないのではないか」と語った。スマートフォンから目を離し、実際に起こっていることに目を向けてみるとき、自分には見えていない場所でも様々な出来事が同時に起こっていることを想像できるような展覧会を目指したという。
小川が今回声をかけたのは、それぞれ異なる方法で自身のリアリティを獲得し、表現してきた4人の作家たちだ。作品を通して、自分の想像できる範囲の外側にある世界の手触りに触れることが、本展のひとつの試みとなっている。
タツルハタヤマによる生と再生の循環
タツルハタヤマは、身近な植物や日常生活のなかで目にするものをモチーフとした作品を発表している。

今回の展示で着目したのは、近所のコンクリートの隙間などに生える雑草だ。春になると芽吹き、冬には枯れる植物の姿を、不死鳥のイメージと重ね合わせている。普段は見過ごしてしまうような雑草の生の循環を、作品のなかに取り込む試みだ。

また、たづくりのエントランスステージには、同様のコンセプトによる《発根(Rooting)》が展示されている。
ハタヤマは、自分がこれまで「見ないようにしてきたもの」や「見てはいけないもの」を作品のモチーフとして取り入れることを意識しているという。今回用いられている布や木版画も、かつて取り組みながら制作をやめていた表現方法だ。
会場には、一般参加者とのワークショップで制作された「私信キルト」も展示されている。個人的なメッセージを布によって表現し、それぞれの手仕事を通じて、他者の経験や思いに触れる機会をつくるものだ。
身体を通して街と出会う。Aokidのリサーチとパフォーマンス
ダンスやパフォーマンスを軸に活動するAokidは、調布の街でのリサーチにもとづくインスタレーション《ぬ、の、のしらべのみくらべ》(2026)を発表している。


Aokidはこれまで、身体を動かすことを通して、都市空間やそこに居合わせる人々との関係を探ってきた。本展では、調布という場所で得られた経験をもとに作品を制作。展示室での発表に加え、11月14日、15日には、トリエ京王調布C館北側の「てつみち」で滞在型の即興パフォーマンスを行う。
また、10月23日からは、Aokidを講師に迎えた連続ワークショップ「すぐ調布チーム×ダンスプロジェクト 布の調べ風ダンス」が実施される。参加者は「布の調べ」をテーマにパフォーマンス作品を制作し、11月14日、15日に「てつみち」で発表する予定だ。展示室で完結するのではなく、街を歩き、身体を動かし、他者とともに表現を生み出すAokidの活動は、展覧会の舞台を日常の空間へと広げていく。















