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2026.10.16

紅葉の名所と一緒に楽しめる2026年の美術展まとめ(東日本)

10月下旬から12月上旬にかけて全国的に紅葉の季節を迎える。本稿では、東日本における紅葉の名所とともに楽しめる美術館を10ヶ所、2026年秋の最新プログラムとともにセレクトした。※10月17日24時まで、すべての方に全文お読みいただけます。

MOA美術館 茶の庭 一白庵 写真提供:MOA美術館
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札幌芸術の森美術館(北海道)と札幌芸術の森野外美術館

 札幌市南部の丘陵地に広がる「札幌芸術の森」は、豊かな自然のなかでアートに親しめる複合文化施設だ。秋になると園内の木々が赤や黄色に色づき、散策をしながら紅葉を楽しめる。なかでも、約7.5ヘクタールの敷地に彫刻作品が点在する札幌芸術の森野外美術館では、季節によって表情を変える自然と彫刻の共演を堪能できる。

札幌芸術の森の紅葉と堀内正和《のどちんことはなのあな》(1965) 写真提供:札幌芸術の森美術館

 園内の札幌芸術の森美術館では、特別展「五大浮世絵師 歌麿に写楽、北斎と広重、そして国芳」(10月10日〜2027年1月11日)を開催。喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳という、江戸時代を代表する5人の浮世絵師の作品を通じて、多彩な浮世絵の世界を紹介する。

特別展「五大浮世絵師 歌麿に写楽、北斎と広重、そして国芳」のポスター

 また、同時期には所蔵品展「五十嵐威暢 アニマルイラストレーション」も開催される。グラフィックデザインから彫刻まで幅広く活動した五十嵐威暢の表現に触れた後は、色づく森のなかで野外彫刻を楽しみたい。なお、野外美術館は屋外施設のため、秋季の開園日程を事前に確認しておこう。

弘前れんが倉庫美術館(青森)と弘前公園

 青森県弘前市を代表する紅葉の名所といえば、弘前城を中心に広がる弘前公園だ。秋には園内のカエデやサクラが色づき、城郭や濠とともに鮮やかな風景をつくりだす。春の桜で知られる同公園だが、秋にはまた異なる魅力を見せる。ここから市街地を歩いて訪れたいのが、歴史ある煉瓦倉庫を改修して2020年に開館した弘前れんが倉庫美術館だ。

紅葉の時期に撮影された弘前れんが倉庫美術館の外観 写真提供:弘前れんが倉庫美術館

 同館では、現代社会の矛盾や歴史的な出来事を、緻密な描写と風刺を交えて表現してきた美術家・風間サチコの個展「風間サチコ展:方丈ルームの1000里眼」(6月5日〜11月15日)が開催されている。風間は木版画を中心に、近代化や戦争、開発などをめぐる問題を独自の視点から描き続けてきたアーティストだ。

「風間サチコ展:方丈ルームの1000里眼」展の展示風景より 写真提供:弘前れんが倉庫美術館

 かつて酒造工場として使われていた建物の記憶を残す美術館も、見どころのひとつ。歴史的な建築空間で現代美術に触れた後は、弘前公園の紅葉を眺めながら城下町を散策してみてはいかがだろう。

十和田市現代美術館(青森)と官庁街通り

 青森県十和田市の中心部を東西に延びる官庁街通りは、約1.1キロメートルにわたって桜や松の並木が続く、街を代表する散策スポットだ。「駒街道」の愛称でも親しまれ、秋には桜の葉が赤く色づき、通りを彩る。沿道には屋外彫刻やアート作品も点在しており、紅葉とともに街なかのアートを楽しめるのも魅力だ。

紅葉と十和田市現代美術館に常設展示中のエルヴィン・ヴルム《ファット・ハウス》《ファット・カー》(いずれも2010) 写真提供:十和田市現代美術館

 この通りに面する十和田市現代美術館では、現代美術家・椿昇の個展「フリーダムー像(ゾウ)と生きる」(〜11月8日)が開催中。巨大な生命体をモチーフに、環境破壊や格差拡大など現代社会が抱える問題を問い続けてきた椿。本展では、巨大なゾウのバルーン作品をはじめ、作家の思考を立体的に表現したインスタレーションなどを通じて、その40年以上にわたる創作活動を紹介する。

「フリーダムー像(ゾウ)と生きる」展の展示風景より、椿昇《the Elephant in the Room XL》(2026) 撮影:小山田邦哉 写真提供:十和田市現代美術館

 美術館の外庭には、椿が2008年に制作した真紅の巨大なロボットアリ《アッタ》も常設展示されている。鑑賞後は官庁街通りを歩きながら、秋の街並みと屋外アートを巡ってみたい。

福島県立美術館(福島)と信夫山

 福島市の中心部に位置する信夫山は、市街地を見渡せる展望スポットとして親しまれる、緑豊かな山だ。秋には山の斜面を覆う木々が赤や黄色に色づき、散策や紅葉狩りを楽しむ人々で賑わう。その南西側の麓にあるのが、1984年に開館した福島県立美術館。福島県立図書館とともに広大な敷地に建ち、周囲の自然と調和した落ち着いた環境も魅力のひとつだ。

秋の福島県立美術館の風景 写真提供:福島県立美術館

 同館では、企画展「Ukiyo-e 猫百科 ごろごろまるまるネコづくし」(10月10日〜12月6日)を開催。浮世絵に登場する猫たちを手がかりに、その生態や歴史、人間との関係を探る展覧会だ。愛らしい猫の姿を楽しむだけでなく、浮世絵という視覚文化を通じて、人々の暮らしと猫との深いつながりを読み解くことができる。

月岡芳年《風俗三十二相 うるささう 寛政年間処女之風俗》(1888)大判錦絵 個人蔵 写真提供:福島県立美術館

 展覧会を楽しんだ後は、信夫山へ足を延ばしてみてはいかがだろう。市街地に近い場所でありながら豊かな自然が残されており、秋の福島を感じる散策にもおすすめだ。

宇都宮美術館(栃木)とうつのみや文化の森

 宇都宮市の北部に広がる「うつのみや文化の森」は、約26ヘクタールの敷地を有する緑豊かな公園だ。芝生広場や雑木林、散策路などが整備され、秋には園内の木々が色づく。自然のなかでゆったりと過ごせるこの公園の一角に建つのが、宇都宮美術館。周囲の森と調和する建築も見どころで、紅葉を眺めながら美術鑑賞を楽しめるスポットとなっている。

紅葉の時期に撮影された宇都宮美術館の外観 © 宇都宮美術館

 同館では現在、「没後50年 髙島野十郎展」(9月20日〜12月6日)が開催されている。髙島野十郎(1890〜1975)は、福岡県久留米市に生まれ、独自の写実表現を追求した洋画家。とりわけ蝋燭や月を描いた作品で知られ、静謐な画面のなかに独特の光と存在感を表現してきた。没後50年を記念する本展では、その代表作を通じて画業を振り返る。

髙島野十郎《月》(1962) 福岡県立美術館蔵 写真提供:宇都宮美術館

 鑑賞後には、木々に囲まれた園内を散策するのもおすすめ。絵画に描かれた光の表現を堪能した後、秋の柔らかな日差しが差し込む森を歩けば、作品とはまた異なる自然の表情に出会えるだろう。

山梨県立美術館(山梨)と芸術の森公園

 山梨県甲府市にある「芸術の森公園」は、四季折々の自然と彫刻作品を楽しめる緑豊かな公園だ。約6ヘクタールの敷地には、日本庭園やバラ園、芝生広場などが広がり、秋にはイチョウやカエデなどの木々が色づく。園内にはロダンをはじめとする彫刻家の作品も設置されており、紅葉を眺めながら屋外アートを楽しめるのも魅力だ。この公園の一角に建つのが、ミレーの作品を収蔵することで知られる山梨県立美術館である。

紅葉と山梨県立美術館の外観 写真提供:山梨県立美術館

 同館では、「印象派の先駆者 ウジェーヌ・ブーダン展」(9月12日〜11月3日)を開催中。ウジェーヌ・ブーダン(1824〜1898)は、フランス・ノルマンディー地方の港町や海辺の風景を描き、若き日のクロード・モネにも影響を与えた画家だ。移ろう空や光、大気の表情をとらえた作品は、印象派の成立を考えるうえでも重要な位置を占めている。

「印象派の先駆者 ウジェーヌ・ブーダン展」の展示風景 写真提供:山梨県立美術館

 展覧会でブーダンの描いた自然の光に触れた後は、公園を散策しながら、秋の陽光に照らされた木々の色彩を楽しんでみてはいかがだろう。

長野県立美術館(長野)と城山公園・善光寺

 長野市の善光寺に隣接する城山公園は、明治時代に開設された市内有数の公園だ。秋には園内の木々が赤や黄色に色づき、善光寺の境内や周辺の街並みとともに、落ち着いた秋の風景をつくりだす。その一角に位置する長野県立美術館は、2021年にリニューアルオープンした美術館。善光寺周辺の景観と一体となるよう設計された建築も見どころで、屋上広場[風テラス]からは善光寺の本堂を望むことができる。

秋の長野県立美術館 本館の外観 写真提供:長野県立美術館

 同館では、企画展「カンディンスキー 世界は鳴りひびく ―日本のコレクションでたどる画業と反響―」(11月7日~12月27日)のほか、本館と東山魁夷館でそれぞれコレクション作品を年4期に分けて紹介する。本館では「NAMコレクション2026 第Ⅱ期」(8月21日〜11月17日)を開催。長野県ゆかりの作家をはじめとする所蔵作品を紹介するとともに、近年新たに収蔵された作品にも光を当てる。今回は、現代美術家の梅津庸一や中ザワヒデキの作品などが紹介される。

「NAMコレクション2026 第Ⅱ期」の展示風景 写真提供:長野県立美術館

 また、併設する東山魁夷館では「東山魁夷館コレクション2026 第Ⅲ期」(10月29日〜2027年1月26日)を開催。自然の風景を独自の色彩と静謐な画面で描いた東山魁夷の作品を鑑賞できる。美術館を訪れた後は、善光寺の参道や城山公園を歩きながら、信州の秋を満喫したい。

軽井沢千住博美術館(長野)とカラーリーフガーデン

 長野県軽井沢町にある軽井沢千住博美術館は、日本画家・千住博の作品を紹介する美術館だ。建築家の西沢立衛が設計した建物は、敷地の自然な傾斜を生かし、大きなガラス窓から光や緑を取り込む開放的な空間が特徴。美術館を取り囲む「カラーリーフガーデン」には、様々な色や形の葉を持つ植物が植えられており、秋には鮮やかな紅葉とともに、庭園全体が多彩な色彩に包まれる。

軽井沢千住博美術館の外観 写真提供:軽井沢千住博美術館

 同館では、「シンウォーターフォール 千住博が山水図で描く時空の記憶、未来と希望」(3月1日〜12月25日)が開催されている。千住の代表的なモチーフである滝をめぐる表現に焦点を当て、伝統的な山水画の世界と現代的な感性が交差する作品世界を紹介する展覧会だ。

千住博《ウォーターフォール・オン・カラーズ白糸の滝》(2026) 写真提供:軽井沢千住博美術館

 建物の内外がゆるやかにつながる展示空間も、同館ならではの魅力。千住が描く水や自然の表現を鑑賞しながら、窓の向こうに広がる秋の庭園にも目を向けてみたい。 

静岡県立美術館(静岡)と美術館プロムナード

 静岡市の日本平の麓に位置する静岡県立美術館は、緑豊かな丘陵地に建つ美術館だ。最寄りの県立美術館前駅から美術館へと続く「美術館プロムナード」は、木々に囲まれた散策路として親しまれており、秋には色づく葉を眺めながら美術館へ向かうことができる。館内にはロダンの彫刻作品を展示する「ロダン館」もあり、展覧会とあわせて楽しみたいスポットだ。

プロムナードの紅葉風景 写真提供:静岡県立美術館

 同館では、「ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界」(10月10日〜12月6日)が開催されている。河鍋暁斎(1831〜1889)は、幕末から明治にかけて活躍した絵師で、伝統的な日本画の技法を基盤としながら、風刺やユーモアに富んだ独創的な作品を数多く残した。本展では、イギリスのコレクター、イスラエル・ゴールドマンが収集した作品を通じて、暁斎の多彩な画業を紹介する。

 鑑賞後には、緑に包まれたプロムナードをゆっくり歩いてみてはいかがだろう。紅葉の時期には、静かな散策路が秋らしい彩りを見せる。

MOA美術館(静岡)と日本庭園「茶の庭」

 静岡県熱海市の高台に建つMOA美術館は、相模灘を望む眺望と豊かな自然に恵まれた美術館だ。広大な敷地には日本庭園「茶の庭」が設けられており、茶室や伝統的な建築が点在する。秋になると庭園のモミジなどが色づき、風情ある紅葉の景色が広がる。美術鑑賞とあわせて、日本庭園ならではの季節の移ろいを感じられるスポットだ。

MOA美術館 茶の庭 片桐門 写真提供:MOA美術館

 同館では、「伊豆の仏像 PART1」(10月23日〜2027年1月3日)を開催。伊豆地域に伝わる仏像に焦点を当て、その造形や信仰の歴史を紹介する展覧会だ。伊豆は古くから山岳信仰や仏教文化が根づいた地域であり、各地に伝わる仏像は、地域の歴史や人々の信仰を知るうえで貴重な手がかりとなる。

重要文化財《薬師如来坐像》(平安時代) 河津平安の仏像展示館 写真提供:MOA美術館

 展覧会を鑑賞した後は、庭園を散策しながら秋の景色を楽しみたい。紅葉と伝統建築が織りなす風景はもちろん、美術館から望む海の眺めも、熱海ならではの魅力だ。