2026.7.9

NIGO ®と片山正通率いるWonderwall®が再設計した新たなコンビニ。ファミリーマート初の旗艦店「FAMIMA PARK AZABUDAI」が麻布台に誕生

7月10日、東京・麻布台にファミリーマート初の旗艦店「FAMIMA PARK AZABUDAI」がオープン。クリエイティブディレクターのNIGO®と、片山正通率いるWonderwall®が協働するこれまでにないかたちのコンビニとは?

文=橋爪勇介(編集部)

FAMIMA PARK AZABUDAI外観 画像提供:株式会社ファミリーマート
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 コンビニエンスストアは日本の都市風景を象徴する建築のひとつだ。しかし、その多くは効率性や機能性を最優先に設計され、「目的地」というよりは「通過点」として存在してきた。7月10日に東京・麻布台にオープンする「FAMIMA PARK AZABUDAI」は、その前提を覆そうとするプロジェクトだ。

 ファミリーマートの創立45周年を機に始動した「Next FamilyMart Project」の象徴となる旗艦店であり、クリエイティブディレクターにファッションデザイナーのNIGO®、建築・インテリアデザインに片山正通率いるWonderwall®を起用。「わざわざ行きたくなるコンビニ」を掲げ、店舗そのものを新しい体験の場へとアップデートしている。

FAMIMA PARK AZABUDAIの前に立つNIGO® 画像提供:株式会社ファミリーマート

「便利」から「便利で楽しい」へ

 Wonderwall®が目指したのは、「便利」から「便利で楽しい」への転換だ。

 コンビニが50年以上にわたって培ってきた合理性や機能性を否定するのではなく、その上に「発見」や「選ぶ楽しさ」を重ねること。商品だけでなく、人の動きや街との関係性まで含めて設計し、買い物そのものを体験へと変換することを目指した。

 片山は今回のプロジェクトについて、「日本のコンビニエンスストアが培ってきた進化の歴史と合理性を受け止めながら、私たちはその先にある楽しさや豊かさを追求しました。便利だから立ち寄る場所ではなく、この場所に行きたいと思える魅力とユニークネスを徹底的に磨き上げています」とコメントしている。

片山正通 撮影:編集部

 その思想は、Wonderwall®が掲げた「8つのコンセプトデザインステートメント」にも表れている。「最初から最後まで楽しいコンビニ」「イートインじゃなくカフェ」「遭遇すると、ちょっと嬉しいコンビニ」など、機能ではなく体験を軸にした言葉が並び、コンビニをブランド空間として再定義しようとする姿勢が読み取れる。

麻布台の街並みに呼応する「屋上の森」

 建築でもっとも印象的なのは、屋上いっぱいに広がる植栽だ。緑豊かな麻布台の環境に呼応するように建物上部を森で覆い、その中央にはFAMIMAのシンボルを模した大型立体サインを配置。歩行者だけでなく、高層ビルから見下ろす視点まで意識し、都市景観の一部として機能する建築を目指した。

屋上の森 画像提供:株式会社ファミリーマート

 一般的なコンビニが看板によって存在を主張するのに対し、この店舗では「緑」が建築のファサードを形成する。低層建築を都市のランドスケープへ溶け込ませながら、新たなランドマークとしての存在感を獲得している。また、角を丸く落とした柔らかな外形も特徴的だ。均質な箱型店舗とは異なる表情を与え、街路との境界を緩やかにつないでいる。

 建築は店内だけで完結しない。店舗脇には、テイクアウト専用の「FAMIMA STAND」と、FAMIMAキャラクターをモチーフにしたベンチを備える「PARK」を整備。購入したコーヒーやフライド商品を屋外で楽しめる滞在空間とし、店舗を街へと開いている。

カーブを描く外観と大きな立体サイン 画像提供:株式会社ファミリーマート
手前から「PARK」と「FAMIMA STAND」 画像提供:株式会社ファミリーマート

 これは従来の「イートイン」ではなく、街路そのものを店舗体験へ取り込む試みだ。日常的な買い物に加え、散歩や待ち合わせ、休憩など、多様な過ごし方を受け止める公共性を備えたコンビニを提案している。

 店内の構成にも、Wonderwall®らしい演出が随所に見られる。

 入口には、この店舗のために特別に設えた中央什器を配置。店内へ足を踏み入れた瞬間からポップアップストアのような高揚感を演出し、FAMIMAならではの商品との偶然の出会いを生み出す。

 レジ周辺も精算スペースにとどまることなく、壁面やカウンターを売場として活用した「キオスクコーナー」とし、店内動線の終点まで「選ぶ楽しさ」が続く構成としている。

ポップアップコーナー 画像提供:株式会社ファミリーマート
キオスクコーナー 画像提供:株式会社ファミリーマート

 さらに、ファミリーマートのオリジナルブランド「コンビニエンスウェア」は独立したショップ・イン・ショップとして展開。コンビニでは初となる試着室も設置し、アパレルショップのような購買体験を実現した。

コンビニエンスウェアエリア 画像提供:株式会社ファミリーマート

 ガラスファサード沿いにはカウンター席を設け、購入した商品をその場で楽しめるカフェのような居場所も用意。街と店内を緩やかにつなぐ、新しい境界を生み出している。

「次のコンビニ」が目指すもの

 これまでコンビニ建築は、効率性や均質性こそが価値だった。いっぽう「FAMIMA PARK AZABUDAI」は、建築を通じて街との関係性や滞在体験、ブランドの世界観までデザインしようとする。NIGO®が構想した「次のコンビニ」を、Wonderwall®は空間というメディアによって具体化したと言えるだろう。

 今回の旗艦店で試みられた空間デザインや店舗体験の一部は、今後全国のファミリーマートへ展開される予定だ。

 NIGO®は今回のプロジェクトについて、次のようなコメントを寄せている。「『こんなコンビニがあったらいいのにな』という妄想から始まり、ファミリーマートのチームと約1年以上をかけてようやく形にすることができました。そして『Next FamilyMart Project』始動から1年以上を経て、やっと一つのカタチとして『FAMIMA PARK AZABUDAI』がオープンすることになりました。このNEXTコンビニで日本のカルチャーやライフスタイルを国内、そして世界中の皆さんに体験していただけたら嬉しいです」。

 「FAMIMA PARK AZABUDAI」は、コンビニという日本でもっとも身近な建築をカルチャーを発信する場へと更新するという実験的な一歩となりそうだ。

NIGO®が監修したユニフォームを着た八木莉可子と吉田鋼太郎 画像提供:株式会社ファミリーマート
FAMIMA PARK AZABUDAIの限定アイテムオリジナルTシャツ 2998円(税込) 画像提供:株式会社ファミリーマート
FAMIMA PARK AZABUDAIの限定アイテム クッション 各2300円(税込) 画像提供:株式会社ファミリーマート
FAMIMA PARK AZABUDAIの限定アイテム ドリンクボトル 4800円(税込) 画像提供:株式会社ファミリーマート