国立歴史民俗博物館の「近代」展示が33年ぶりに全面リニューアル。その見どころとは?
国立歴史民俗博物館の総合展示第5室「近代」が3月17日にリニューアルオープンした。会場の様子をレポートする。

千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館。その総合展示第5室「近代」が3月17日にリニューアルオープンした。1993年の旧展示の公開以来、じつに33年ぶりの大規模な刷新となる。
同館常設の総合展示は第1~6室まであり、日本の歴史や文化を時代やテーマごとに分類。民衆の生活史における諸問題を切り口として展示を行っているのが特徴だ。今回の第5室のリニューアルでは、「生活史」「環境史」「国際交流」を基調としつつ、多様性、ジェンダー、移動といった現代的な視点を導入。世界のなかの近代日本社会を、「〈国民〉の誕生」「近代化する人びとのくらしと仕事」「〈帝国〉日本の社会と人びと」という3つの主要テーマで構成し、社会構造の変容と人々の営みをより立体的に浮かび上がらせている。

とくに見どころと言えるのは、歴史的な事象を当時を生きた市井の人々の視点から捉え直している点だろう。大きな社会のうねりのなかで、個人の生活にどのような変化や課題が生じたのか。一人ひとりのライフプランが可視化されることで、来場者が当事者に近い目線で歴史を追体験し、考えを深めることができる工夫がなされている。

また、前述の3つのテーマを補完するかたちで、「アイヌにとっての近代」「琉球・沖縄からみた近代」「『水平』をめざして」という3つの重要な視点も導入。展示室全体では大枠の日本の近代史が提示されるが、そのなかでも独自の歴史と文化を育んできた人々がどのような経験をし、どのような戦いや苦難を強いられたのかを多角的に掘り下げている。
例えば「アイヌにとっての近代」では、アイヌ社会の連なりや広がりを踏まえつつ、近代国家の成立がその土地で生活を営んでいた人々に及ぼした影響を現在までたどる。「琉球・沖縄からみた近代」では、琉球王国から沖縄県への転換を経て、宮古・八重山・沖縄本島それぞれの暮らしがどのように変化したかを比較して展示。そして「『水平』をめざして」では、被差別部落の生活者らによって1922年に結成された全国水平社の歩みと、いまなお続く部落差別の現状に焦点を当てている。

さらに、今回のリニューアルにあわせ、隣接する第6室「現代」の冒頭セクション「戦争と平和」も刷新された。女性参政権をはじめとした選挙権拡大のための運動の歴史や、第二次世界大戦の敗戦によってもたらされた普通選挙法など、近代と現代における選挙制度と、その背景にある戦争、そしてその対義語である平和についての考え方の変化などに焦点を当てている。

なお、オープンにあわせて入館料も改定され、総合展示は一般900円(旧600円)、大学生500円(旧250円)となった。





