2026.3.4

国立美術館・博物館に重いノルマ。未達成なら閉館含めた再編も──国が突きつけた、第6期中期目標の衝撃

文化庁および文部科学省は、独立行政法人国立美術館と国立文化財機構(国立博物館等)が令和8年度(2026年度)からの5年間で達成すべき「第6期中期目標」を策定した。その中身とは?

文化庁

 文化庁および文部科学省は、所管する独立行政法人国立美術館と国立文化財機構が令和8年度(2026年度)からの5年間で達成すべき「第6期中期目標」を策定した。

 今回の目標は、従来の文化財保護の枠組みを超え、展示事業の自己収入比率を最終年度までに65パーセント以上に引き上げることや、未達成の館に対する閉館を含めた再編検討、さらには入館料の「二重価格」導入といった、極めて踏み込んだ経済施策が並ぶ。

将来的に自己収入100パーセント

 今回の第6期中期目標においてもっとも注目されるのは、財務構造のドラスティックな転換だ。

 2法人ともに、全体の展示事業に係る費用に対する自己収入額の割合は、中期目標期間の最終年度(2030年度)に65パーセント以上にすることが求められる。さらに、次期中期目標期間中には、法人全体で自己収入比率100パーセントを目指すという極めて高い目標が掲げられている。これまでの実績が、国立美術館が53パーセント(令和6年度)、国立文化財機構が54パーセント(令和3〜6年度)であることを鑑みると、大幅な収益構造の転換が求められることとなる。

 また「4割の壁」も設定された。中期目標期間の4年目において、自己収入額の割合が4割を下回っている場合、「社会的な役割を十分に果たせていないとみなされた館」とされ、閉館を含めた再編の対象となる。

訪日客には「二重価格」

 財務改善の具体策として、入館料制度の抜本的な見直しと集客戦略の強化も図られる。

 そのひとつが、二重価格の導入だ。 多様な鑑賞機会を持続的に確保する観点から、各館における入場料の引き上げとともに、日本居住者向けとインバウンド(非居住者)向けで異なる料金を設定する「二重価格」の導入が本期間中に実施される。

 また入館者数の拡大も大きな指標となる。将来的な目標として、国立美術館全体で1000万人、国立博物館全体で1200万人の入館者数達成を目指す。これは、メトロポリタン美術館(550万人)やオルセー美術館(375万人)など海外主要館の入館者数を視野に入れた設定だ。

 今回の中期目標では、少子高齢化・人口減少による税収減少を見据え、国立施設が自律的に「稼ぐ」組織へ変わることが強く求められていると言えるだろう。文化の公共性と経済的自立をいかに両立させるのか、各館の具体的な経営手腕が問われる5年間が始まる。