尾道に佇む小さな宿。街に優しいあかりを灯す「LOG」の魅力とは
広島・尾道の千光寺山中腹にあるアパートメントを改修した「LOG」。尾道の街を見渡すことのできる小さな宿の様子をレポートする。

坂道が多いことでも知られる広島県尾道市。そんな市内にある標高約140メートルの千光寺山の中腹に、小さな宿がある。「LOG」と名づけられたその宿は、昭和38年に先進的な山の手のアパートメントとして誕生した「新道アパート」が前身となっている。歴史や文化の面影が色濃く残る山の手に構えたアパートメントは、2018年12月に「LOG」という全6室の客室を備えた宿として生まれ変わった。
改修を手がけたのはインド西海岸の都市ムンバイを拠点に活動するスタジオ・ムンバイ。「LOG」は、ビジョイ・ジェイン率いるスタジオ・ムンバイがインド国外で初めて取り組む建築プロジェクトであった。ビジョイの建築の特徴は、自然素材や伝統的な技術を重視し、熟練の職人とともに手作業による試行錯誤を重ねて進める点である。LOGでは、この「人の手の力」を取り入れることを大事にすることで、尾道の歴史や文化、自然、景観と調和のとれた空間づくりを実現した。
LOGとスタジオ・ムンバイが出会ったのは、LOGを運営する株式会社せとうちクルーズが、尾道の街における建築や場所のあり方を模索していた最中だった。そんな折、ビジョイの建築に対する思想や哲学を知る機会があり、直接話を聞きに行ったことが協働のきっかけとなった。



























